伏線と感情

いきなり完結編5分で読めます。

私にはお父さんが居る。優しいお父さんだ。
母が他界してから私はお父さんのために家事を全てやってきた。お父さんは母がいなくなってから落ち込んでいてどうしようもない。

「なぁ」とある日私に珍しく声をかけてきた。
「なに？」と私は問う。

「お父さん、再婚しようと思うんだ。」
「は？」

その時思わず私は持っていたお皿を床に落としてバラバラにしてしまった。

「さ、再婚！？」お父さんはお母さんがいなくなってからあんなに落ち込んでいたのに、、、。

「お父さんな、お父さんを支えてくれる新しい人を見つけたんだよ。お前はどう思う？」と、お父さんは聞いてきた。

私はその問いに驚きすぎて混乱していたが、知らない人が家族になることを考えたり、お母さんのことを考えると当然反対した。

2日後

新しいお母さんが家にやってきた。
「こんにちは」
なんとなくお母さんに似ている優しい声だ。お父さんが好きになる理由がわかった。

私は無視をした。

「ただいま」学校から帰ってくると、義母は家事をしていた。

「私がやるから大丈夫！！」私は強い口調で言った。

「でも、あなた学生でしょう。大変なんじゃない「もう触らないでよ！！」

私は義母の言葉を遮って言った。
「そう」義母はリビングに戻った。

義母が家に来てからお父さんが急変した。
小さいことでもすぐ怒るようになって、怒鳴り散らかし、頑固になった。
「少しおかずが足りないじゃないか！！」
と、義母に怒鳴った。

「なんだよ、最近おかしいよお父さん！」と私は言った。
「うるさい！」言葉が返ってきた。

「なんなの、、、」私は部屋に篭った。

そんなことが続いてはや2ヶ月がたった。いつの間にか私は義母とお父さんの愚痴を言い合い、義母に舵を全て任せていた。

ある日学校から帰ると、スーツを着た真面目そうな人が私に言ってきた。「お父様が、癌で亡くなりました。」

義母は涙目で私に言ってきた。
「お父さんはね、再婚に反対しているあなたが私と仲良くするために二人の共通の敵にすることで私とあなたの仲を良くしようとしていたのよ、、、。」

「え？、、。」
その瞬間何故か目から水がこぼれ落ちてきた。


葬式の日

「ごめんねお父さん、ありがとう。」
その一言を最後にして、私は火葬場に向かった。