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メイタサイド
俺の生まれ育ったこの街で見慣れない後ろ姿を見つけた。
どこからどう見ても地元の人間ではないそのお洒落な後ろ姿。
そして、その人は何か違和感を感じたのかゆっくりと振り返った。
そして、俺は驚いたんだ…
この世のものとは思えないあまりの美しさに…
大人っぽい顔つきでどこか儚く、人を惹きつけるような妖艶な瞳。
気づいた時には俺の足は早まりその人の前に立っていた。
スーツケースのコマが取れて困っていた彼女は宿を探していた。
俺はウチのじいちゃんが死んでから空き家になっていたデカイ家を1室だけ俺が使い、あとは民泊として解放していた。
ちょうどその予約も1週間…空いている。
この女性と出会わせてくれたのはじいちゃんから俺へのプレゼントだと俺は都合よく思った。
*「あぁ…じゃ、ウチに来ます?」
「え?」
大人っぽい顔だと第一印象で思っていたその顔は急にあどけなくなり、まるで少女のような顔をして驚いて俺を見つめた。
心臓のスピードが速くなるのを悟られないように…
既に好意を抱いてしまってる事がバレないように…
俺は平然を装い俺の経営する民泊に誘ったんだ。
スーツケースを持ちじいちゃんの家に着いた頃には陽が傾きオレンジ色に空が染まり始めていた。
M「ここです。1階の1番奥は俺が使ってて2階は自由に使ってください。1階のリビングとお風呂トイレは共同です!!」
玄関を上がりながら俺がそういうとサツキさんは周りを見渡す。
S「素敵なお家ですね…」
M「じいちゃんが作った自慢の家ですから…!!」
大工をしていたじいちゃんが1人で一から作った自慢の家。
だから、俺はじいちゃんが死んでからもこの家を取り壊すのだけは絶対に嫌だったんだ。
M「さぁ、入って!!」
S「お邪魔します……」
M「どうぞどうぞ!!」
S「うわぁ~すごい~!!」
ログハウスのように作られたリビングにサツキさんは驚き目を輝かせている。
S「おとぎ話とかに出てきそう…」
M「でしょ?荷物、2階に置いてきましょうか?」
S「あ、自分で持ち……いや…お願いします。」
自分で持ち上げようとして、カナリの重さのスーツケースを持って階段を登るのを早々に諦めたサツキさんはクールにみえる見た目によらず、少しお茶目で可愛いらしい面があるのかもしれない。
俺はサツキさんのスーツケースを持ち2階の部屋に持って行きまた、リビングへと降りる。
M「夜ご飯どうするか考えてます?」
S「いや…なにも…」
M「民泊なんで…自分でスーパー行って料理するか…惣菜を買ってくるか…近くの俺の行きつけの飲み屋に行くか!!」
S「近くにあるんですか?」
M「うん…絶品の料理と酒が飲める店がありますよ?そこにサツキさんも一緒に行きません?」
S「メイタさんと一緒に行きたいかも…」
そう言って恥ずかしそうに微笑み、サッと前髪をよけた左手薬指に俺の目がいく…
そこにはキラリと光る指輪があり…思わず俺の顔から笑顔は消えた。
S「メイタさんは何歳なんですか?」
M「え…?」
S「あ…何歳なのかなっと思って?そんな怖い顔してどうしたんですか?」
M「いや…別に…俺は25歳ですよ?」
S「じゃ、私の方が2歳年上ですね?もしよかったら、敬語じゃなく気軽に話してください。私もそうするので。」
サツキさんはそう言って微笑んだ。
俺は一体、何を期待していたんだろ…
勝手に運命を感じてただけなのに…
その薬指に光る指輪をみて俺の胸はザクッと痛んだ。
S「メイタくん?本当にどうしたの?」
M「ううん…店に行こうか…」
そして、俺は少し気分が落ちたままサツキさんを連れて行きつけの店に向かった。
それが俺とサツキさんの出会い。
