相馬さんは今日も竹刀を振る 

compo

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どんなレベルかというと?

「よし!一休みしたら相馬一族と親善試合をするぞ。」

面白半分に竹刀を持った弓岡警視正が、自らの部下であり、本年度県警代表として国体に選抜される候補の、、、あぁややこしい。
要はこの中から10月に行われる国体に出れるかもしれない人がいますよぉって婦警さんが8人程、色々厳しい(かったらしい)審査を潜り抜けた精鋭達が……

人ん家でカエルになってる。
この文武両道化け物警視正が全員を熨斗烏賊ならぬ熨斗カエルにしたからだ。
なんで我が家ではこう毎日、女性がぶっ倒れているんろう。
しかもその内2人ばかりは、我が家の流儀を知らず迂闊にも生下着で袴を履いているのでぱんつ丸見え星人だ。
隣で倒れているカエルも、指摘してあげる気力が残っていないらしい。

「なお、これから行う親善試合は、警視正殿がきっちりと精査される。国体のみならず冬の査定にも影響あるかもしれんぞ。」

カエル達から、鬼!悪魔!ゴリラ!って抗議が上がっているけど、婦警の指導をしているゴリラは知らん顔だ。

多分、警察道場でも、こんな情景は時々あるのだろう。
しかし警察内部でも、後藤警部補がゴリラ扱いなのは、なんかほっこりした。
あと、部下からゴリラって悪口言われてるゴリラは平気の平左だし。




「なかなか良い稽古が出来ているようですね。先日行われた最初の選考会より動きの良い者ばかりです。」

面だけを外した警視正が、元・警視監の隣に着座した。
祖父は周りの者に目配せをして、受け取った冷たいペットボトルを差し出した。
勿論、持って行かされたのは僕だ。

「名人・達人クラスが集まっているからな。あのくらいの年齢なら、本物に触れるだけで伸びるよ。」
「…ご自分で、名人・達人と仰いますか。」
「何言ってやがる。5段以上の段持ち、しかも生物的に肉体的ポテンシャルが上の男の中でも、あんたに後藤に宮沢に宮崎。こんな濃い連中の中で揉まれるんだぜ。もし知られたら、日本国内外から何人集まるか。」

いや、祖父の情報管理が杜撰だから、宮沢さんと宮崎さんが乱入しているんですが。
…考えてみたら、警視庁と神奈川県警に把握されてるのか。この家。



「で、どうですか?相馬師匠?」

とは、これからボーナスの査定を始める警視正さん。

「どうですかがいっぱいありますが。彼女達の見通しですか?試合の見通しですか?」
「後者の方ですよ。」
「うむ?」

相馬一族(笑)女子は6人。
婦警さんは8人。
どんな試合形式になるのかわからないけど、「勝ち抜き戦」なら瑞穂くんを先鋒に据えておけば次鋒以降に出番はないだろう。

平成の剣聖・宮崎さんと引き分けたところからも実力は測れるし、何より瑞穂くんに通用する婦警が見当たらない。
しかも彼女のリクエストで時々行う耐久稽古のおかげで、体力的に負けると言う事も考えにくい。
(疲れて所作が鈍くなったりせず、100%の動きのままスタミナがゼロになって気絶する)

かと言って剣道の公式戦では主力の「勝者数戦」では、ウチのメンバーで婦警さん達に通用するのは瑞穂くんと旧姓水野さんだけだ。
他の大学関係4人は、学生界では全国レベルではあるけど、やはりそれは学生界レベルでしかない。
早瀬助教の実力は知らないけれど、婦警さんと同等かどうかは微妙だろう。

と、素直に説明した。

「つまり、相馬一族に負けたら人事院に言えばいいと。」

あと15分休憩!っと指示した後藤さんが、僕の肩をゴリラ力で叩きながら隣に座った。
肩のHPが20減った。

「後藤さん。あんた部下の将来を簡単に決めすぎです。」
「なに。この8人が駄目でも、相馬一族の5人を警察官にしちまえば、県警的にはトントンどころかお釣りが来る。」
「…既に社会人の早瀬さんまで引き抜く気ですか?」 
「うちは35歳未満なら採用試験が受けられるぜ。あの姉ちゃん、まだ20代だろ?」

まぁ、助教と言うなら大学卒業直採用で、あれこれ大学内部でもやってるようですから25にプラス1~2歳ってとこですかね。

「逆に言やぁよ。本番は来月なんだろ?ウチの婦警相手に通用しなけりゃマズくねぇか?お前の弟子って言う名目なんだろ.

はぁ、まぁ。
とはいえ阿部さん達の面倒を見始めて3ヶ月。
一ノ瀬部長なんか、ほんのつい先日からだ。
弟子(に取った覚えなんかないけど)が弱いって言われても、だったらもっと時間を寄越せって話だし。

もっとぶっちゃけちゃえば、スペインでは僕と祖父と瑞穂くんで暴れちゃえば何とかなるだろうって思ってる。
まだ何者でもない大学1年生に、そんな重たいものを背負わせるなって話だし。


「後藤さんは僕らを何だと思っているんですか?」
「相馬一族。漢字4文字で済んだな。」
「いや、あのですね。」
「お前はいつも一緒にいるから気が付かんのかもしれんな。けど警察道場でしか会わねえ俺からすると、あの2人の伸び率はとんでもねぇぞ。」
「後藤さんは、彼女達を褒めたいんですか?貶したいんですか?」
「わからねえ。」

いや、わからねえって。

「真面目にまともな剣道やってた俺からすっと、相馬一族って規格外過ぎるんだよ。ウチの麗香だって、道警に居た頃とは別人だ。ボサボサしてると、俺だってお前に置いていかれかねねぇ。」
 
まさか。
とは迂闊に言えないよなぁ。
あとで、祖父に聞いてみようかな。



★  ★  ★


親善試合は、瑞穂くん抜きで旧姓水野さんを大将に勝者数戦で行う事になった。
選ばれなかった婦警さんは、不平不満を何一つ漏らす事なく、大人しく控えに下がった。
そこら辺は、上司をゴリラ扱い出来る彼女達がゴリラに寄せる信頼なのだろう。
もしかしたら、彼女達自身が目の前に並ぶ5人には勝てない事を認めているのかもしれないな。

だとしたら、こんな得体の知れない道場でなんかで、自分の限界を決めて欲しくないなぁ。
 
さて、ウチ方の先鋒は剣道部主将かつ部長の一ノ瀬先輩。
彼女の指導は基本的に瑞穂くんなので、僕はあまり関わっていない。
何故か僕らに入門しに来た変人だ。

相手は栗原と言う巡査長。
何故か僕の隣に座って解説を始めた警視正が教えてくれた。

副審は、宮沢さんと宮崎さん。
上司が主審で、昭和・平成の剣聖が副審を務め、更に上司の弓岡警視正が見守り、何故か県警OBの警視監が野次を飛ばすと言う。
何故かワールドで親善試合は始まった。

「始め!」



なお、試合結果は以外なものになった。
何故?こうなった?
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