モリモリ出たら森でした

シロクマ

文字の大きさ
上 下
21 / 33

魔言へ

しおりを挟む
「『氷』っ!出来た!よしっ!次!」
魔力寝具の修行を完了して爆睡した次の日、俺は魔言の習得に精を出していた。
魔力操作をマスターしたので楽勝かと思ったのだが、寝具を形作り維持するのと声に乗せて発するのは少し違うらしく、前よりはだいぶ楽だが一つ一つ音によって乗せる魔力が違う。
そこの感覚を掴むのに時間がかかりそうだ。
しかし、一ヶ月前より楽なのは違いない。
自分が成長したのを感じれたし、何より嬉しかった。
ただ成長を実感したまではよかったのだが今は三音が限界だ。
一応さっき言った『氷』と言う単語で氷が出来た。
最初の方はそれに興奮したし、初めて魔法を使えたみたいで嬉しかった。
が、しかし。
それが魔法かと言われたら他の人に聞いたら分からないが俺の中では違う。
俺の中の魔法はもっとドバババッと派手にかっこいい魔法のことを言うのだ。

「…『氷』の」
せめて『氷の刃』とか出したいのだが"こおりのやいば"と七音だ。
俺が出せる魔言は先程も言ったが三音で限界だ。三音以上は乗せようとしても魔力が声に上手く乗らないと言うか、浸透しないと言うか、とにかく上手くいかないのだ。
なので氷の刃を出そうとしても上手くいかない。アニメや漫画のように魔法を繰り出せるのは夢のまた夢ってこった。
ま、人生そんな上手くいくことばっかじゃないって事だってばさ。
それを早くに分かって得したと思うことにしとこう。
これで損失チャラである。
それに今は三音しか出せないとはいえ工夫次第では意外と使えるのだ。
さっき出した氷だって普通に水などを冷やすのに使えるし、その冷やす水だって二音なので出そうと思えば出せる。
それを沸かす為の火だって出せる。
要は使い方次第だってばさ。
「『炎』」
木の枝を集めて火をつける。
魔言を唱えて火をつけると轟々と火が燃え盛る。ちなみに炎と火の魔法の何が違うかと言うと燃える規模が違うのだ。
ドンだけ違うかと言うとマッチと焚き火ぐらい違う。
『火』の魔言で『炎』の魔言と同じくらいの火をつけようと思うと魔力がたくさんいる。何十回分の魔言を一度に省略しようって言うんだ。
それくらいかかる。
魔言一音の差でそれくらい違う。
言葉の意味とかで大分色々あるが、言える事が多い方が便利なことにはかわりない。
どでかい魔法も使いたいしな。
なので俺は他の修行と並行してこの魔言の修行も進める。
目標は今日から1ヶ月で魔言をマスターし、魔法でド派手にこの森に隕石を落とすことだ。え?隕石を降らすことに意味はあるのかって?そんなのノマンだからに決まってんじゃねぇか。
さ!そんなわけで修行がんばるぞー!
しおりを挟む

処理中です...