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斯くして魔法使いは魔法少女になった。しかし、失くしたものは大きい。
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桜川 彩菜。魔法使い擁護派の大物政治家である、桜川 幻像議員の一人娘であり、眉目秀麗、文武両道を地でゆくお嬢様学校に通う14才の少女であり、有栖川 風音の同級生でもある。
学校では成績優秀、質実剛健、みんなのお手本になるような優等生でありながら、妬まれるようなこともなく、他の生徒たちに大人気だったりするが、経済界の大物である有栖川家の一人娘である風音とは馬も反りも合わずよく反発しあっているらしい。
……手渡された資料にはそんな事が書かれていた。
ふむ。確かにテロリストに狙われて然りといった身の上だが、だからと言ってこのお嬢様が狙われていいってことではない。
風音にも花梨にも言えることだが、魔法使いや要人の娘である前に1人の女の子なのだ。
なんで14才の女の子が命を狙われなきゃならんのだ。ふざけすぎだろ。
「花梨は桜川のお嬢様とは繋がりはないのか?」
瑠依とあいと戯れながら風音とバトルを繰り広げるお嬢様に目をやりながら尋ねる。
「うん。会ったのは今日が初めてだよ」
花梨はそう答えた。
なるほどなるほど。
花梨も花梨で、有名な女子校に通っているから、どこかで繋がりがあればと思ったが、特になかったようだ。
☆
「なぁ、桜川さん?」
「はい。いかがなさいました?」
「正直に答えてね?」
「はい」
「何か隠してない?」
警護対象であるところの桜川さんたっての希望により、今、俺は桜川さんと2人で風音、花梨、瑠依、あいとは違う部屋にいる。
これ幸いにと、俺は気になる事を聞いてみた。ちなみにフランクな話し方でと言われたからの口調なのは言うまでもない。
「……と、おっしゃいますと?」
僅かだが、表情を曇らせたのを見逃さない。
「いや、ほら、風音……有栖川に対しての態度がさ、あまりにもアレだからさ」
俺が風音と言った時、またしても一瞬、表情を変えた。
「随分と親しいのですね、有栖川さまと」
そう言った桜川さんの表情は作った笑顔だった。
「ん、まぁ、お互い魔法使いだし、それなりに付き合いが長いしね」
俺がそう言うと、桜川さんは暫く沈黙したあと、呟くように言葉を吐き出した。
「……私、魔法が使える様になりました」
「うん」
「……驚かれないのですね」
俺の返事に弱々しく彼女は応じる。
「まぁね、慣れてるからさ」
慣れたくなんてなかったけどね。
瑠依のアレは感じることができなかったし、あいのアレはそれ以前の問題だけど。
「私、どうなってしまうんでしょう……。今の学校を辞めるのなんて嫌です……」
泣き出しそうな表情で彼女がそう言ったのとほぼ同時に大きな爆発音が響き、建物が揺れた。
「俺から絶対に離れないで。なにがあっても、何が相手でも絶対にケガ一つさせないから」
俺は驚き、唖然とする桜川さんの腕を引き、右手で庇うように肩を抱きながらそう言うのだった。
と、その時、ドアが勢いよく開き、俺のパーティメンバーである4人が部屋に飛び込んできたのである。
「大丈……ぶ……!?」
「な、なんですのその格好は!?」
そして、俺が桜川さんの肩を抱いているのを見てなのか、言葉途中に絶句する風音と、勢いよく飛び込んできた4人が魔法少女のコスプレをしているのを見て狼狽する桜川さんと言う、なんともしがたい空気が生まれてしまった。
学校では成績優秀、質実剛健、みんなのお手本になるような優等生でありながら、妬まれるようなこともなく、他の生徒たちに大人気だったりするが、経済界の大物である有栖川家の一人娘である風音とは馬も反りも合わずよく反発しあっているらしい。
……手渡された資料にはそんな事が書かれていた。
ふむ。確かにテロリストに狙われて然りといった身の上だが、だからと言ってこのお嬢様が狙われていいってことではない。
風音にも花梨にも言えることだが、魔法使いや要人の娘である前に1人の女の子なのだ。
なんで14才の女の子が命を狙われなきゃならんのだ。ふざけすぎだろ。
「花梨は桜川のお嬢様とは繋がりはないのか?」
瑠依とあいと戯れながら風音とバトルを繰り広げるお嬢様に目をやりながら尋ねる。
「うん。会ったのは今日が初めてだよ」
花梨はそう答えた。
なるほどなるほど。
花梨も花梨で、有名な女子校に通っているから、どこかで繋がりがあればと思ったが、特になかったようだ。
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「なぁ、桜川さん?」
「はい。いかがなさいました?」
「正直に答えてね?」
「はい」
「何か隠してない?」
警護対象であるところの桜川さんたっての希望により、今、俺は桜川さんと2人で風音、花梨、瑠依、あいとは違う部屋にいる。
これ幸いにと、俺は気になる事を聞いてみた。ちなみにフランクな話し方でと言われたからの口調なのは言うまでもない。
「……と、おっしゃいますと?」
僅かだが、表情を曇らせたのを見逃さない。
「いや、ほら、風音……有栖川に対しての態度がさ、あまりにもアレだからさ」
俺が風音と言った時、またしても一瞬、表情を変えた。
「随分と親しいのですね、有栖川さまと」
そう言った桜川さんの表情は作った笑顔だった。
「ん、まぁ、お互い魔法使いだし、それなりに付き合いが長いしね」
俺がそう言うと、桜川さんは暫く沈黙したあと、呟くように言葉を吐き出した。
「……私、魔法が使える様になりました」
「うん」
「……驚かれないのですね」
俺の返事に弱々しく彼女は応じる。
「まぁね、慣れてるからさ」
慣れたくなんてなかったけどね。
瑠依のアレは感じることができなかったし、あいのアレはそれ以前の問題だけど。
「私、どうなってしまうんでしょう……。今の学校を辞めるのなんて嫌です……」
泣き出しそうな表情で彼女がそう言ったのとほぼ同時に大きな爆発音が響き、建物が揺れた。
「俺から絶対に離れないで。なにがあっても、何が相手でも絶対にケガ一つさせないから」
俺は驚き、唖然とする桜川さんの腕を引き、右手で庇うように肩を抱きながらそう言うのだった。
と、その時、ドアが勢いよく開き、俺のパーティメンバーである4人が部屋に飛び込んできたのである。
「大丈……ぶ……!?」
「な、なんですのその格好は!?」
そして、俺が桜川さんの肩を抱いているのを見てなのか、言葉途中に絶句する風音と、勢いよく飛び込んできた4人が魔法少女のコスプレをしているのを見て狼狽する桜川さんと言う、なんともしがたい空気が生まれてしまった。
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