天狗さんと電化製品

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天狗さんと取り調べ

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あの自称天狗は刑事に連れられてざまあみろと言わんばかりの薄ら笑いを浮かべながら席に座った。
すると、自称天狗は机に置いてある大量の料理に気づいたようで目を輝かせてこう言った。

「料理まで用意してもてなしてくれるなんて警察は親切だってんですよ。この料理いただくってんですよ。」

そう言うと自称天狗は俺から目にも止まらね速さで俺から箸を奪い取り料理を食べようとした。

必死で刑事が止めようとしてこう言った。

「やめるんだ。お嬢さん。その料理はお嬢さんには早すぎる。お嬢さんはまだ若いだから世の中の世知辛さを表現した私の料理を味わうのはまだ早い。それに、お嬢さんはこの男に十分塩っ辛い思いをさせられてるじゃないか。これ以上塩っ辛い思いをする必要はない。」

しかし、この自称天狗は話を聞かず食べ始めた。そして、天狗は突然顔を下げうつむき始めた。これには周りの空気が凍りついた。そして自称天狗は下を向き「うっ」と言い出した。周りは吐くのではないかと思いゴミ袋などがすぐに用意された。すでにこの数十秒で驚くべき速さで料理を食べ数品完食している。俺が一口食べただけで気持ちが悪くなるぐらい塩辛い料理そうなるのも無理はない。しかし、この自称天狗から出た言葉は周りが想定していない言葉だった。
自称天狗は急に顔を上げ目を輝かせながらこう言った。

「うまいってんですよ。この料理どれも最高に塩味が聞いてんですよ。これはあれですね。ソウグッドとおりこしてテングッドだってんですよ。」

この場にいたほぼ全員がその塩まみれの料理を食べる姿にドン引きしていた。たった一人を除いて。

刑事は自分の料理が美味しそうに食べられている姿を見てショックを受けていた。どんな凶悪犯でも一口食えば塩っ辛さに悶え苦しみ水欲しさに全て白状する。俺の料理をすでに何品か完食だと嘘だろ。しかもあんなに美味そうに。たったの数十秒で。こうなったら俺も本気を出すしか無いようだな。お嬢さん気が変わったよ。俺がお嬢さんに世の中の世知辛さを教えてやるぜ。俺のプライドにかけてあのお嬢さんを悶え苦しませてやる。

刑事はポーカーフェイスで彼女にこう言った。

「お嬢さん。どうだい。私の料理はうまいかい。良かったらこれからとっておきの品を出そうと思うんだがどうだい。食べるい。」

自称天狗はすぐに即答した。

「勿論食べるってんですよ。」

そして、刑事は不敵に笑った。
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