D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第十四章

父は強し

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 そんな訳で俺は今、鍛えた肉体を見せびらかすようにしてオーク側のウォーミングアップを観察しているのである。

 まあ「鍛えた」と言っても魔法のように一晩でムキムキマッチョマンになれる筈もない。ただ見せ方には幾つか工夫できる部分があって、当日の朝から筋トレをして筋肉に緊張を与え、いつもよりサイズの小さいシャツをきて「パツパツ感」を演出し、水分を一切とらず干し芋だけ食べてその状態を維持する……という小技を積み重ねている。

 更にステフの言う「男のベスト姿は女の見せブラ見せガーターベルト」説に則り、ジャケットを脱いでベスト姿で腕まくりをした。

 つまりこれらが彼女らの言うやりYO! じゃなくてやりよう――俺を更にオーク好みのマッチョに魅力的にする――だった。

「天国のお父さんお母さんごめんなさい……」

 無性に恥ずかしくなって俺は思わずそう呟いた。悲しいかな、そして意外な事に、そう嘆息せずにはいられないくらい効果は絶大だった。

 ウォーミングアップの手順を間違えて変な場所でターンするFP、余所見してボールを顔面で受けるGK、ニヤニヤした表情と苦々しげな顔を交互に行き来するサンダー監督……。

 こういう時にチームメイトを叱咤し気を引き締めさせる存在、キャプテンのペイトーン選手はリーシャさん――今も砂かぶり席でサポーターさんを顎で使いふんぞり返っている――が気になってそれどころではない。

 これこそが、俺が試合前ピッチでのウォーミングアップ時に自チームではなく相手チームを見る事に決めた三つ目の今回だけの理由だった。

『ぽぽぽぽん! ウォーミングアップ終了の時間だYO! 名残惜しいだろうけど両チームともとっととロッカールームへ帰ろう歌!』

 恐らくエルフ語とオーク語で練習終了を知らせる内容のアナウンスが繰り返され、楽し気な音楽が流れ始めた。

「ショーキチ殿! 行く時間であります!」

「了解です、ありがとうございますナリンさん! 行きましょう」

 俺がオーク側を見ている間にその背にボール等が当たらないよう守り、もちろん普通にコーチとしても選手達のアップを手伝っていたナリンさんが俺を呼んだ。それに笑顔で応え駆け足でコンコースへ向かう。

 昨日はサンダー監督にしてやられたが、どうやら試合前に一本取り返したかもな。


 ロッカールームに戻ったものの、俺は前回と同じくドアの前に立ちナリンさんからの連絡を待っていた。例の着替え待ちである。この一手間が

「ああ、俺はいま女子の集団を率いているんだな」

と懐かしくも面白い感覚を与えてくれる。

「監督、準備オッケーです!」

 ナリンさんの声を聞いて俺は感慨を振り切って更衣室のドアを開ける。

「「パパー! お帰りなさい」」

 そんな俺を迎えたのはガラガラや赤ちゃん用の玩具が散らばった部屋と選手達の合唱だっった。

「なっ!?」

「ねねんコロリよイチコロヨ! ……あ! おい、パパが帰って来たぞ!」

 ロッカールーム中央にはご丁寧にクルクル回るヤツ(後に聞いたがベッドメリーと言うらしい)が吊されたベビーベッドが鎮座しており、その脇ではティアさんが子守歌のロックアレンジを歌っていた。

「バブーブヒ! パパパパーブヒ!」

 一方、赤ちゃん役はユイノさんで、その長身をたぶん特製のおくるみで包み、鼻にはパーティーグッズにあるような豚鼻もつけていた。

 もしかしてこれは……オークの赤ちゃんという事か!?

「君たちね……」

「もちろん、私たちは全力と尽くして勝利を目指しますが、もし負けた場合はショウキチ殿はオークのパパになりますでしょう? そうなった時に悪いので、せめて我々で予行練習をして差し上げようと思いまして」

 目眩がして柱にもたれ掛かった俺に、腕に襁褓を巻き付けたダリオさんがにこやかに微笑みかける。良く見れば赤ちゃん役のユイノさん以外の全員が、キャプテンマークのように可愛い布を巻いている。

「準備の良い事で……」

 アローズの面々は全員、ドッキリが成功してニヤニヤと笑っていた。ドワーフ戦の時も思ったが、彼女たちに緊張という概念は無いのか? これは少し引き締めないと……と言葉を探す間にある合図の音楽が聞こえてきた。

「えっと! 今日は何も言いません。いや、これは関係なくてもともと言葉をかける気はありませんでした。その代わりにこれを見て下さい!」

 残念だが時間が無い。俺は彼女たちに苦言を申す代わりに、特別にロッカールーム端にセットした魔法の映像装置を起動させた。
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