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真の化け物(筋肉抜きで)よん
「んじゃ、瑞穂くん。」
「ハイな。」
稽古を始めるに当たって、「スペイン最後のピース」を瑞穂くんに探しに行ってもらう。
どうせこの闘牛場のどこかでのんびり煎餅でも齧っているでしょ。
祖父にしても、何故か相馬の人間は還暦迎えても虫歯1本無い自分の歯で煎餅だろうと、ベーコンブロックだろうと、牛蒡の皮を剥いて丸煮にしたものでも、かりんとうでも、丸齧りしている謎民族だ。
父も僕も妹も、おおよそ歯医者には生まれてこのかた縁がない。
「なんか私だけなのよ。朝昼晩きちんと歯を磨いているのに。」
と、たまに歯医者に行く母が不満そうにしていたりする。
瑞穂くんのお母さんが何やらバスケットを抱えていたから、あれはご家族で何か食べているんだろう。
…一応、お見送りを兼ねている筈だから、僕らの分もあったかもしれない。
気にしないでおこう。
さて。
………
「これから一ノ瀬先輩、阿部さん、田中さんには一時的に自分の剣道歴をリセットしてもらいます。だから、自分に対するプライドやこだわりをこれから1~2時間だけ消してください。これは僕ら''相馬一族''の指導を受けて、尚且つ肉体と精神に余裕がある人じゃないと難しいからです。警察剣道である意味頂点に立った後藤(水野)さんと、これからも下の世代を指導していかないとならない早瀬助教にはおそらく無理ですので。既に定着し切っていますし、異物は取り入れるべきではないと思うからです。」
無理と切られた早瀬助教は一瞬ムッとした顔をしたけれど、僕と僕の弟子を名乗る阿部さん田中さんが大学剣道部を壊滅させた上、授業で剣道を教えていた若い人(助教だか准教授だか忘れた。学長に僕の体育の成績が優でない事を咎められてしょぼくれているらしい。何その、僕本人に一切影響のないざまぁ)をコテンパンにのしイカにした事や。
阿部さんと田中さんが、大学選手権でインターハイに続いて決勝を独占した事。
瑞穂くんに弟子入りした一ノ瀬先輩が、実績と能力では明らかに格上だった婦警さんを練習試合で圧勝した事。
そんな事(殆どここ1ヶ月の出来事だ)を思い出して、直ぐ納得してくれたみたい。
あと、普通の学生剣道とは異次元が過ぎる僕と瑞穂くんの剣道を考えれは、そりゃ余計な知識を「身体に」染み込ましちゃいけないだろう。
今後も大学で、教育者として歩んでいくのなら。
(弓岡さんが警視正という地位を''悪用して''引き抜く気満々ですが)
「では、まず準備体操から始めます。ストレッチの後、全力体操行きますよ。」
「げ、あれ?疲れるのよねぇ。」
「一ノ瀬先輩、私達は師匠に稽古付けてもらう時には必ずやってますよ。」
「あれね。関節が解れるのと、一汗かけるから、いきなり身体をマックスに持って行けるのよね。」
「瑞穂ちゃんは、そんな事言ってなかったもん。」
「瑞穂さんと師匠は、毎日朝5時6時には起きて稽古してますよ。…本人達は、というか師匠が掃除や草むしりやペットの世話や朝ご飯作りで忙しい単なるルーティンワークで動いてるから、お嫁さんを自称する瑞穂さんも寝てるわけにもいかないので、必然的に起きて来ます。」
で、家事スキルが年相応なので、無駄な抵抗を諦めた瑞穂くんは、道場で素振りを始めるわけですが。
