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テンの怒り
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「みんな聞いたー!?」
「はい! 聞きました!」
あたしが過去最高の笑顔で聞くと、負けないくらいの笑顔で答えてくれたのはゴンザレスさんだけだった。
普段はマックと一緒にアホなことで盛り上がるけど、今はゴンザレスさんとキャッキャウフフと楽しんでる。
「……シンディ、どうした……?」
そんなアホな子マックが真剣な表情で心配している。マックだけじゃなくて、他のみんなも心配そうにあたしを見てた。
「シンとハンがね、『好き』って言ってくれたの!」
「そうなんですか!」
あたしの言葉に反応したのはもちろんゴンザレスさんだ。だけどなんか会話が噛み合ってないっぽい。
それをゴンザレスさんに聞いてみたら、テンは自分が話したいと思った人としか話さない……つーか言葉をかけないっていうツンデレだった。やろうと思えばこの場の全員にも聞こえるようにできたっぽい。
あとショックだったのは、あたしの魔力がテンと同じかそれ以上にならないと、テンはあたしと簡単に話さないってゴンザレスさんに言ったらしい。
テンが魔力を開放したからあたしに声が届いたけど、普段からテンは人語を理解して話してるみたい。この場のあたしたちの魔力が低いから、その言葉が聞こえないだけなんだとか。難しくてよく分かんないけど。
「……テン~……話してくれないの……?」
「そう宣言したのに話してくれたんですよ! むしろ感謝しましょう!」
ゴンザレスさんに謎の励ましを受けたけど、それでもしょんぼりしてると、テンが尻尾であたしの頭を撫でてくれた。本っ当にツンデレなんだけど。
「えぇと……良いかな? 状況を確認したいんだが……こちらのレアモンスターが喋ったと?」
置いてけぼりチーム代表として理事長が話し始めた。あたしが説明をしようとすると逆に分からなくなりそうだったから、ゴンザレスさんに説明を丸投げした。
「……いやいや、その話がもし本当だったら、私たちよりもこのレアモンスターのほうが強いということになってしまうが……」
理事長が呆れ笑いをしながらそう言うと、テンはカチンと来たのか唸り始めた。
そして姿勢を低くしたと思ったら、目では追えないスピードで走り出して、あたしとゴンザレスさん以外の全員の耳元で吠えたり唸ったり、歯をガキンッと鳴らしたりと脅しのようなことをした。
『誰も反応出来なかったではないか。お前たちなど簡単に始末できる。主が困るのでやらないだけだ。思い上がるな!』
テンが思いっきり吠えると同時に、この場の全員にテンの言葉が聞こえたみたい。話さないって言ったのに話すってことは、よっぽどイラついたんだね。
「テン、落ち着いて。よーしよしイイ子イイ子」
落ち着かせようとテンを撫でると、テンはそっぽを向いてお座りをして「……フンッ」といつものように鼻を鳴らした。
チラリとみんなの方を見ると、硬直状態だった理事長たちは土下座をして「テン様!」と崇め奉ってるし。手のひら返しすごくね?
「リールさん! 本当に何もかにもが初めてのことでして……申し訳ありません……」
ビクビクしつつシュンとした理事長が、あたしになのかテンになのか分かんないけど謝った。それにもテンは「……フンッ!」としか反応してないけど。
「そういえばさぁ、何も悪いことしてないし、ただ卵を産もうとした鳥をさっき倒したでしょ?」
あたしの言葉を聞いた魔法協会メンバーが青ざめる。いきなり攻撃したのは事実だもんね。
「テンがね、さっきの鳥からこの子たちを託されたんだって。そのテンが、あたしにこの子たちを育ててもらいたいんだって」
レアモンスターでも鳥の習性があるのか、ピヨピヨ鳴きながらあたしにくっついて離れない。なんだっけ? すり込みって言うんだっけ?
こんなにちっちゃい生き物に頼られるなんて、微笑ましくて笑顔になっちゃう。普通にカワイイし。その顔のままみんなを見ると、恒例の鳩が豆鉄砲を食らった顔をしてるし。
「だから理事長さぁ、この子たちもペット認定してくれない?」
呆然としてた魔法協会メンバーは、この場で緊急会議を始めたんだけど、ゴンザレスさんの説得とイライラし始めたテンの唸り声で鳥たちもペット認定された。
「えぇと……リールさん……こちらのレアモンスターの雛? もペット認定させていただきます……。名前はお決まりですか?」
なんだか疲れた様子の理事長に聞かれたあたしは、足元でピヨピヨと鳴く鳥たちを見つめる。……ん~……名前ねぇ……。
「……ホウとオウ……」
相変わらずネーミングセンスないな、と自分で思ってると、ホウとオウが光り始めた。そして光の玉になって消えた。デジャヴ! 超デジャヴなんだけど!
みんなが「何が!?」とか「どこへ!?」とか騒ぐ中、武装モードに変身して魔徹を抜いてみた。
「シンディ……それ……」
いつの間にかあたしの隣に来てたマックが呟いた。うん、やっぱりか。
「ホウとオウはここに納まりました」
魔徹を持って理事長に見せた。魔徹の鞘の龍の彫刻に、いつもテンたちは納まってる。テンは龍の口、シンとハンは龍の手の中だ。
新しくペットになったホウとオウは、龍の目の部分にはまってる。
「リールさん! 定期的にペットたちを観察させていただいてよろしいですか!?」
ゴンザレスさんは大興奮だ。チラッとテンを見ると、嫌がる素振りはない。
「うん、いーよー」
理事長を置いてけぼりに、話はまとまった。新ペット、ゲットだぜ!
