モリモリ出たら森でした

シロクマ

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洗浄

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畑を作った翌日。
俺が何をしているかというと、狼さんにマッサージをしていた。

「気持ちいいですかー?」
と俺。

『うむ、良いぞ。おっ♪そこじゃそこ!ええのおぉ』
気持ちよさそうに蕩けた声で狼さんが返事を返してくる。

前の世界にいたときも愛犬のタロウによくマッサージをしていた。
その時の要領でやろうとしたのだが一つ問題があった。
それは大きさである。
前にも言ったが狼さんは俺の3倍ほどデカい。
マッサージする時の気持ちいいポイントなどはタロウにマッサージする時と一緒でも良いとしても、大きさが違うだけでやりにくさが半端じゃない。
そこで俺は思いついた。
魔法でやればいんじゃね?と。
人間、一度楽を覚えるともう辛い方には戻れなくなるという。
その言葉通り、もう俺は魔法なしの生活には戻れそうにない。
そして魔法で俺の手と同期して動くよ大きな手を出した。
先程までその魔法を使って狼さんをマッサージをしていたのだが、俺に一つ気になる事があった。
狼さんはこの森で何百年も暮らしてきたという。
そして時々体が泥で汚れたりしたときは湖などで水浴びをしていたらしい。
そこで先程の話に戻る。
マッサージをしているのは俺の手と同期したデカイ手だ。
そして同期しているのは動きだけではない、感覚もだ。
そしてマッサージしていると皮膚がガサガサに毛がゴワゴワになっていることに気づいた。
そこで魔法だ。
「―『薬用シャンプー』」
そう唱えた瞬間デカい方の手からドロッと青い液体が飛び出てきた。
シャンプーである。
そして俺は、そのシャンプーを狼さんは狼さんの毛全体によく染み渡るように泡だてる。
そして待つこと十分。
効果がちゃんと出るように、シャンプーが染み込むまで待ったら、魔法を一丁。
「―『温水シャワー』」
そう唱えると俺のデカい方の手からシャワーヘッドのように雨のように水が降り注ぐ。
そしてお湯がかかることによって、狼さんの体についた泡はきれいに洗い流されてお湯と一緒に大地に栄養として吸収されていった。
そのお湯がかかって泡が流れていく間狼さんは温泉に入っている老人の様に瞼を閉じ気持ちよさそうにしていた。

『はふぅ~。気持ちええのぅ。」
そこまで気持ちよさそうにされると、やったかいがあるというものだ。
そして泡が綺麗に洗い流されると、本来の輝きを取り戻した白雪のように真っ白な狼さんの毛が現れた。

「ふぃ~、一丁あがり!!」
こうして俺の一日は過ぎていった。
・・・・・
・・・
・・

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