王妃候補は、留守番中

里中一叶

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5人揃って2日後、私たちは候補としてフレデリック王太子殿下との対面となった。王太子殿下は、黒髪に黒い瞳でステキな方だが、私たちに営業スマイルのようなキラキラ笑顔を見せるものの、それ以上、興味はないらしく、すぐに立ち去ってしまった。
シンシアさんもナタリーさんもあまり期待していないのか、とくに落胆もしていないようだ。やはりアリア様が最有力候補と言うことになるのだろう。

「アリア様。殿下もお帰りになりましたし、私たちも解散にしませんか。」

こういう提案は、私くらいしかできないので、言うとアリア様もうなづいた。

全員で顔を合わせていたのは、そこまでで毎日1人ずつ陛下や王妃様との面談、ダンスや教養の授業レベルの確認をして足りない部分は追加レッスン。王太子殿下との交流は、時間を決めてお茶に誘ったり一緒に散策したりだが、私は自分から誘わないので、ほとんどの時間を部屋で読書に費やしている。

用事もなく部屋でのんびり読書や刺繍をして過ごしていたある日のこと。

「アイリス様、たまには散歩して来たらどうですか。中庭なら気分転換にもなるし、今なら他の方がたはいないはずですから。」
「どうして?」
「アリア様は、いま陛下との面談中です。アリス様は、いつも鍛錬している時間ですし、シンシア様はダンス、ナタリー様は教養の授業をしています。」

私にも最初のうちは、ダンスや教養の授業を受けていたが、公爵家での付け焼き刃でもなんとかなったみたいで、授業は免除になっている。

2人に部屋から追い出され中庭に行くと木の下に座って難しげな顔をしたフレデリック王太子殿下がいた。関わらないのが一番と回れ右をしようとしたら、声をかけられる。

「アイリス嬢か。ちょっと聞いてもいいか。」
「何でしょうか。」
「直轄地で税収入を上げるために何か施策を会議で提案するのだが、下手にばらまいても効果はないなと…あなたはどう考える?」
「設備投資をした方がいいと思います。最新の農機具を王家で買い入れ、共同で使えるようにします。収穫量が上がれば税は払いやすくなり、負担感が減ります。」
「なるほど。」
「なおかつ学校を作って識字率の向上、病院と安価で医者にかかれるように制度を作ります。税を払うことで民に還元があると理解してもらうことで税を払う意識を培うので…すみません。出すぎたことを申しました。」
「いや、意見を求めたのはこちらだしなかなか興味深い。さすが本の虫と言われるアイリス嬢だな。」

キラキラ笑顔でそう言われたけど、貧乏伯爵領でやりたくても、道半ばな事です。理想論です。と言いたいところですが、私はいま公爵令嬢なので言えません。

フレデリック王太子殿下は、さきほどまでキラキラ王子様だったのが、急に目が鋭く冷たい雰囲気になる。多分、こちらが本来の王太子殿下なのだろう。

「ところで、あなたは他の候補をどう思う?」
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