つづく
俺の生まれ育ったこの街で見慣れない後ろ姿を見つけた。
どこからどう見ても地元の人間ではないそのお洒落な後ろ姿。
そして、その人は何か違和感を感じたのかゆっくりと振り返った。
そして、俺は驚いたんだ…
この世のものとは思えないあまりの美しさに…
大人っぽい顔つきでどこか儚く、人を惹きつけるような妖艶な瞳。
気づいた時には俺の足は早まりその人の前に立っていた。
スーツケースのコマが取れて困っていた彼女は宿を探していた。
俺はウチのじいちゃんが死んでから空き家になっていたデカイ家を1室だけ俺が使い、あとは民泊として解放していた。
ちょうどその予約も1週間…空いている。
この女性と出会わせてくれたのはじいちゃんから俺へのプレゼントだと俺は都合よく思った。
*「あぁ…じゃ、ウチに来ます?」
「え?」
大人っぽい顔だと第一印象で思っていたその顔は急にあどけなくなり、まるで少女のような顔をして驚いて俺を見つめた。
心臓のスピードが速くなるのを悟られないように…
既に好意を抱いてしまってる事がバレないように…
俺は平然を装い俺の経営する民泊に誘ったんだ。
スーツケースを持ちじいちゃんの家に着いた頃には陽が傾きオレンジ色に空が染まり始めていた。
M「ここです。1階の1番奥は俺が使ってて2階は自由に使ってください。1階のリビングとお風呂トイレは共同です!!」
玄関を上がりながら俺がそういうとサツキさんは周りを見渡す。
S「素敵なお家ですね…」
M「じいちゃんが作った自慢の家ですから…!!」
大工をしていたじいちゃんが1人で一から作った自慢の家。
だから、俺はじいちゃんが死んでからもこの家を取り壊すのだけは絶対に嫌だったんだ。
M「さぁ、入って!!」
S「お邪魔します……」
M「どうぞどうぞ!!」
S「うわぁ~すごい~!!」
ログハウスのように作られたリビングにサツキさんは驚き目を輝かせている。
S「おとぎ話とかに出てきそう…」
M「でしょ?荷物、2階に置いてきましょうか?」
S「あ、自分で持ち……いや…お願いします。」
自分で持ち上げようとして、カナリの重さのスーツケースを持って階段を登るのを早々に諦めたサツキさんはクールにみえる見た目によらず、少しお茶目で可愛いらしい面があるのかもしれない。
俺はサツキさんのスーツケースを持ち2階の部屋に持って行きまた、リビングへと降りる。
M「夜ご飯どうするか考えてます?」
S「いや…なにも…」
M「民泊なんで…自分でスーパー行って料理するか…惣菜を買ってくるか…近くの俺の行きつけの飲み屋に行くか!!」
S「近くにあるんですか?」
M「うん…絶品の料理と酒が飲める店がありますよ?そこにサツキさんも一緒に行きません?」
S「メイタさんと一緒に行きたいかも…」
そう言って恥ずかしそうに微笑み、サッと前髪をよけた左手薬指に俺の目がいく…
そこにはキラリと光る指輪があり…思わず俺の顔から笑顔は消えた。
S「メイタさんは何歳なんですか?」
M「え…?」
S「あ…何歳なのかなっと思って?そんな怖い顔してどうしたんですか?」
M「いや…別に…俺は25歳ですよ?」
S「じゃ、私の方が2歳年上ですね?もしよかったら、敬語じゃなく気軽に話してください。私もそうするので。」
サツキさんはそう言って微笑んだ。
俺は一体、何を期待していたんだろ…
勝手に運命を感じてただけなのに…
その薬指に光る指輪をみて俺の胸はザクッと痛んだ。
S「メイタくん?本当にどうしたの?」
M「ううん…店に行こうか…」
そして、俺は少し気分が落ちたままサツキさんを連れて行きつけの店に向かった。
それが俺とサツキさんの出会い。
つづく
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