8 / 15
8 市場に買い物
しおりを挟む翌朝、日の出とてもに宿を出て朝市へと向かう。
生きていた頃は早朝の清々しさを感じてそれが好きだったんだけど、今はそれを肌で感じることが出来ないのが残念だ。
通りは人が疎らだったけど朝市の場所につくと多くの店が並び沢山の人の往来がある。
〝凄いなぁ~! いろんな野菜とかがたくさん売ってる!〟
見たこともない野菜もたくさんあり、どんな味んあんだろうと想像するだけども楽しい。
リエラティも新鮮な野菜たちによだれを垂らして見ている。
他にも焼き立てのパンが売られていたりお酒や肉のお店もあった。
「見て! あっちでスープ売ってるわよ! 行きましょう!」
僕のローブをグイグイ引っ張るリエラティ。
〝うわっ! そんなに引っ張らないでよ! 転んじゃうよ!〟
「これこれ落ち着かんか」
逸る気持ちのリエラティをなだめつつ僕達はスープを売っているお店に行く。
「いらっしゃい!」
恰幅の良いおばさんが元気よく挨拶をする。
「スープを一杯!」
リエラティが注文する。
「あらまぁ珍しいお客さんだね~。どうぞ一杯二ラドだよ」
僕達が暮らすフェルミナス王国の通貨はラド銅貨とセタ銀貨とマデラ魔法銀貨が使われている。
一ラドはパン一個の値段。
日雇い労働者が一日に稼ぐ賃金は五~七ラドだ。
一マデラ=十スタ、一スタ=二十ラドとなっている。
アストーが二ラドを支払いスープを一杯買ってもらって飲ませてもらっている。
顔をほころばせて美味しそうに飲むリエラティ。
そんなに美味しいのだろうかと気になる……。
「坊やはいいのかい?」
店主のおばさんが優しく聞いてくれるが慌てて首を横に振って答える。
リエラティが飲みきれなかった分はアストーが飲んで器を店主に返した。
「あ! あっちに焼き菓子が売ってるわ!! 行きましょう!!」
次の獲物を見てけて飛んでいこうとするリエラティ。
〝ま、待ってよ~!〟
僕は慌ててついていき、その後に「まったくしょうがないやつじゃ」と言ってアストーも来る。
あれこれと焼き菓子を注文してはアストーが支払う。
「ジーナスも欲しいものがあるじゃろう。買ってくるとよい」
そう言って五スタを差し出すアストー。
〝こんな大金良いの!? やったー!〟
「わしは自分の買い物を済ませてくるからリエラティと一緒に行くといい。リエラティ、ジーナスにたかるでないぞ」
「わ、分かってるわよ! 行きましょうジーナス! あっちに可愛い腕飾りがあったわ! 見に行きましょう!」
僕のローブの袖を引っ張るリエラティ。
〝行くから強く引っ張らないでよ~!〟
アストーはそんな僕達を優しく見守ってから人混みの中に消えていく。
僕とリエラティは鍛冶屋や服屋などを見て回る。
錬金術の素材屋で魔石が売られてるのを見つけた。
ゴブリンの小さな魔石やハイドウルフの魔石、オークやヴォーパルバニーなどいろんな種類がある。
「いらっしゃい。可愛らしい魔法使いさんだね。それに妖精を連れてるなんて珍しい」
お店の奥で本を読んでいた若い男の人が声をかけてくる。
どう対応したらいいかわたわたと戸惑っているとリエラティが答えた。
「ふふーん! ねぇこれはなんの魔石なの?」
他のものよりも一回り大きい魔石を指差すリエラティ。
「それはミノタウロスの魔石だよ。三年前に僕の友人がパガルス迷宮に行ってそこでミノタウロスを倒して手に入れて、僕に売ってくれたんだ」
「ふ~ん。その友達って冒険者なの?」
「そうだよ。紫水晶級で大人数のパーティーを仕切るリーダーをやってるんだ」
「へぇ! 凄いじゃない! 紫水晶級っていったら上級冒険者でしょ」
〝リエラティ、そのパガルス迷宮ってどこにあるか聞いてよ〟
リエラティに普通に話しかけるが僕の声が男の人に聞こえている様子はない。
やはり僕の声は普通の人には届かないみたいだ。
「パガルス迷宮ってどこにあるの?」
「この街を北に抜けて山を一つ越えた所にあるハーデンの街の近くにあるよ」
「そうなのね! 教えてくれてありがとう!」
塔がある森とは真反対の方向らしい。
行ってみたいけど遠出になってしまうからアストーに相談してみないと。
僕はミノタウロスの魔石を手に取り男の人の所に持っていく。
「これを買うのかい?」
コクリと頷く。
「四スタだよ」
〝うっ……やっぱり高い……〟
大きくて魔力がかなり豊富な魔石だから高くなるだろうとは思っていた。
だけど改めて値段を提示されてかなりの高額に思わず諦めようかと考えてしまう。
でも気になってしまってしょうがないから四スタを差し出す。
「確かに四スタだね。他にもなにか買っていくかい?」
大きな買い物をしたからもういらないとブンブンと首を振る。
「そっか。なにか欲しいものがあったら声をかけてね」
そう言って再び本を読み始める。
特に欲しいものも無いからお店を出ようとする。
「また来てね」
〝またのご来店を〟
男の人の声の後に別のおじさんの声が聞こえた。
それは男の人の後ろにいた顔がよく似たおじさんの霊だ。
多分、この男の人のお父さんかなんかだろう。穏やかに男の人を見守っている。
僕は男の人とそのおじさんの霊に一礼してお店を出た。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~
たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。
たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。
薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。
仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。
剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。
ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!
川井田ナツナ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。
だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。
だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。
馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。
俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる