勘違い令嬢と3人の男

ringo69

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夢のあと

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レオとの時間が終わると特になにもすることもなかったのでマーガレットや他のご令嬢たちと駄弁っていた。

「そういえば、あそこにいらっしゃるシャルロット王国の…あの方の妹君がロバート様を慕っているんだとか」
「聞きましたわ。確か近々顔合わせだとか」
「なかなかの可愛らしいお顔立ちだそうでお似合いだわね」

そんなことで盛り上がっているのは少し離れたところにいるまた別のご令嬢達だった。
王女様がロバート様のことを慕っているのは正直初耳だった。ラスカル様は王女様とロバート様の縁談をこじつけるために来たのかとても気になってしまった。

「噂してるわね」
「知ってたの?」

私の隣で異国の模様をした扇子を口元に広げながら、例の令嬢たちを見ながら随分前から知ってそうな感じで言った。
私が詰めると彼女はお得意の微笑みで返す。
つまりはそういうこと。新しい情報でもなんでもないらしい。

「レティはもっと自国以外のことにも興味を持ったほうがいいわ。ただでさえ自国にもそういうのがないんだから」

失礼である。
私だって帝国の内情くらいは知ってるものだ。
公爵家の長女だし。他国には興味が出ないだけで。

「失礼ね」
「そうかしら?あ、あそこの殿方素敵じゃない?」

また話題を逸らした。
マーガレットが指差すところは2、3人のご令息が集まっている輪だった。

「レーベン侯爵家のご令息もいらっしゃるじゃない」
「あら、知り合い?」
「少しだけ」

マーガレットは驚いたような顔で私の顔を見た。あんたそんな人いたのくらいの顔だ。
そのくらいいるに決まってる。

「なら話が早いわね、ご挨拶に行かなくては」
「え?」

私の手を取ってさっさと優雅に早歩きをする彼女。

「ちょっと待って!?」

私が声をかけるとぴたりと止まったかと思うと私の方を振り向いた。その時の顔と言ったらもうそれはキラキラしていた。

「な、なに?」

呼びかけたのは自分なのに思わず疑問を投げてしまった。

「あなた、皇太子殿下を忘れるためにこの夜会に来たのでしょう?そしたら殿方との交流を持たないと意味ないじゃない?」
「そ、そうだけど…」
「さ!行くわよ!」

また私の手を取って優雅にさっきのご令息たちに近づく。

「ごきげんよう、皆様」

私達がその3人に声をかけると、さっきまで難しい顔をして話していた3人がこちらを向いて素敵な笑みを浮かべた。
レオやロバート様がいたからわかんなかったけど、この人たちも顔が整っている。

1人が私の顔を見て声をかけてきた。レーベン侯爵家のランディ様だった。

「フィエール公爵令嬢、お久しぶりにお目にかかります。」
「ごきげんよう、ランディ様。お元気でしたか?」
「ええ、特に変わりはございません。しかし、レティシア様は益々美しくなってしまって、自分と話していただけるなんて、とても光栄です。」
「恐縮です。」

ランディ様とは学園で一年生の時に同じクラスで1番最初に仲良くなった方だった。
最初の席が隣で喋らざるを得ないため喋っていたが、なかなかに面白い話をする人だった。
それからわからないところは2人で教えあったりとかして一時期付き合ってるとか言われてた時期はあったが、そう言えばいつのまにかなくなった。どうしてだっけ?一年生の時のことはよく覚えていない。

2年生に上がるとクラスが離れてしまって、廊下でもなかなか会わず、それっきりだったので、ランディ様と会えてこうして前みたいに話せて少し嬉しい気もする。
彼は侯爵家だし、素敵だし、ロバート様を諦めてランディ様と一緒になるのも良さそう…

「レティシア様??」
「あ、申し訳ありません…!」

そこまで考えたところでランディ様に名前を呼ばれた。ぼーっとしてたらしい。
男の人の前でこんな想像をするなんてはしたないし恥ずかしすぎる…。

「顔が赤いですよ?熱でも?」
「あ!いえ!大丈夫です!考え事をしていてっ」

ランディ様は少し考えるとニヤリとした。
こんな顔する人だっけ?

「顔が赤くなるような想像とは…?」
「あっ!」

私は恥ずかしくて俯いてしまう。
するとランディ様はクスクスと私を見ながら笑っている。
その姿もなんだかお上品で見惚れてしまいそうだった。

そんな中マーガレットは他の殿方2人と話し中で楽しそうに見えるが内心はヒヤヒヤだった。
もし違う恋に進めとレティシアに進言したのが自分だとバレれば奴にはガン詰めされるだろう。
いやしかし、レティシアを泣かせようとする奴こそが悪なのだ。好きならば単刀直入に行こうとすればいいもののそれをせずに周りくどく行くからこうなるのだと開き直ろうとしているところだった。が、斜め右後ろの方から痛いくらいの冷えた視線がさっきから自分を突き刺していることに気づく。

このまま気付かぬふりをするか、それとも勇気を振り絞ってそちら側を見るか、考えあぐねているとその視線の主が動き出す気配を感じる。
これはやばいと行動することに決めた。
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