さて、準備体操の指揮は水野さんに任せて、僕はっと。
即席道場の隅にある箱に刺さっている竹刀の内、スポンジ製の竹刀、いわゆるスポーツチャンバラ用の竹刀を2本引っ張り出した。
こんなものを用意してあるあたり、祖父は僕が何をさせるか先回りしてわかっていたらしい。
先回りね。
先の先ね。
………
「なんじゃなんじゃ。今更こんなババァを連れてくるな。あたしゃのんびり見物してたいのに。」
と、ブツクサ言いながら最後のピースさんが、本当におかきの袋を持ちながらやって来た。
言うまでもなく、大叔母である。
ブツクサ言いながらも、目が爛々と輝いているのは、僕の持つウレタン竹刀に興味津々だからだ。
あと、瑞穂くんも。
僕が竹刀を右に左に動かすと、2人の視線が右に左に振られる。
おやつをあげる時の、ピーちゃんやアナグマくんにそっくりだぞ。
「いち、に!いち、に!」
そっちじゃ全力体操してんのに。
いや単にラジオ体操第一を全力でやると、割と汗だくになりますよってだけで。
県警の稽古の時とか、一般企業の研修メニューに取り入れられているそうだけど。
面白いのは、慣れている元・道警の水野さんと、ウチの阿部さん・田中さんは汗だくになっているのに、早瀬助教と一ノ瀬先輩は汗こそ少ないのに明らかにキツそうだ。
全力と言いながら疲れ方に差があるのは、体幹の差なんだろう。
足捌きと素振りを徹底的に繰り返すのが我が家だからかな。
「はい、深呼吸ぅ。」
深呼吸を終えた早瀬助教と一ノ瀬先輩が頽れた。
あの、全力体操、初めてじゃないよね。
そんなに疲れた?
「全力体操の仕方がわかったんですよ。そこまで力を入れる事が出来たから、疲れたんです。」
「はぁ。」
そんなものなのかなぁ。
僕は昔から祖父に''そう''教わって来たし、瑞穂くんは瞬時に自分の体力の限界を搾り出す事が出来る。
それが「相馬一族」なのだと言われたら、不本意ながらも否定出来ない。
困ったものだ。
さて。
「さて。」
一休みと水分補給を終えた一同を次のフェイズに移したいんだけど。
「ハイ。」
「ほれ。」
どこかの自称・婚約者と、その祖母がスポーツチャンバラで遊び出したのだ。
16歳なお子様な瑞穂くんはともかく、定年退職した祖父の姉な貴女は、多分70歳近いでしょ。
なんで同じくらいの脳みそなの?
………
…面白い。
祖父曰く、チャンバラ遊びは子供の頃やっていた(子供の世界ではチャンバラと西部劇が流行っていたそうだ)けど、剣道には全くの素人の大叔母が、瑞穂くんを子供扱いしてる。
あの高速剣法の瑞穂くんが、まるまる空振りをし続けて、逆に面や胴を取られ続いている。
確かみなさんは大叔母とは、というか瑞穂くんのご家族とは初対面だよな。
さっきも紹介する暇なく、さっさと祖父に追い出されたし。
少なくとも大学女子剣道部どころか、県警の婦警さんも相手にならない「天才剣道少女」が、得体の知れない老婆に全く通用出来ずに、オタオタしながらウレタン竹刀を振り回すだけになっていた。
「ふむ。…はい、止め。」
何故か2人は、僕の言う事には素直に聞いてくれる。
「マダ、勝てないヨオ。」
瑞穂くんが頽れる姿を見るのは久しぶりだ。
そして、僕や祖父以外にまるで通用しない瑞穂くんの姿は初めてだ。
だから、みんな呆然としていた。
この、やたらお調子者の老婆は何者なんだ?
