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草食獣を狩れ!
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サイファの唐突な発言に、アイシャはやれやれと肩を落とす。ミルファリアは苦笑するばかりだ。
タクマはというと、開いた口が塞がらない。さっき少し練習しただけなのに、すぐに実践投入されるとは思っても見なかった。
「あの、サイファさん……」
「なんだ? タクマ」
「草食獣って、どんな見た目しているんですか?」
まずそこからだった。
草食獣。別名ヤーム。名前の通り、草食の獣のことだ。体は羊とアルパカを足して二で割ったような外見で、毛はふかふかしているらしい。
「ほれ、あそこにいるだろ」
そう言われ、サイファの指さす方角を見ると、遠くに影らしきものが見える。獣人と人間の違いが浮き彫りになった気分だ。
「サイファ、あんたは見えるだろうけど、タクマやあたし達には豆粒にしか見えないわよ」
アイシャの一言に、「それもそうだった」と頬を掻くサイファ。もう少し近付き確かめると、可愛らしい見た目の動物だった。
「あ、一応言うが、あれも一応魔物の部類だからな」
「え!?」
あんなに可愛いのに、魔物なのか!? タクマは目を瞬かせた。
「害がそんなにないからってことで放置されてるだけだぞ」
「そうなんだ……」
意外すぎることを知りつつ、タクマはボウガンに矢を装填する。そっと近づき、茂みに隠れた。
(狙うは的の大きな体だな……)
未だ頭を狙うのは難しそうだし、罪悪感に駆られそうで狙えない。ゆっくりとボウガンを構え、体に照準を合わせる。
(……今だ!)
パシュッ!
という音と共に、矢が草食獣に向かって放たれる。矢は太腿を狙ったつもりだったが、すれすれの所で外れてしまった。
驚いた草食獣は飛び跳ね、遠くの方に逃げてしまった。
「あ~……」
外した……。残念がるタクマに、「惜しかったな」とサイファは声を掛ける。
「意外と動いているものを狙うのは難しいですね……」
「まあな。でも、当たれば満足感が半端ないぞ」
サイファの言葉を励みにし、矢を拾いにいく。もう一度、チャレンジだ。
草食獣狩りを始めてから、もう三時間以上が経過した。未だに獲物は確保できず、タクマに焦りと疲労だけが溜まっていった。
「ねえサイファ、もういいんじゃないの? 頑張ってるんだし」
アイシャの言葉に、タクマの後ろ姿を見つめるサイファは「もう少しな」とだけ言う。暇になってきたアイシャは、ミルファリアと共に再び草原に寝転がった。
日が傾きだしている。草食獣と言われるということは、日中だけに活動する生物の筈。次がラストチャンスだ。
タクマは再び茂みに隠れ、矢を装填したボウガンを構える。空腹と疲労で、うまく集中できない。だが、これがラストチャンスだと思うと、最後のひと踏ん張りと深く深呼吸した。
(……今だ!)
