D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第二十五章

ロビーのアレ再び

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 ツンカさんの部屋を出た俺はロビーに向かい、待ち合わせ相手の姿を探した。
「しょ、ショーキチ殿! こちらです! モガモガ……」
 探した、筈だが先に見つけられた。例のロビー内カフェテリアで食事していたナリンさんが俺を発見し、手に持つ何かを振って俺に呼びかける。悔しいが視力の差は如何ともし難い。
「お待たせしました。ってまたカレーですか!?」
 近寄り彼女が何をしていたか分かり、俺は思わず吹き出す。ナリンさんはカフェの4人掛け席に座り、カレーを食べていたのだ。さっき俺に向けてかざしていたのはスプーンだろう。
「ええ、しばらく食べられないと思って……モグモグ」
 ナリンさんはそう良いながら残りを片づけに入る。確か在日米軍の軍人さんにも日本のカレーライスが人気で日本を去る際には食べ納めすると聞いた事があるが、今の彼女はそれに近い感じか。
「カレー、食堂のメニューに加える考えはあるんですけど」
「……ん!」
 俺がそう告げると口内に食べ物があるナリンさんは切れ目を丸くして驚きと喜びを表した。
「いや、まあ導入は少し先になると思うんですけどね。ラビンさんもしばらく不在ですし」
 俺はぬか喜びさせてはいけないと思って慌てて付け足す。旦那さんであるフィジコのザックコーチと奥様である食堂のコック長ラビンさん、二人を別々に休ませるのは酷だ。帰国後、彼女にも休暇を与えて夫婦で何処かへでも行って鋭気を養って貰う予定なのだ。
 コック長がいない状態で……新メニューは難しいだろう。
「ブヒキュアのお二人では無理なのですか?」
「あー」
 カレーを飲み込んだナリンさんが、しかし俺の見解は簡単に飲み込まず訊ねる。彼女の言うブヒキュアとは俺がオーク代表から引き抜いたコック兼メイドのナギサさんとホノカさんの事だ。
 鋼を束ねたような筋肉で岩を削りだしたような体躯を包む彼女らはハーフオークの黒ギャルと白ギャルで、しかも料理の達人という情報過多な存在ではあるが、そのうえ魔法少女でもあるという。もしかしたら魔法でカレーを再現できるかもしれない。
 と言うかナリンさん粘るね!? そんなにカレーに固執する!?
「彼女たちならすぐ作れるかもしれませんね……。ナリンさんからお願いして貰えますか?」
 俺は苦笑しながらそう言い、彼女が即座に頷くのを見て更に笑った。まあ笑ってもいられないけど。
 と言うのもナギサさんとホノカさん、二人のブヒキュアにはまだ情報と言うか秘密がある。彼女らの逞しいオークの外見は魔法によって変身したモノで、本来の姿は人間基準での『美しいギャル』であり、俺の子種を獲得しオークへ持ち帰るという公然の密命――言葉として破綻している気がするな!――を受けてもいるのだ。
 流石に力付くでどうとか魔法で魅了して、とかの手段はとってこないが接触は出来るだけ減らし、するにしてもビジネスライク他人行儀な態度で接するのがベターだ。
「ショーキチ殿の身を捧げる価値は……いや、あるかもしれませんね!」
「ちょっとナリンさん!」
 彼女の珍しい下ネタに俺は思わず声が大きくなる。
「ショー殿が遂に身を捧げるでござると!?」
 だがそれよりも更に大きな声が、後ろの座席から聞こえた。

「うわっ、リストさん!?」
「あら、来ていたのですか! どうぞこちらへ……」
 俺とナリンさんはいつの間にか背後の席にいたナイトエルフに気づき、それぞれ声を出す。
「異国の地、敗戦の傷、スパダリが高級ホテルの上層階に取ったエロい部屋……舞台は申し分ないでござるな!」
 リストさんはブツブツと呟きながらナリンさんの導き通り、さっきまで敏腕コーチが座っていた場所へ座りデイエルフは俺の隣に座り直した。
「いや違うんだけどね、リストさん」
「しかも互いの傷を舐め合うように交わるのは、いつもより激しくなって良いと言うでござる!」
 それシャマーさんからも聞いたよ! あと『遂に身を捧げる』のか『いつも』があるのかどっちだよ!? 設定ブレてるぞ!
「我々が気にしているのはリスト殿の傷の事で。大丈夫ですか?」
 俺がリストさんへのツッコミにかまけている間に、ナリンさんが敏腕コーチの名に恥じない働きをみせてナイトエルフへ問う。
「拙者!? いや~拙者は負傷など」
「メンタルの方がさ。PK失敗を引きずってそうだし」
 韜晦しようとするリストさんに、今度は俺もちゃんと問いかけた。
「いや、そんな事ないでござるよ~。ピッピピーピー♪」
 しかし二刀流のナイトエルフは漫画みたいに口笛を吹いて誤魔化す。
「夜中に口笛を吹くと蛇がくるよ?」
「ひいぃ!!」
 俺がそう言うとリストさんは悲鳴を上げて立ち上がり、さっと周囲を見渡した。いや俺たち以外には誰もいないし、隣はさっきまで彼女自身が潜んでいた座席なんだが。
「ごめんごめん、嘘嘘! PKだけじゃなくてゴルルグ族にも苦手意識が出ちゃったか」
 まさかそんな迷信がナイトエルフにもあるとは思わず、軽率に口にした事を俺は後悔した。
「いや、ショー殿は悪くないでござる! その、ゴルルグ族相手は得意だろう、と期待されていただろうに、それに応えられなかった事が悔しくて……」
 謝罪する俺にリストさんは素早くフォローを入れる。珍しい。彼女ならもっと誤魔化したり、変な事を言って煙に巻いたりすると思ってた。
 だから、少し時間を空けてわざわざロビーへ呼び出して話し合う事にしたんだけど。ナリンさんの提案で。
「この場には俺たちしかいませんから、腹を割って話しましょう」
 あのリストさんがこんな素直に心境を語るとは、よほど堪えているのだろう。ナリンさんの言う通り呼び出して正解だったな。俺はしっかりと彼女の目を見て口を開いた。
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