幽幻會社 夢現堂

Levi

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自己紹介

桃田 百合子

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 俗にいうヒキニートにプラス喪女。まだかろうじて20代ではあるけれど、間違いなく「パラヒキニート」に進化予定な残念な女がおりました。

 いや、私のことなんですけどね……。私こと、桃田百合子ももたゆりこ、26歳。
 この度、あやかし達とお仕事をすることになってしまいました!

 事の経緯は話せば長くなるんですが、ぜひ聞いて下さい。切実です。

 私、子供の頃からいじめられてこそいませんでしたが、とってもコミュ障だったんです。
 でもね、やっぱりお友だちって欲しいじゃないですかー。子どもの時ほど、ぼっちってキツイじゃないですかー。

 小学生の頃は私、女の子よりも男の子のほうが話しやすかったんで、話しのきっかけを作る為にゲームをしたり、少年誌(少年ダッシュとかゴロンゴロンコミックとか)を読んだり。
 なのでたまに遊んだり、話す程度の男友達はいました。はい、過去形です。

 中学生になり、お互いの性別を意識し始める年齢になると、喪女の私は男の子達から「喪女田」と呼ばれるようになり避けられました。えぇ、見事な喪女ですから、桃田とも呼んでくれなくなりましたよ。
 そこで仲良くしてくれたのが、喪女グループでした。彼女達も少年漫画が好きだったので、特に浮く事もなくそのグループに馴染めました。

 喪女グループは私を含めて四人組だったんですが、その内の二人が進学校に、私ともう一人はそこそこのレベルの女子校に進みました。

 女子校に行くと新しいお友達が増えました! やっぱりみんな喪女ですがね。そしてみんな腐臭がすごい……いえ、みんなちゃんと生きてますよ。ちょっぴりお腐りになってるだけです。
 ……喪女グループは見事な腐女子グループになってしまいました……。

 私は興味なかったんですが、せっかく出来たお友だちを失うのが怖くて、我慢して付き合っていたんです。オ腐会だけは、なんだかんだと理由を付けて行きませんでしたが。

 そんな私たちも高校を卒業し、成績もそんなに悪くなかったので大学に行ったんです。えぇ、見事にそこで挫折しましたよ。

 他の喪女……もとい腐女子グループは都会の大学に進学し、私は自宅から通える範囲の大学だったんですが、そこがいわゆる意識高い系の集まりでした。
 男子も女子もみんなシュッてしてるんです。シュッて。
 服なんて着てればいいって感覚の私からすると、みんなオシャンティーなんですよ! 私みたいにスッピン、髪の毛一本縛りのよれよれトレーナーなんて着ていないんですよ!

 えぇ、ご想像通り見事に浮きまして、誰も話しかけてくれない……講義の時も私の隣はいつも空いているって具合でした。

 流石に焦った私はサークル活動をしようと思い、入ったのが「漫画研究部」いわゆる漫研です。

 でもそれも間違いでした。基本的に意識高い系の集まりなんで、漫研の皆さんはガチ勢でした。ガチ勢すぎて会話に付いて行けず、大学のどこにも居場所がないことに気付き、徐々に引きこもりに。
 見事にスタープラチナ・ザ・ワールドですよ。私だけそこで時間が止まってしまいました。

 引きこもりになってすぐに、私に激甘なお母さんは退学届を出してくれたんです。はい、ダメ人間の出来上がりです。元々ぽっちゃりがピザになりました。

 時は流れて成人式。これも引きこもって行かなきゃ良いものを、行ってしまったんです。ピザが着物を着るとどうなるか?
 はい、正解は暑くてたまらないです。

 久しぶりに会った旧喪女グループや腐女子グループのみんなは、綺麗に着飾り見事な今どきの女の子になっていました。何人かは彼氏がいるって聞いて、心拍数が上がりました。

 暑さと心拍数上昇で汗が止まらなくなった時に、周りから「力士かよ」という声が聞こえ、振り向くと私を指さして笑っているパリピたちがいました。
 もちろんその場で泣きながら帰り、もう家から出ないと誓いました。

 そのまま数年。立て続けに何件かの「結婚します」の報告が届きます。その一年後には「赤ちゃんが産まれました」の年賀状も届きます。
 みんな同じような青春を過ごしたお友だちです。なぜこんなにも違う人生になってしまったのでしょうか?
 私にとってはその報告が痛恨の一撃、二撃……オーバーキルでした。

 もう何年も外に出ていないニートは、当たり前ですが御祝儀だって用意できないし、パーティードレスだって持っていません。
 ……馬鹿な私はそれを完全無視し逃げました。布団の中へ。非現実世界へ。
 結果、お友達すらいなくなりました。

 転機は今年のお正月でした。一つ年下の弟が神妙な面持ちで帰って来ました。ちなみにこの弟、いわゆるエリート街道まっしぐらのリア充です。爆発しろ。

 夜、聞こえてしまったんです……。
『今すぐにでも結婚したい人がいる。けど、あんな姉ちゃんいたら破談になってしまう。親父、何とかしてくれ!』
 ってね。私が爆発しそうになりました。

 弟まで結婚とか……一周まわって大草原不可避。

 毎日ビクビクしながらも知らないフリをしていたある日、ついにお父さんに呼ばれました。

『もう限界だ。この家から出て行け! 住む場所も、三ヶ月は暮らせる資金も用意した。これが限度だ。仕事を探して自立しろ!』

 私に激甘なお母さんも一緒にお父さんに怒られ、私は翌日、隣町のボロアパートに強制的に連れて行かれました。
 お母さんはこっそりと、しばらくの間の食料と面接用のスーツを一式買ってくれました。これは本当に助かりました。

 さぁここから、憧れてもなければ念願でもない独り暮らしが始まります。
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