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愛莉
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「とーたん!」
愛翔がいきなり左手を斜め前に伸ばしたので、晴翔さんの腕の中で、無理矢理そちらを見ると浩太さんが、息を切らしながら走ってきたところだった。
身長が175センチで細身の晴翔さんより高く182センチあり、今も行ける時は空手の稽古に行っている体格のいい浩太さんが、営業用の顔で笑っているけど、目は激怒して立っている。
「グランツの副社長、市ヶ谷晴翔さんですね。うちの妻と息子に何か御用でしたか?」
「妻?愛莉は俺の恋人だが。
結婚してないよな。まなとは俺の子だし。」
「すみません。仰っている意味がわかりません。片瀬愛莉と片瀬愛翔は、俺の妻と息子ですが、どなたかとお間違えではありませんか?
お疑いなら、戸籍謄本でも住民票でもお見せしますが。
大企業の副社長様ともあろう方が、他人の妻を誘拐するような犯罪を犯すはずがないですよね。」
言葉遣いは丁寧みたいだけど、浩太さんの圧がすごい。
晴翔さんが、迫力に少し引きつって、私を掴む手が緩んだのに気づき、愛翔をしっかり抱き直すと浩太さんの胸をめがけて走り出した。
愛翔ごと抱き留めて浩太さんは、一瞬だけ優しい笑顔になる。
「大丈夫か。」
「うん。ありがとう、来てくれて。」
「大事な奥さんを守るって決めたからな。」
浩太さんが、来てくれてホッとした途端、さっきまでの恐怖に震えてくる。
浩太さんは、私を守るように腕に力を込めたのが分かった。
それでも私が晴翔さんに言わなきゃいけないことはある。
「晴翔さん、私はもう新しい生活を始めているんです。いつまでも過去にしがみついていないでください。
はっきり言います。
私に婚約者がいることを黙って、付き合っていたあなたをもう信じられないです。
そして、こんなことをするあなたは…
だいっきらいっ です。
もう二度と会いたくありません。」
私の言葉に晴翔さんは愕然と立ち尽くしていたが、構うことなく保育所に愛翔を連れて、浩太さんと向かった。
「愛莉ちゃん、大丈夫かい?」
保育所の門まで着くとお義父さんが駆け寄ってきた。
「お義父さんが、浩太さんを呼んでくれたんですか?」
「その方がいいと思って…ごめんな。私がちょっと目を離したせいで怖い思いをしただろう。」
「とにかく俺がこの近くの得意先から移動中のタイミングで良かったよ。」
浩太さんは、私の頭をポンポンすると私たちをお義父さんに託して、晴翔さんが立ち尽くしている方へ走って行った。
私はやっと安心したのか涙が出てきた。
「まーま?」
愛翔が心配そうに私の頰をペタペタ叩くので「大丈夫だよ。」と伝えて、建物に入ると保育室で待っている優里亜ちゃんの隣に座らせて、なんとか笑顔でバイバイと手を振ってを出た。
保育所の門の辺りで待っていたお義父さんと浩太さんと合流すると浩太さんが
「あいつ、さっき車で帰ったのを確認したから。
誘拐未遂は、今回は公にしないが、2度目はないと言っておいたし、一応、兄貴にも今日の事、伝えておいた。
愛莉のだいっきらいっが効いたら、もう来ないかもしれないが、しばらくは気をつけておこうな。」
そう言って、笑ってくれたので、安心してまた泣いてしまうと、浩太さんは優しく髪を指で梳きながら抱きしめてくれた。
愛翔がいきなり左手を斜め前に伸ばしたので、晴翔さんの腕の中で、無理矢理そちらを見ると浩太さんが、息を切らしながら走ってきたところだった。
身長が175センチで細身の晴翔さんより高く182センチあり、今も行ける時は空手の稽古に行っている体格のいい浩太さんが、営業用の顔で笑っているけど、目は激怒して立っている。
「グランツの副社長、市ヶ谷晴翔さんですね。うちの妻と息子に何か御用でしたか?」
「妻?愛莉は俺の恋人だが。
結婚してないよな。まなとは俺の子だし。」
「すみません。仰っている意味がわかりません。片瀬愛莉と片瀬愛翔は、俺の妻と息子ですが、どなたかとお間違えではありませんか?
お疑いなら、戸籍謄本でも住民票でもお見せしますが。
大企業の副社長様ともあろう方が、他人の妻を誘拐するような犯罪を犯すはずがないですよね。」
言葉遣いは丁寧みたいだけど、浩太さんの圧がすごい。
晴翔さんが、迫力に少し引きつって、私を掴む手が緩んだのに気づき、愛翔をしっかり抱き直すと浩太さんの胸をめがけて走り出した。
愛翔ごと抱き留めて浩太さんは、一瞬だけ優しい笑顔になる。
「大丈夫か。」
「うん。ありがとう、来てくれて。」
「大事な奥さんを守るって決めたからな。」
浩太さんが、来てくれてホッとした途端、さっきまでの恐怖に震えてくる。
浩太さんは、私を守るように腕に力を込めたのが分かった。
それでも私が晴翔さんに言わなきゃいけないことはある。
「晴翔さん、私はもう新しい生活を始めているんです。いつまでも過去にしがみついていないでください。
はっきり言います。
私に婚約者がいることを黙って、付き合っていたあなたをもう信じられないです。
そして、こんなことをするあなたは…
だいっきらいっ です。
もう二度と会いたくありません。」
私の言葉に晴翔さんは愕然と立ち尽くしていたが、構うことなく保育所に愛翔を連れて、浩太さんと向かった。
「愛莉ちゃん、大丈夫かい?」
保育所の門まで着くとお義父さんが駆け寄ってきた。
「お義父さんが、浩太さんを呼んでくれたんですか?」
「その方がいいと思って…ごめんな。私がちょっと目を離したせいで怖い思いをしただろう。」
「とにかく俺がこの近くの得意先から移動中のタイミングで良かったよ。」
浩太さんは、私の頭をポンポンすると私たちをお義父さんに託して、晴翔さんが立ち尽くしている方へ走って行った。
私はやっと安心したのか涙が出てきた。
「まーま?」
愛翔が心配そうに私の頰をペタペタ叩くので「大丈夫だよ。」と伝えて、建物に入ると保育室で待っている優里亜ちゃんの隣に座らせて、なんとか笑顔でバイバイと手を振ってを出た。
保育所の門の辺りで待っていたお義父さんと浩太さんと合流すると浩太さんが
「あいつ、さっき車で帰ったのを確認したから。
誘拐未遂は、今回は公にしないが、2度目はないと言っておいたし、一応、兄貴にも今日の事、伝えておいた。
愛莉のだいっきらいっが効いたら、もう来ないかもしれないが、しばらくは気をつけておこうな。」
そう言って、笑ってくれたので、安心してまた泣いてしまうと、浩太さんは優しく髪を指で梳きながら抱きしめてくれた。
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