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エスパー
しおりを挟む海をイメージしたその建物の中は、
大人になっても心が躍るような造りになっているらしい。
「可愛い~!」
君がガラス越しにイルカと戯れる。
こちら側が見えているのかと思うほど、イルカは愛想よく泳いでいる。
俺はイルカに夢中の君を見つめるだけ。
「いるかさんだー!」
パタパタと少年がイルカの水槽を目掛けて走ってきた。
その後ろから女性の人が歩いてくる。
きっと母親だろう。
少年の目線に合わせるように屈むと可愛いねとイルカを見つめた。
「あ!おおきないるかさんもいる!」
少年たちの前にいるイルカよりもひとまわり程大きなイルカが水槽内に出てきた。
「イルカさんのお母さんかな?」
少年の母親がそう言うと少年はニッコリ笑って
「おなじだね!」
帰りの車の中。
辺りはすっかり暗くなって、
街の明かりがきらきらと輝いていた。
「なぁ」
真っ直ぐと前を向いたまま、助手席に座る君に
「また来ようね」
話しかけようとして、
君に妨害された。
「え?あ、うん。」
少し戸惑いながら君の言葉に賛成すると、
「今度は、三人で…かな?」
いたずらっぽく笑った。
俺の奥さんはエスパーだったみたいだ。
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