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いろいろ試してみよう②
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ほとんど魔法を使えなかったあたしがガンガンと魔法を使っちゃうと、派手に魔力切れを起こしちゃうかも! となり、休憩がてら一回マックの家に戻ることになった。
すっかり馴染んだあたしとカータスは応接室じゃなくてリビングに通される。マーズニさんにくつろぐように言われ椅子に腰掛けると、マックとマーズニさんはキッチンへと移動した。やっぱり自分ではよく分かってないけど魔力をそれなりに消費したからか、どっと疲れが出てボケーっとしているとマーズニさんとマックが食事や飲み物を持って来てくれた。ありがたくそれをいただいているとマーズニさんが口を開く。
「これはただの魔石なのですが、私は火の魔法を使えるので料理をする時などはこれに魔力を込めて使うのですが……お嬢様もやってみませんか?」
一般人や火の魔法を使えない人は火の魔石を買って使うらしいけど、木を燃やすよりも早く火が点き火力も安定するので、よほどの貧困者じゃない限り魔石を使うんだとか。そうだよね、便利だもん。
やってみませんか? と出された魔石だけど、マーズニさんのやり方の説明が専門用語ばかりでイミフで固まっていると横からカータスが助け舟を出してくれた。
「魔力を移動させる感じ」
なるほど、スゲー分かりやすいわ。理解出来なくてごめんねマーズニさん。
魔石を一つ手に取り、火の魔法が移動してこの中に閉じ込められるようなイメージで念じる。さっき爆炎を飛ばしたほうが簡単な気がするけど、必死にイメージし続けてると魔石の色が変わった。
「「「出来た!」」」
あたし以外の三人がハモる。なるほどね、あたし的にはこっちのほうが難しいけどやれないことはない。というわけで、勝手にまた色々と試すことにする。
魔石をまた一つ手に取って考える。考えてみれば魔法協会の測定器を壊しちゃうくらいなんだから、シンディって実は何でもアリなんじゃね? そう思ったあたしはまだ使ったことのない魔法をイメージして、さっきと同じように魔石に移動するようにイメージしながら念じる。するとさっきよりも早く魔石の色が変わる。コツが分かって来たよ。
「青っぽいけど水の魔法?」
さっきの魔石は赤っぽい色に変わったけど、これは青っぽい。あたしは「フフン」と不敵に笑い、あえて何の魔法か言わない。そしてまた一つ新しい魔石を持つ。これはさっきも使った魔法だからイメージしやすい。三つの中で最速で魔石の色が変わると、三人は「おぉ!」と声を上げている。これは緑っぽい色に変色している。
テーブルの上に緑っぽい魔石を置いて、その手前に青っぽい魔石を置く。椅子から降りて、行儀が悪いけどテーブルの上にアゴを載せて『スイッチオン!』なんて念じてみると、あたしの思惑通りに魔法が発動する。
「ちょ! マジでこれスゴイわ! みんなもやって!」
あたしのお行儀の悪さにみんなは軽く引いてるけど、ノリのいいマックはテーブルの向こうから来て同じ体勢になる。
「うおっ! これスゴイ!」
そのマックのセリフを聞いたマーズニさんとカータスに場所を譲る為に移動すると、怪訝な表情をしながらも二人は同じ体勢をする。
「おぉ!」
「何これー!」
効果を実感した二人はようやく笑顔を見せてくれた。実は奥に置いた魔石は風の魔法を込めていて、手前の魔石には氷の魔法を込めた。それを発動させるとエアコンみたいに涼しい風が吹く。
「これさ、壁に埋め込んだり何かの道具に埋め込んだら……店でかなり売れると思わねえ?」
マックのその言葉にあたしたちはハッとする。そこからあたしたちはいろんな道具を手にして組み立て作業が始まった。
魔法の修行をしていたハズなんだけど、なぜか工作の時間になってしまって笑えてくる。そして試行錯誤の末に完成したハンディタイプのエアコンを持って全員で店に向かった。
「ちょっとこれ使ってみて!」
フル装備のあたしを見たことがなかった店員のクロエたちは面食らっていたけど、無理やりハンディエアコンを押し付けると受け取ってくれる。
「スイッチオン! って念じて」
言われるがままクロエたち四人は念じてくれたのか、一斉にハンディエアコンが作動する。
「すごい!」
「気持ちいい!」
「涼しい!」
「売ろう!」
四人は涼しい風を浴びながら思い思いの感想を漏らす。やっぱこれ売れるよね? マーズニさんとカータスが魔法協会に売り物の申請に行ってくれた間にあたしたちは値段を決めた。
そして魔法協会から即OKが出たのですぐに売り始めた。あたしたちは二階から隠れて店内の様子を見て、クロエたちはお客さんに説明をすると一つ、また一つと売れていく。あたしたちは音を出さないように小さくハイタッチをしてその様子を眺めていた。
まさかこれが空前のヒット商品になるとはこの時は誰も思っていなかったんだけどね!