「先に言っておくと、彼女は瑞穂くんの祖母。僕の祖父の姉にあたり、僕から見ると大叔母にあたる人です。」
「そして、僕と同じく剣道と言うものを一切習っていません。僕が祖父や後藤警部補に実戦で習っていましたが、大叔母さんは竹刀すら握った事はありません。子供の頃におもちゃの剣を握って遊んでいたくらいです。」
どよどよし出す一行。
「相馬さんちって、どれだけの…どれだけが出て来るの?」
化け物という言葉を使わなかった阿部さん、ありがとう。
「相馬君。これは一体…。」
あ、水野さんが凄い顔してる。
「ハイな。」
稽古を始めるに当たって、「スペイン最後のピース」を瑞穂くんに探しに行ってもらう。
どうせこの闘牛場のどこかでのんびり煎餅でも齧っているでしょ。
祖父にしても、何故か相馬の人間は還暦迎えても虫歯1本無い自分の歯で煎餅だろうと、ベーコンブロックだろうと、牛蒡の皮を剥いて丸煮にしたものでも、かりんとうでも、丸齧りしている謎民族だ。
父も僕も妹も、おおよそ歯医者には生まれてこのかた縁がない。
「なんか私だけなのよ。朝昼晩きちんと歯を磨いているのに。」
と、たまに歯医者に行く母が不満そうにしていたりする。
瑞穂くんのお母さんが何やらバスケットを抱えていたから、あれはご家族で何か食べているんだろう。
…一応、お見送りを兼ねている筈だから、僕らの分もあったかもしれない。
気にしないでおこう。
さて。
………
「これから一ノ瀬先輩、阿部さん、田中さんには一時的に自分の剣道歴をリセットしてもらいます。だから、自分に対するプライドやこだわりをこれから1~2時間だけ消してください。これは僕ら''相馬一族''の指導を受けて、尚且つ肉体と精神に余裕がある人じゃないと難しいからです。警察剣道である意味頂点に立った後藤(水野)さんと、これからも下の世代を指導していかないとならない早瀬助教にはおそらく無理ですので。既に定着し切っていますし、異物は取り入れるべきではないと思うからです。」
無理と切られた早瀬助教は一瞬ムッとした顔をしたけれど、僕と僕の弟子を名乗る阿部さん田中さんが大学剣道部を壊滅させた上、授業で剣道を教えていた若い人(助教だか准教授だか忘れた。学長に僕の体育の成績が優でない事を咎められてしょぼくれているらしい。何その、僕本人に一切影響のないざまぁ)をコテンパンにのしイカにした事や。
阿部さんと田中さんが、大学選手権でインターハイに続いて決勝を独占した事。
瑞穂くんに弟子入りした一ノ瀬先輩が、実績と能力では明らかに格上だった婦警さんを練習試合で圧勝した事。
そんな事(殆どここ1ヶ月の出来事だ)を思い出して、直ぐ納得してくれたみたい。
あと、普通の学生剣道とは異次元が過ぎる僕と瑞穂くんの剣道を考えれは、そりゃ余計な知識を「身体に」染み込ましちゃいけないだろう。
今後も大学で、教育者として歩んでいくのなら。
(弓岡さんが警視正という地位を''悪用して''引き抜く気満々ですが)
「では、まず準備体操から始めます。ストレッチの後、全力体操行きますよ。」
「げ、あれ?疲れるのよねぇ。」
「一ノ瀬先輩、私達は師匠に稽古付けてもらう時には必ずやってますよ。」
「あれね。関節が解れるのと、一汗かけるから、いきなり身体をマックスに持って行けるのよね。」
「瑞穂ちゃんは、そんな事言ってなかったもん。」
「瑞穂さんと師匠は、毎日朝5時6時には起きて稽古してますよ。…本人達は、というか師匠が掃除や草むしりやペットの世話や朝ご飯作りで忙しい単なるルーティンワークで動いてるから、お嫁さんを自称する瑞穂さんも寝てるわけにもいかないので、必然的に起きて来ます。」
で、家事スキルが年相応なので、無駄な抵抗を諦めた瑞穂くんは、道場で素振りを始めるわけですが。
さて、準備体操の指揮は水野さんに任せて、僕はっと。
