雪の国の花

里中一叶

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スノーロップの君

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夕食は、カインとシャルロットと食卓を囲むことになり、ドレスのまま食堂へ行くと席の前で立ち上がったカインが目を丸くしている。

「フェリィ。君の髪は栗色だったんだな?」

「皆さんのお手入れのおかげです。私の髪は傷みやすいので、すぐくすんでしまいますから。」

「フェリィ。まさかとは思うが、2年前の夏、王城の宴に淡い水色のドレスを着て出席していなかったか?」

「王太子殿下の誕生祝いでしたら、正式なご招待だったので、私も伺っています。そう言えばカインさまもいらっしゃってましたね。」

フェリシアが答えるとカインがつかつかと近寄ってきて、いきなり抱きしめられた。シャルロットはすでに席についているので、呆れた顔をしてこちらを見ているから、恥ずかしいのにカインは気付いてくれない。

「カインさま?」

「フェリィ。君がスノーロップの君だ!」

「え?」

「人伝てに調べたとき侯爵夫人ということと社交界にほとんど出る事がなかったこと。そして侯爵は夫人が亡くなったから新しい女性を妻に迎えたらしいという噂しかなかったし、王城の貴族録は妻の欄に除籍されているとしか分からなかったんだ。もちろん他人の妻を調べることになるから、どこの侯爵かは教えてもらえなかった。フェリィが自分の事を話してくれて、この姿をみて納得した。間違いない。」

「あらあら、カインは無意識のうちに初恋の女性を捕まえていたってことなの?」

シャルロットの質問にカインはうなずく。

フェリシアは、最初からカインが自分を見つけてくれていたこと、自分がいなくなった事で空いた穴を埋めたのも自分だったことに不思議な思いだった。

「2人で王城に行って、しっかりお披露目して来なさい。あとはアーサー陛下とロバートが養父として、面倒みてくれるから。」

「はい。シャルロット様、ありがとうございます。」
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