パシュッ! という音と共に、草食獣の太腿に矢が突き刺さる。驚き暴れる草食獣はバランスを崩し、その場に倒れた。
「や、やった……!」
タクマが喜ぶ合間に、サイファが一目散に草食獣に近付き、草食獣をしめ始めた。タクマは矢が当たったことへの高揚感でいっぱいだった。
「よくやったな、タクマ!」
「はい!」
近付いてきたサイファに、喜びの笑顔のまま頷く。わしゃわしゃと髪を撫でられ、嬉しさにいっぱいになった。
「終わった~? あたしお腹ペコペコ……」
アイシャが草の上から起き上がり、お腹を擦る。ミルファリアは寝ていたのか、小さく欠伸をしていた。
「終わったんで、今日はコイツで肉料理作りますよ。唐揚げとかどうです?」
「唐揚げ! いいわね」
サイファが肩に担いだ草食獣を見ながら、みんなで今日の夕飯の献立を考える。美味しいご飯を作るためにも、早く帰らなければ。
そう、タクマは思った。
タクマはというと、開いた口が塞がらない。さっき少し練習しただけなのに、すぐに実践投入されるとは思っても見なかった。
「あの、サイファさん……」
「なんだ? タクマ」
「草食獣って、どんな見た目しているんですか?」
まずそこからだった。
草食獣。別名ヤーム。名前の通り、草食の獣のことだ。体は羊とアルパカを足して二で割ったような外見で、毛はふかふかしているらしい。
「ほれ、あそこにいるだろ」
そう言われ、サイファの指さす方角を見ると、遠くに影らしきものが見える。獣人と人間の違いが浮き彫りになった気分だ。
「サイファ、あんたは見えるだろうけど、タクマやあたし達には豆粒にしか見えないわよ」
アイシャの一言に、「それもそうだった」と頬を掻くサイファ。もう少し近付き確かめると、可愛らしい見た目の動物だった。
「あ、一応言うが、あれも一応魔物の部類だからな」
「え!?」
あんなに可愛いのに、魔物なのか!? タクマは目を瞬かせた。
「害がそんなにないからってことで放置されてるだけだぞ」
「そうなんだ……」
意外すぎることを知りつつ、タクマはボウガンに矢を装填する。そっと近づき、茂みに隠れた。
(狙うは的の大きな体だな……)
未だ頭を狙うのは難しそうだし、罪悪感に駆られそうで狙えない。ゆっくりとボウガンを構え、体に照準を合わせる。
(……今だ!)
パシュッ!
という音と共に、矢が草食獣に向かって放たれる。矢は太腿を狙ったつもりだったが、すれすれの所で外れてしまった。
驚いた草食獣は飛び跳ね、遠くの方に逃げてしまった。
「あ~……」
外した……。残念がるタクマに、「惜しかったな」とサイファは声を掛ける。
「意外と動いているものを狙うのは難しいですね……」
「まあな。でも、当たれば満足感が半端ないぞ」
サイファの言葉を励みにし、矢を拾いにいく。もう一度、チャレンジだ。
草食獣狩りを始めてから、もう三時間以上が経過した。未だに獲物は確保できず、タクマに焦りと疲労だけが溜まっていった。
「ねえサイファ、もういいんじゃないの? 頑張ってるんだし」
アイシャの言葉に、タクマの後ろ姿を見つめるサイファは「もう少しな」とだけ言う。暇になってきたアイシャは、ミルファリアと共に再び草原に寝転がった。
日が傾きだしている。草食獣と言われるということは、日中だけに活動する生物の筈。次がラストチャンスだ。
タクマは再び茂みに隠れ、矢を装填したボウガンを構える。空腹と疲労で、うまく集中できない。だが、これがラストチャンスだと思うと、最後のひと踏ん張りと深く深呼吸した。
(……今だ!)
パシュッ! という音と共に、草食獣の太腿に矢が突き刺さる。驚き暴れる草食獣はバランスを崩し、その場に倒れた。
「や、やった……!」
タクマが喜ぶ合間に、サイファが一目散に草食獣に近付き、草食獣をしめ始めた。タクマは矢が当たったことへの高揚感でいっぱいだった。
「よくやったな、タクマ!」
「はい!」
近付いてきたサイファに、喜びの笑顔のまま頷く。わしゃわしゃと髪を撫でられ、嬉しさにいっぱいになった。
「終わった~? あたしお腹ペコペコ……」
アイシャが草の上から起き上がり、お腹を擦る。ミルファリアは寝ていたのか、小さく欠伸をしていた。
「終わったんで、今日はコイツで肉料理作りますよ。唐揚げとかどうです?」
「唐揚げ! いいわね」
サイファが肩に担いだ草食獣を見ながら、みんなで今日の夕飯の献立を考える。美味しいご飯を作るためにも、早く帰らなければ。
そう、タクマは思った。
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