《暗きものの声(The Voice of the Dark)》

穂高稲穂

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それは音ではなかった。文字でもなかった。

それは――思い出だった。

ナリアの脳内に、突然自分の過去とはまったく違う記憶が流れ込んだ。草の上で遊ぶ子どもたち。双つの太陽が沈む空。水を持たぬ砂の上を進む老女の記憶。

それらは明確に「他者の記憶」だった。存在したことのない惑星、存在しない文明の断片。それでも彼女の意識は、それを「自分のもの」として感じていた。

「私たちは見ている。おまえたちの中から。」

スクリーンに何の表示もないのに、ナリアはそのように「聞こえた」と語った。
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