すっかり馴染んだあたしとカータスは応接室じゃなくてリビングに通される。マーズニさんにくつろぐように言われ椅子に腰掛けると、マックとマーズニさんはキッチンへと移動した。やっぱり自分ではよく分かってないけど魔力をそれなりに消費したからか、どっと疲れが出てボケーっとしているとマーズニさんとマックが食事や飲み物を持って来てくれた。ありがたくそれをいただいているとマーズニさんが口を開く。
「これはただの魔石なのですが、私は火の魔法を使えるので料理をする時などはこれに魔力を込めて使うのですが……お嬢様もやってみませんか?」
一般人や火の魔法を使えない人は火の魔石を買って使うらしいけど、木を燃やすよりも早く火が点き火力も安定するので、よほどの貧困者じゃない限り魔石を使うんだとか。そうだよね、便利だもん。
やってみませんか? と出された魔石だけど、マーズニさんのやり方の説明が専門用語ばかりでイミフで固まっていると横からカータスが助け舟を出してくれた。
「魔力を移動させる感じ」
なるほど、スゲー分かりやすいわ。理解出来なくてごめんねマーズニさん。
魔石を一つ手に取り、火の魔法が移動してこの中に閉じ込められるようなイメージで念じる。さっき爆炎を飛ばしたほうが簡単な気がするけど、必死にイメージし続けてると魔石の色が変わった。
「「「出来た!」」」
あたし以外の三人がハモる。なるほどね、あたし的にはこっちのほうが難しいけどやれないことはない。というわけで、勝手にまた色々と試すことにする。
魔石をまた一つ手に取って考える。考えてみれば魔法協会の測定器を壊しちゃうくらいなんだから、シンディって実は何でもアリなんじゃね? そう思ったあたしはまだ使ったことのない魔法をイメージして、さっきと同じように魔石に移動するようにイメージしながら念じる。するとさっきよりも早く魔石の色が変わる。コツが分かって来たよ。
「青っぽいけど水の魔法?」
さっきの魔石は赤っぽい色に変わったけど、これは青っぽい。あたしは「フフン」と不敵に笑い、あえて何の魔法か言わない。そしてまた一つ新しい魔石を持つ。これはさっきも使った魔法だからイメージしやすい。三つの中で最速で魔石の色が変わると、三人は「おぉ!」と声を上げている。これは緑っぽい色に変色している。
テーブルの上に緑っぽい魔石を置いて、その手前に青っぽい魔石を置く。椅子から降りて、行儀が悪いけどテーブルの上にアゴを載せて『スイッチオン!』なんて念じてみると、あたしの思惑通りに魔法が発動する。
「ちょ! マジでこれスゴイわ! みんなもやって!」
あたしのお行儀の悪さにみんなは軽く引いてるけど、ノリのいいマックはテーブルの向こうから来て同じ体勢になる。
「うおっ! これスゴイ!」
そのマックのセリフを聞いたマーズニさんとカータスに場所を譲る為に移動すると、怪訝な表情をしながらも二人は同じ体勢をする。
「おぉ!」
「何これー!」
効果を実感した二人はようやく笑顔を見せてくれた。実は奥に置いた魔石は風の魔法を込めていて、手前の魔石には氷の魔法を込めた。それを発動させるとエアコンみたいに涼しい風が吹く。
「これさ、壁に埋め込んだり何かの道具に埋め込んだら……店でかなり売れると思わねえ?」
マックのその言葉にあたしたちはハッとする。そこからあたしたちはいろんな道具を手にして組み立て作業が始まった。
魔法の修行をしていたハズなんだけど、なぜか工作の時間になってしまって笑えてくる。そして試行錯誤の末に完成したハンディタイプのエアコンを持って全員で店に向かった。
「ちょっとこれ使ってみて!」
フル装備のあたしを見たことがなかった店員のクロエたちは面食らっていたけど、無理やりハンディエアコンを押し付けると受け取ってくれる。
「スイッチオン! って念じて」
言われるがままクロエたち四人は念じてくれたのか、一斉にハンディエアコンが作動する。
「すごい!」
「気持ちいい!」
「涼しい!」
「売ろう!」
四人は涼しい風を浴びながら思い思いの感想を漏らす。やっぱこれ売れるよね? マーズニさんとカータスが魔法協会に売り物の申請に行ってくれた間にあたしたちは値段を決めた。
そして魔法協会から即OKが出たのですぐに売り始めた。あたしたちは二階から隠れて店内の様子を見て、クロエたちはお客さんに説明をすると一つ、また一つと売れていく。あたしたちは音を出さないように小さくハイタッチをしてその様子を眺めていた。
まさかこれが空前のヒット商品になるとはこの時は誰も思っていなかったんだけどね!
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