即席道場の隅にある箱に刺さっている竹刀の内、スポンジ製の竹刀、いわゆるスポーツチャンバラ用の竹刀を2本引っ張り出した。
こんなものを用意してあるあたり、祖父は僕が何をさせるか先回りしてわかっていたらしい。
先回りね。
先の先ね。
………
「なんじゃなんじゃ。今更こんなババァを連れてくるな。あたしゃのんびり見物してたいのに。」
と、ブツクサ言いながら最後のピースさんが、本当におかきの袋を持ちながらやって来た。
言うまでもなく、大叔母である。
ブツクサ言いながらも、目が爛々と輝いているのは、僕の持つウレタン竹刀に興味津々だからだ。
あと、瑞穂くんも。
僕が竹刀を右に左に動かすと、2人の視線が右に左に振られる。
おやつをあげる時の、ピーちゃんやアナグマくんにそっくりだぞ。
「いち、に!いち、に!」
そっちじゃ全力体操してんのに。
いや単にラジオ体操第一を全力でやると、割と汗だくになりますよってだけで。
県警の稽古の時とか、一般企業の研修メニューに取り入れられているそうだけど。
面白いのは、慣れている元・道警の水野さんと、ウチの阿部さん・田中さんは汗だくになっているのに、早瀬助教と一ノ瀬先輩は汗こそ少ないのに明らかにキツそうだ。
全力と言いながら疲れ方に差があるのは、体幹の差なんだろう。
足捌きと素振りを徹底的に繰り返すのが我が家だからかな。
「はい、深呼吸ぅ。」
深呼吸を終えた早瀬助教と一ノ瀬先輩が頽れた。
あの、全力体操、初めてじゃないよね。
そんなに疲れた?
「全力体操の仕方がわかったんですよ。そこまで力を入れる事が出来たから、疲れたんです。」
「はぁ。」
そんなものなのかなぁ。
僕は昔から祖父に''そう''教わって来たし、瑞穂くんは瞬時に自分の体力の限界を搾り出す事が出来る。
それが「相馬一族」なのだと言われたら、不本意ながらも否定出来ない。
困ったものだ。
さて。
「さて。」
一休みと水分補給を終えた一同を次のフェイズに移したいんだけど。
「ハイ。」
「ほれ。」
どこかの自称・婚約者と、その祖母がスポーツチャンバラで遊び出したのだ。
16歳なお子様な瑞穂くんはともかく、定年退職した祖父の姉な貴女は、多分70歳近いでしょ。
なんで同じくらいの脳みそなの?
………
…面白い。
祖父曰く、チャンバラ遊びは子供の頃やっていた(子供の世界ではチャンバラと西部劇が流行っていたそうだ)けど、剣道には全くの素人の大叔母が、瑞穂くんを子供扱いしてる。
あの高速剣法の瑞穂くんが、まるまる空振りをし続けて、逆に面や胴を取られ続いている。
確かみなさんは大叔母とは、というか瑞穂くんのご家族とは初対面だよな。
さっきも紹介する暇なく、さっさと祖父に追い出されたし。
少なくとも大学女子剣道部どころか、県警の婦警さんも相手にならない「天才剣道少女」が、得体の知れない老婆に全く通用出来ずに、オタオタしながらウレタン竹刀を振り回すだけになっていた。
「ふむ。…はい、止め。」
何故か2人は、僕の言う事には素直に聞いてくれる。
「マダ、勝てないヨオ。」
瑞穂くんが頽れる姿を見るのは久しぶりだ。
そして、僕や祖父以外にまるで通用しない瑞穂くんの姿は初めてだ。
だから、みんな呆然としていた。
この、やたらお調子者の老婆は何者なんだ?
「先に言っておくと、彼女は瑞穂くんの祖母。僕の祖父の姉にあたり、僕から見ると大叔母にあたる人です。」
「そして、僕と同じく剣道と言うものを一切習っていません。僕が祖父や後藤警部補に実戦で習っていましたが、大叔母さんは竹刀すら握った事はありません。子供の頃におもちゃの剣を握って遊んでいたくらいです。」
どよどよし出す一行。
「相馬さんちって、どれだけの…どれだけが出て来るの?」
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