D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

文字の大きさ
316 / 700
第十八章

少林サッカーの実情

しおりを挟む
 エルフ代表9番、ポイントゲッターにして退場王。それが昨シーズンまでのタッキさんだった。
 別に悪質な反則を繰り返す訳ではない。ただ本業がモンクであるだけに、たまに鍛え上げられた手足や頭が凶器として牙を剥くだけなのだ。
 いや記録を見たらたまにというか、まあまあの頻度ペースで。肩同士のチャージで相手が肩を外す、ヘディングの競り合いで頭をぶつけ合って相手だけ意識を失う、シュート後の振り足に相手DFがスライディングで突っ込む吹き飛ばされる……。
 昨シーズン終盤のトロール戦でも果敢にオーバーヘッドシュートを試み見事にDFの顔面を粉砕している。相手がトロールだから良かったものの、かなりの大惨事だった様だ。
 因みにその時のレッドカードで後日に審査委員会が開かれ――イエローカードを二枚貰って、ではなく一発でレッドカードが出た場合は、必ず委員会で原因となった反則を審査し、その悪質さや影響を考慮して処罰が決定される事になっている――追加の出場停止試合(3試合追加で計4試合)とその措置がシーズンを跨ぐ事も決定。最終節のミノタウロス戦はもちろん今シーズン序盤のオーク戦とガンス戦も欠場していたので、ここまでほぼチームに組み込めなかった。彼女はその間、寺院に戻って『面壁めんへき』という壁に向かって座禅する修行と言うか反省をしていたそうな。
 そんなタッキさんではあるがストライカーとして優秀なのも事実であった。その寺院で鍛えた身体と技術で予測不可能なプレイを連発し試合ではゴールを量産。エルフにしてはややボール扱いが不得手でタッチ数が増えると怪しくなるが、鋭い嗅覚とどんな当たりにも動じない強さでゴール前へ飛び込み得点を上げる。
 ただ……繰り返すが反則が多い。
「出れば得点かレッドカード」
という扱い辛さは清く正しいサッカードウを目指すアローズとの相性も悪く、背番号9を与えられるという期待と安定してスタメンでは使われないという不遇の両方を味わってきた。
 果たして今シーズンはどうなるか? と言った所だが……幸先はあまり良くないかもしれないなあ。

「まああの肘も、自分の制空権を確保しただけでタッキさんは悪くないし」
「どうしたのショーキチ? 性感帯を暴露したいって?」
 タッキさんの弁護を呟く俺に話しかけてきたのはルーナさんだ。しかしまあなんちゅう聞き間違いを!
「性感帯ちゃうわ制空権やわ! しかも暴露なんかするかい!」
 俺がそう突っ込むとルーナさんはおかしそうにくくくと笑った。
「何がおかしいんだよ」
「いや、少しは余裕でた? さっきはせっぱ詰まってたみたいだけど?」 
 ルーナさんに言われ少し悩んで、俺は思い当たった。
「あ……さっきの罵声、聞こえてた?」
「うん。ショーキチも焦って喚くことあるんだなーって」
 しまった失念してた。ナリンさんだけじゃなくて、ルーナさんも日本語分かるんだった。なにせ彼女はあのクラマさんの娘だもんな。
「あの、みんなには黙ってて……」
「うん。ショーキチが卑猥な言葉を叫んでた、て言っておく」
「いや言ってへんし!」
 俺は慌てて訂正を求めたが、選手交代も行われそろそろ試合が再開しそうだった。
「じゃあ行くね」
「あ、ルーナさん待って!」
 俺は自分のポジションへ戻ろうとするルーナさんを呼び止めた。
「なに?」
「本当はゴブリン戦まで温存するつもりだったけど、ごめん」
「別にいいよ。ショーキチがいろいろ手を回してくれたから、いつもより楽だったし」
 具体的に口にするのははばかられるが、これは例の女の子の日絡みの事だ。
「そう言って貰えると助かるけど……無理はしないで」
『だめ。ショーキチの為なら無理したくなっちゃった』
「え? なに?」
 ルーナさんは急にエルフ語に切り換えて何か言った。
「なんでもない。とりあえず、追いつくよ」
「うん? ああ……」
 去る彼女に曖昧な返事を返すしかできない。何せまだ1点負けている。この苦境を打破するには個人の質でサイドを制圧するしかなく、それにはルーナさんの力が必要だ。
「ルーナがどうかしたでありますか?」
 そこへ、タッキさんへのアドバイスを終えたナリンさんがやってきた。
「いいえ、特におかしな事は。それよりタッキさんはどうです?」
「反省していました。ただ我々も『前の様に足を高く上げてファウルを貰わないように』と言い過ぎていたかもであります……」
 ナリンさんが肩を落として言う。うん確かに『○○するな!』って言うタイプの注意をするとそれだけ注意して他が疎かになるとか、逆にそれをしてしまうとかあるよね。こっちも悪かった。
『肩を落としている暇はないぞ! 残り時間は僅かじゃ!』
 そこへジノリコーチがやってきて、俺たちの手を引っ張る。
「我々が落ち込んでどうする? とジノリコーチは言っているであります。その時間が勿体ないと」
「それもそうだ。出来ることを考えましょう!」
 ナリンさんの通訳を聞いて俺は頷いた。確かに、反省なんて試合の後でやれば良いしな!
『ダリオとタッキの位置は逆じゃな。あとガニアにもっと広がらせて……』
 手を引きながらもジノリコーチはブツブツと何かを言っている。彼女は多少、追い詰められても全く諦めていない。これが不屈のドワーフ魂ってやつか。
「一つか二つはまだチャンスがあるか?」
 俺は脳内の秘策を幾つか吟味しながらテクニカルエリアへ向かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...