D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第十三章

君たちといつまでも

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「「「ヨットレース?」」」
 俺とシャマーさんの会話に耳をそばだてていた連中が一斉に声を上げた。そう、今日は彼女たちにヨットを体験して貰うのだ。
「ヨットなんて初めてなのだ!」
「そうだにゃん! しかもレースなんて……」
 アイラさんとマイラさんが揃って不安を口にする。いやシャマーさん曰く魔法の達人な姉妹二人本当は祖母と孫のことだ。「ヨット」が初めてなだけで「魔法のヨット」なら経験ありそうだけれど。
「私たちも船そのものは毎回乗っていますけど自分で操ったことは……」 
 そう漏らしたのはガニアさん達ベテラン勢だ。アローズは船でホームスタジアムへ入ることが通例になっており、彼女たちはその経験を本拠地での試合の数だけこなしている。だから乗船した経験なら山ほどある。無いのは操船の方だ。
「大丈夫です。専用コーチを連れてきていますから。ユウゾさん、ヤカマさんお願いします」
 俺が船室の方へ声をかけると、中から二名のエルフ男性が姿を現した。
「うむ、よろしく」
「こんな綺麗なお嬢さんたちをコーチできるなんて、僕ぁ、幸せだな~」 
 エルフと思えぬ逞しい身体を黒く日に焼いたオッサン二名である。
「ショウキチさん、この方々は?」
「俺の釣り仲間で普段は漁師をされているオジサンたちです。二人がそれぞれのヨットを担当して掃除から操船まで教えてくれますので、みなさん午前でマスターして下さいね。で、お昼を挟んで午後にレースをしましょう」
 俺はダリオさんの質問に答えつつ、近くに立てかけていたボードをひっくり返す。そこにはそれぞれの船のメンバー分けが記されていた。
「掃除から操船まで……でござるか?」
「お姫様にそんなことをさせるんっすか!?」
 ナイトエルフのコンビ、リストさんとクエンさんが驚きの声を上げる。今日は二名ともサングラス姿だ。リストさんが格好良い遮光眼鏡を作ってきたのを見て、クエンさんも欲しがったのだ。ドワーフ戦は地下のスタジアムだったので不要だったが、眩しい日差しの船の上では必須だろう。
「掃除は基本ですし、船の上ではおかの身分は関係ありません。船長であるユウゾさん、ヤカマさんの言うことを聞いてしっかり励んで下さい」
 俺がそう言うと釣り仲間たちはビシッ! と親指を立てた。実は彼らが面倒を見るのは午前だけで午後のレースはそれぞれのチームで船長など決めて貰うのだが、その説明は後で良いだろう。
「ちょっと気になったんだけどよ」
 湖と同じ青色の髪をしたティアさんがチーム分けのボードを眺めながら言った。
「お前は何をするんだ? どっちにもいないけど?」
 ティアさんと湖ってぜんぜん似合わないなあ。あとお前じゃなくて監督、な?
「俺はあっちでみんなの奮闘を見ながら釣りしてます。自分のボートで」
「はぁ!?」
 俺がそう言うと一斉に抗議の声が挙がった。
「サボリだ! お前も水をかぶれ!」
「そうだーショーキチ労働放棄するなー!」
「ネグレクトだー!」
 誰が欧州最優秀選手もとったチェコの英雄ネドベト選手やねん!? 俺は騒ぎ立てるティアさんルーナさんシャマーさんを手で制し口を開いた。
「俺は日頃から船に乗ってるし、今更なんですよ。まあどうしても、って言うなら午後からのレースには参加しますけど」
 ハッキリ言って彼女らの思考パターンはもう分かっていた。なのですぐさま続ける。
「それで俺とヨット二杯の三つ巴で勝負しましょう。勝ったヤツの言うことを何でも聞く、って賞品を賭けて」
 俺が「賞品を賭けて」と口にすると、全員の目と耳がこちらを向いた。
「へーあんな貧相なボートで?」
「何でも、と言ったな?」
「子種とか無理なのは無しですよ?」
「チッ」
 おい今、誰が「チッ」って言った!? あと俺のディードリット号を貧相とか言うなや。
「先に言っておきますけど、俺が勝ったら『デス90』をやって貰うかもしれません」
「なっ!」
 俺が例の特訓――スローインやFK無しで休み無く行う試合形式の練習――の名を挙げると、選手全員が血相を変えた。
「やべえ! これは負けられねえ!」
「ヤカマさん、ユウゾさん! ご指導をお願いします!」
 アローズの皆は慌てて組み分け通りの船に分散し、動き出す。
「現金だな~。ま、いっか」
 俺はその風景を眺めながら、釣り竿などを持って自分のボートへ移動した。まあせいぜい頑張ると良いさ、くくく……。
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