D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

文字の大きさ
337 / 700
第十九章

闇で回されたもの

しおりを挟む
 考えれば簡単な事だった。選手達の湯上がり乱れ姿が目の毒エッチ過ぎるなら、暗くして見えなくしてしまえば良い。俺にはエルフやドワーフやゴブリンの様な夜目も、ピット器官もない。暗かったら見えないのだ。
 しかも『暗くしたのはスクリーンの映像を見え易くする為』という大義名分だってある。
「あいヨ!」
 女将が指をパチンと鳴らすと、俺達の後方の壁に魔法の壁が現れ『ゴブリンチームの特色』というタイトルが流れた。同時に広間が一気に暗くなる。
「みんな、スクリーンも手元も見えるね? じゃあ食事しながらで良いから聞いてねー」
「「はーい!」」
 ここにいる種族は、俺とザックコーチを除いて皆が暗闇でも見通す能力を持っている。ザックコーチだけやや不憫だが、彼のお膳の下も例の燃料が燃えており食べ物を口へ運ぶくらいは平気だろう。
 俺は……どうせ説明が終わるまでは食べないつもりだったし。いやはや俺はなんと愚かだったのだ。暗かったら見ずに済む。その愚かさの代償として、多少の空腹は受け入れよう。
「では! 言うまでもなくゴブリンチーム攻略の鍵は『攻撃をどう止めるか?』にかかっています。今回は時間もないし、そこにポイントを置いて説明を……」

「……という方向で対処すれば問題ないでしょう。大丈夫、君たちならきっと勝てます」
 20分後。プレゼンとしては実はあまり褒められた態度ではないのだが俺は極力スクリーンの方を向いて対策法を述べ、時折みえないまま選手達の方へ視線をやるフリをして口上をほぼ終えた。
「ただカーリー選手の攻め上がりだけは担当を決めておかないといけないので、ダリオさん!」
「はぁ~い!」
 俺が呼びかけると暗闇の一角からやけに明るい返事が返ってきた。なんか軽いぞ本当にダリオさんか? 誰かがふざけて代返しているとかじゃないよな?
「あっ、動画は出さないしもう良いかな? 女将さん、灯りをつけて貰えますか?」
「ほいきタ!」
 ここからは選手の顔をちゃんと見て話す方が良いだろう。俺がお願いすると女将さんの声がすぐ側で聞こえ、宴会場は再び明るくなった。
「ありがとうございます。えー、ゴブリン戦ではダリオさんにはFW、2TOPの片割れに入って貰いますが、カーリー選手が上がる場合はマンマークで……あれ? 聞いてます?」
 俺はナリンさんと共に大きな作戦ボードをセットして当日のフォーメーションを示し、途中でダリオさんの方を向いた。そして、彼女がお膳の上に半ば倒れかかるような姿勢で話を聞いているのに気づいた。
「聞いてまふぅ~」
「え? どうしたのですか!? あ、良く見たら他の皆も!?」
 一般的に言って、温泉に入って体が暖かさを保つのは良くて10分程度である。それは身体がエルフで温泉がゴブ院温泉でも変わりはない――そもそも効用は保湿や保温ではなく子宝と言うてたやんけ――筈だ。
 ならば何故、選手達は湯上がり直後よりも今の方が肌が赤く火照っていて、ぐったりした様子で食卓に崩れたり寝転がったりしているのだ!?
「(もしかして食事に何か盛られた!?)」
 俺はとてもそう思いたくなかったが、慌てて女将さんの姿を探す。
「いない!?」
「ん? どうしたんだショーキチ?」
 俺がキョロキョロしているのを見て、瓢箪のようなモノから何かを飲んでいたステフが不思議そうに声をかけた。
「いや、女将さん何処へ行ったのかな? と」
「ああ、彼女には追加おかわりを取りに行って貰ってる。足らなくなったんでな」 
 ステフは瓢箪を完全に逆さにすると、片目でその中を覗き込みながら言った。
「取りにって……何を?」
 そう言いながらも、俺はステフのその仕草に何となく察するものがあった。いや、ステフの仕草だけではない。選手達のこの状態や空気感を、俺は確かに知っている!
「あいヨ! 追加のゴブろくお待チ!」
 そこへ女将が戻ってきた。彼女の両腕には抱えきれない程の瓢箪のようなモノが積み上げられている。
「あの、女将さん? ゴブろくって何ですか?」
 見れば宴会場のあちらこちらにも空になったそれが転がっている。
「わーい! 追加来た~」
「おお、回せ回せ!」
 何となく答えの想像がつく俺の横にユイノさんとティアさんがやってきて、女将さんの荷物の一部を奪って去る。
「ゴブろくはナ! ウォルス特産のにごり酒だゾ!」
 女将はニコニコしながら他の選手たちにもゴブろくを渡していった。
「もしかして……俺が説明している間にみなさん呑んでた?」
「オウ! 晩酌には欠かせないからナ!」
「とっても美味しいのよ、ショウキチさーん」
 いつの間にか近寄っていたダリオさんがそう言いながら俺に抱きつき、色っぽくしなだれかかりながらゴブろくを呑ませようとしてくる。
「ダメです! てかそもそも作戦会議中に飲酒なんて……」
「ええ~でもー」
 目を際どい部分から、身体を正面から剃らそうとする俺をしっかりホールドし、ダリオさんは続けた。
「ちゃんと途中で許可を取ったわよね? 目、で」
 ダリオさんはそう言って可愛らしくウインクをした。
「あっ!」
 言われてみればしてたわ……。何となく当てずっぽうで、暗闇に向かって何度か頷いていた……。
「もう、ワガママなショウキチさん。口移しじゃないの呑まないなんて!」
 言ってません! 誰か証明を……と助けを求めて見渡すが、他のコーチ陣もいつの間にか選手達に飲みハラを仕掛けられている!
「じゃあ、どうぞ……」
 そう言うとダリオさんは一口ゴブろくを含み、俺に唇を合わせて一気に舌ごと突っ込んできた……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...