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2 神ギフト

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 俺の職業のせいで一変した空気は俺に重くのしかかる。
 明久や誠司は俺を庇ってくれるが、豪華な衣装を着ている奴らは俺を下卑た者を見るような目で見る。

「ふむ、我々の勝手で召喚してしまった者達を無下には扱わぬ。
その者、名はなんと申す」

「……晴貴です。ハルタカ ナツノです」

「ハルタカよ、我が臣下の無礼、誠に申し訳ない。
この世界で生きていけるように協力を約束する。
何でも言ってほしい」

「それなら、元の世界に帰る事は……」

 王は申し訳無さそうに表情を変える。

「誠に申し訳ない。
帰還の方法はまだ解明されておらぬ。
だが尽力して研究をしておるゆえ、解明した暁には必ず帰すと約束する」

 俺達は帰れないと聞き落胆をする。
 その後は城に俺の部屋を用意されて、そこで暮らしてもらっても構わないと言われた。
 俺の部屋もちゃんと用意されていて安心した。

 俺は自室で改めてタブレットをだし、機能を確認する。

「タブレットアペアレンス」

 出てきたタブレットのスキルの所を触れる。

 神ギフト
 ・異世界マーケット

 スキル
 ・悪魔召喚Lv1
 ・闇魔法Lv1
 ・使役

 召喚者スキル
 ・フリーマーケット
 ・オークション

「なんだこれ?異世界マーケット?」

 言葉にした瞬間に目の前に何処かて見たような通販サイトの様な半透明な画面が浮かぶ。

 そこにはカテゴリー分けされていてあらゆる商品があるのがわかる。

 ジュースのカテゴリーを開き更に細かく分けられた選択画面が出てきて少しめんどくさい。
 検索できるみたいだから地球に居た時に大好きだったらドクペを検索すると、今まで販売されたフレーバーや見た事がない物、名前が似ている物まである。

「とりあえず飲み慣れた普通のドクペで」

 個数を決めてタップをするも残高不足と表示が出てきた。

「マジか。どうやってお金振り込めばいいんだ?」

 今持ってる日本円をいろいろ試してみるがうんともすんともいわない。
 明久や誠司は何か分かるかもしれないし後で聞いてみよう。

 次は召喚者スキルのフリマを触れると、色んな人のニックネーム?みたいな物がずらっと並んでいて、一番上のドラスレって人の所を触ると商品と思われる名称の物が並ぶ。

 ・火竜の翼膜
 ・水竜のアギト
 ・ワイバーンの魔石

 こんな物が並んでいる。
 他の人のを見ても同じように商品が並んでいる。
 これにも検索機能があって、試しにさっき見た火竜の翼膜を検索してみるとちゃんとヒットした。
 画面右上にマイページというのがあって開くと、まんま地球で見たようなプロフィール設定や商品設定、値段設定等がある。
 これは後でやっておこう。

 次にオークションを見ると、出品者の名前は無く、ただ商品が並んでいて、それに触ると商品紹介、どんどん上がっていく数字、その下には何やらいくつものボタンみたいなのがあり、一番左のを押してみると、数字の2桁の位の所が10上がった。

「やべ、これ競りボタンか」

 これもフリマ同様、商品設定画面がある。

 色々といじって確認してると、明久と誠司と涼君が俺の部屋に訪ねてくる。

「おーす。落ち込んでないから様子見に来てやったぞー」

 と、明久がからかう様に言って来る。

「うっぜ!落ち込んでないから。
それよりスキルは見たか?」

「おー、見た見た。神スキルと召喚者スキルっての面白いな!
それの事話そうと思って来たんだよ。
俺の神スキルは刀剣創造だった。
こんな感じ」

 そういって明久は空中に一本の刀を出現させる。
 その剣は触れなくても操れるっていって俺の部屋で空中でブンブン振り回してる。
 ソードマスターに刀剣創造はかなり相性が良い。

「こいつのギフトチートだろ。
俺は神域だった。
まだ使ってないから効果はわからん」

「先輩改めましてよろしくっす!
俺の神ギフトは魔法全書です!」

 空中に巨大な本が現れる。
 それに触ってみようとするが、実態がないのかすり抜ける。

「これ、俺以外に触れないし読めないみたいっす」

 涼君は軽々と本を開き、中身を見せてくれる。
 良くわからない文字や図形、絵などが乱雑に、所狭しと書き込まれている。

「因みに、今開いてるページのココらへんは地下にマグマ溜まりを発生させて強制的に噴火させる魔法みたいっす」

「なにそれ!!滅茶苦茶物騒だな!!」

「最後に俺だな。俺のは異世界マーケットだったけど、これ使い方わからん」

「異世界マーケット?なんだそれ?」

「これ」

 皆の前に異世界マーケットの画面を表示させる。

「なにこれ!!地球の物じゃん!!ああくそ!!俺には触れねぇ!!」

 明久は色々見てみたいようで、画面を触ろうとしてスカスカしてる。

「でも使い方がわかんないんだよ。
何か買おうとしても残高が足りませんって出るし。
よくわからん」

「これ使えたら俺達にとって最高じゃないか……?
頼む晴貴!使えるようになってくれ!!」

 三人は何やら欲しい物があるのか凄いプレッシャーを感じる。
 とは言ってもお金が無いんだから使えんもんは使えん。

「と、とりあえず他のも見ようぜ!
この召喚者スキルって俺達専用の特典って事だよな!?」

 露骨な話題替えにジトメをされてしまった。

「だろうな~。少し見てみたけど俺達の先輩は逞しいな」

「だな。でもこんな事が出来るのは便利でいいな」

「俺の武器出品してみようかな」

 明久は悪い笑顔で何やら企んでいる。

「このタブレットのフレンドってなんだろうな?」

「あーそれ俺も気になる。
俺達で登録出来たらやっときたいな」

 全員にタブレット出してもらい色々試してみる。
 そして試行錯誤した結果、フレンド登録は出来た。
 タブレット同士を接触させれば良いみたいだ。
 これでわかった機能は電話みたいに遠くに離れていても話せるのと、手紙の機能だ。
 この手紙には物を添付して送る事も出来るようで、地球よりもハイテクだ。

 その後は色々話し合っていると、夕食に呼ばれた。

 執事に連れられて着いたのは、長いテーブルがある食室だ。
 部屋には誰も居なくて、それぞれ執事に案内されて席につく。
 運ばれてくる料理を食べるが全体的に味が単純というか、地球の食べ物に慣れてる俺達からすると何か物足りなかった。

 夕食も終わり、用意された部屋に戻り、この日は終わった。




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