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「高橋さん、合コンの話だけど。」
昼休み、自分の席でお弁当を食べていると目の前の席に座る飯田さんに話しかけられた。
「ごめんなさい。計画立てないとですね。」
「じゃなくて、もうすぐ正社員になる試験だろ?慌しくなるから、そっち優先してっ言おうと思ったんだ。」
「ありがとうございます。」
「合格したら、お祝いしてあげるからね。」
「うーん。頑張らないと…」
「勉強、わからないとこ、あるなら教えるよ。」
「わーい。頼りにしてます。」
私たちは相変わらず仲良しだ。
でも兄妹のような友達のような気を使わない関係。
心地よくて、ずっとこのままだといいのに…とさえ思える。
2週間後、私は正社員の一次試験を新卒採用の学生さん達と一緒に受験していた。
一次は筆記試験とグループワーク、二次試験は面接と体力測定。
筆記試験は飯田さんがレクチャーしてくれたし、グループワークは去年、営業部のときの経験で抵抗なくやることができた。
二次試験の面接は、部長2人の後ろから手を振る新田課長に緊張をほぐしてもらって乗り切れた。
そして、試験の2週間後、元気開発部長から合格の連絡をもらい、私は10月から正社員にしてもらえる事が決まった。
「合格おめでとう。」
「飯田さんのおかげです。」
今日は、2人で私の合格祝いがてら、合コンの打ち合わせに会場候補の洋風居酒屋に来ている。
「工藤と原田と長瀬と俺だから、高橋さんの他に3人だね。来れそうな人見つかった?」
「英華の中高一緒だった子は、あまりいないから大学だけなんだけど、同じ学科だった沢口さんって子が合コン乗り気なので、あと2人も彼女に誘ってもらうつもり。」
「友達少ないなぁ…」
「余計なお世話ですよーだ。」
「まぁ俺も同期のアイツらとは、そんなに遊んじゃいないけど。」
「飯田さん、学生の頃の友達とかは?」
「俺、実家が神奈川だし、こっちに友達いないなぁ。」
「人のこと言えないじゃない。」
「俺、地元じゃないし。棚に上げちゃう。」
「ホント自分の事になると棚、いっぱい持ってるんだから。」
楽しかった2人の準備と違い、合コン当日、私はサイアクな気分で斜め前に座り、飯田さんにくっついた沼田綾を見つめている。
沢口さんと沼田綾、それに小松さんの3人がいつもの派手めな服装で店に入ってきた時、私はそっとため息をついた。
男子4人と彼女たち3人は話が盛り上がっているようだが、私は黙ってレモンサワーをちびちび飲んで隅でじっとしていた。
他の3人も課は違うが同じ研究開発部や同じ建物内の工場勤務のため顔見知りだから、私に気を使って話しかける必要もないと思われているのかもしれない。
飲み放題2時間だったので、飲み足りないらしく二次会に行こうと盛り上がっていたが、私には引き合わせるという任務が終わったから、そのまま帰ると沢口さんに伝え、あとを任せてフェードアウトした。
次のバスの時間を調べようとバス停に向かっていたら肩を掴まれた。
「黙って帰るのかよ。」
「飯田さん、二次会行かないの?」
「急に高橋さんが違う方に歩き出したから追っかけてきた。」
「なんか私いらないみたいだし。飯田さんは楽しんで来てね。」
「明日、土曜日10時に迎えに行くから出かけよう。じゃあ、お疲れ様。」
それだけ言うと飯田さんはみんなの方へ走って行った。
ひとりでバス停に向かいながら、さっきの飯田さんの一言を思い出す。
明日、10時って…
どこへ行くの?
何するの?
服、どうしよう?
昼休み、自分の席でお弁当を食べていると目の前の席に座る飯田さんに話しかけられた。
「ごめんなさい。計画立てないとですね。」
「じゃなくて、もうすぐ正社員になる試験だろ?慌しくなるから、そっち優先してっ言おうと思ったんだ。」
「ありがとうございます。」
「合格したら、お祝いしてあげるからね。」
「うーん。頑張らないと…」
「勉強、わからないとこ、あるなら教えるよ。」
「わーい。頼りにしてます。」
私たちは相変わらず仲良しだ。
でも兄妹のような友達のような気を使わない関係。
心地よくて、ずっとこのままだといいのに…とさえ思える。
2週間後、私は正社員の一次試験を新卒採用の学生さん達と一緒に受験していた。
一次は筆記試験とグループワーク、二次試験は面接と体力測定。
筆記試験は飯田さんがレクチャーしてくれたし、グループワークは去年、営業部のときの経験で抵抗なくやることができた。
二次試験の面接は、部長2人の後ろから手を振る新田課長に緊張をほぐしてもらって乗り切れた。
そして、試験の2週間後、元気開発部長から合格の連絡をもらい、私は10月から正社員にしてもらえる事が決まった。
「合格おめでとう。」
「飯田さんのおかげです。」
今日は、2人で私の合格祝いがてら、合コンの打ち合わせに会場候補の洋風居酒屋に来ている。
「工藤と原田と長瀬と俺だから、高橋さんの他に3人だね。来れそうな人見つかった?」
「英華の中高一緒だった子は、あまりいないから大学だけなんだけど、同じ学科だった沢口さんって子が合コン乗り気なので、あと2人も彼女に誘ってもらうつもり。」
「友達少ないなぁ…」
「余計なお世話ですよーだ。」
「まぁ俺も同期のアイツらとは、そんなに遊んじゃいないけど。」
「飯田さん、学生の頃の友達とかは?」
「俺、実家が神奈川だし、こっちに友達いないなぁ。」
「人のこと言えないじゃない。」
「俺、地元じゃないし。棚に上げちゃう。」
「ホント自分の事になると棚、いっぱい持ってるんだから。」
楽しかった2人の準備と違い、合コン当日、私はサイアクな気分で斜め前に座り、飯田さんにくっついた沼田綾を見つめている。
沢口さんと沼田綾、それに小松さんの3人がいつもの派手めな服装で店に入ってきた時、私はそっとため息をついた。
男子4人と彼女たち3人は話が盛り上がっているようだが、私は黙ってレモンサワーをちびちび飲んで隅でじっとしていた。
他の3人も課は違うが同じ研究開発部や同じ建物内の工場勤務のため顔見知りだから、私に気を使って話しかける必要もないと思われているのかもしれない。
飲み放題2時間だったので、飲み足りないらしく二次会に行こうと盛り上がっていたが、私には引き合わせるという任務が終わったから、そのまま帰ると沢口さんに伝え、あとを任せてフェードアウトした。
次のバスの時間を調べようとバス停に向かっていたら肩を掴まれた。
「黙って帰るのかよ。」
「飯田さん、二次会行かないの?」
「急に高橋さんが違う方に歩き出したから追っかけてきた。」
「なんか私いらないみたいだし。飯田さんは楽しんで来てね。」
「明日、土曜日10時に迎えに行くから出かけよう。じゃあ、お疲れ様。」
それだけ言うと飯田さんはみんなの方へ走って行った。
ひとりでバス停に向かいながら、さっきの飯田さんの一言を思い出す。
明日、10時って…
どこへ行くの?
何するの?
服、どうしよう?
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