「はい! 聞きました!」
あたしが過去最高の笑顔で聞くと、負けないくらいの笑顔で答えてくれたのはゴンザレスさんだけだった。
普段はマックと一緒にアホなことで盛り上がるけど、今はゴンザレスさんとキャッキャウフフと楽しんでる。
「……シンディ、どうした……?」
そんなアホな子マックが真剣な表情で心配している。マックだけじゃなくて、他のみんなも心配そうにあたしを見てた。
「シンとハンがね、『好き』って言ってくれたの!」
「そうなんですか!」
あたしの言葉に反応したのはもちろんゴンザレスさんだ。だけどなんか会話が噛み合ってないっぽい。
それをゴンザレスさんに聞いてみたら、テンは自分が話したいと思った人としか話さない……つーか言葉をかけないっていうツンデレだった。やろうと思えばこの場の全員にも聞こえるようにできたっぽい。
あとショックだったのは、あたしの魔力がテンと同じかそれ以上にならないと、テンはあたしと簡単に話さないってゴンザレスさんに言ったらしい。
テンが魔力を開放したからあたしに声が届いたけど、普段からテンは人語を理解して話してるみたい。この場のあたしたちの魔力が低いから、その言葉が聞こえないだけなんだとか。難しくてよく分かんないけど。
「……テン~……話してくれないの……?」
「そう宣言したのに話してくれたんですよ! むしろ感謝しましょう!」
ゴンザレスさんに謎の励ましを受けたけど、それでもしょんぼりしてると、テンが尻尾であたしの頭を撫でてくれた。本っ当にツンデレなんだけど。
「えぇと……良いかな? 状況を確認したいんだが……こちらのレアモンスターが喋ったと?」
置いてけぼりチーム代表として理事長が話し始めた。あたしが説明をしようとすると逆に分からなくなりそうだったから、ゴンザレスさんに説明を丸投げした。
「……いやいや、その話がもし本当だったら、私たちよりもこのレアモンスターのほうが強いということになってしまうが……」
理事長が呆れ笑いをしながらそう言うと、テンはカチンと来たのか唸り始めた。
そして姿勢を低くしたと思ったら、目では追えないスピードで走り出して、あたしとゴンザレスさん以外の全員の耳元で吠えたり唸ったり、歯をガキンッと鳴らしたりと脅しのようなことをした。
『誰も反応出来なかったではないか。お前たちなど簡単に始末できる。主が困るのでやらないだけだ。思い上がるな!』
テンが思いっきり吠えると同時に、この場の全員にテンの言葉が聞こえたみたい。話さないって言ったのに話すってことは、よっぽどイラついたんだね。
「テン、落ち着いて。よーしよしイイ子イイ子」
落ち着かせようとテンを撫でると、テンはそっぽを向いてお座りをして「……フンッ」といつものように鼻を鳴らした。
チラリとみんなの方を見ると、硬直状態だった理事長たちは土下座をして「テン様!」と崇め奉ってるし。手のひら返しすごくね?
「リールさん! 本当に何もかにもが初めてのことでして……申し訳ありません……」
ビクビクしつつシュンとした理事長が、あたしになのかテンになのか分かんないけど謝った。それにもテンは「……フンッ!」としか反応してないけど。
「そういえばさぁ、何も悪いことしてないし、ただ卵を産もうとした鳥をさっき倒したでしょ?」
あたしの言葉を聞いた魔法協会メンバーが青ざめる。いきなり攻撃したのは事実だもんね。
「テンがね、さっきの鳥からこの子たちを託されたんだって。そのテンが、あたしにこの子たちを育ててもらいたいんだって」
レアモンスターでも鳥の習性があるのか、ピヨピヨ鳴きながらあたしにくっついて離れない。なんだっけ? すり込みって言うんだっけ?
こんなにちっちゃい生き物に頼られるなんて、微笑ましくて笑顔になっちゃう。普通にカワイイし。その顔のままみんなを見ると、恒例の鳩が豆鉄砲を食らった顔をしてるし。
「だから理事長さぁ、この子たちもペット認定してくれない?」
呆然としてた魔法協会メンバーは、この場で緊急会議を始めたんだけど、ゴンザレスさんの説得とイライラし始めたテンの唸り声で鳥たちもペット認定された。
「えぇと……リールさん……こちらのレアモンスターの雛? もペット認定させていただきます……。名前はお決まりですか?」
なんだか疲れた様子の理事長に聞かれたあたしは、足元でピヨピヨと鳴く鳥たちを見つめる。……ん~……名前ねぇ……。
「……ホウとオウ……」
相変わらずネーミングセンスないな、と自分で思ってると、ホウとオウが光り始めた。そして光の玉になって消えた。デジャヴ! 超デジャヴなんだけど!
みんなが「何が!?」とか「どこへ!?」とか騒ぐ中、武装モードに変身して魔徹を抜いてみた。
「シンディ……それ……」
いつの間にかあたしの隣に来てたマックが呟いた。うん、やっぱりか。
「ホウとオウはここに納まりました」
魔徹を持って理事長に見せた。魔徹の鞘の龍の彫刻に、いつもテンたちは納まってる。テンは龍の口、シンとハンは龍の手の中だ。
新しくペットになったホウとオウは、龍の目の部分にはまってる。
「リールさん! 定期的にペットたちを観察させていただいてよろしいですか!?」
ゴンザレスさんは大興奮だ。チラッとテンを見ると、嫌がる素振りはない。
「うん、いーよー」
理事長を置いてけぼりに、話はまとまった。新ペット、ゲットだぜ!
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