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最終話
一命を取り留めたテリはカイのそばで少しずつ明るさを取り戻し…
食事を少しずつではありますが自らちゃんと取り、弱り切ってしまった筋肉を取り戻すようにリハビリに励みました。
K「はい…テリあーんして。」
T「自分で食べられるのに…あーん。」
カイはテリにずっと付き添い些細なことまでテリのためにと支え続けました。
そして、体調が戻り退院したテリはカイに背負われてカイのマンションにまで帰ってきました。
K「テリゆっくりね?」
T「大丈夫なのに~。」
部屋に着きゆっくりとカイの背中から降りたテリはクルッと振り返りカイの首に手を回します。
T「ねぇ…カイ?」
K「ん?なに?」
T「お願いがあるんだけど…」
K「お願い?」
T「うん。」
K「なに?」
T「抱いて。」
テリは深刻な顔してそう言うとカイにもたれ掛かりチュウとカイの唇にキスをします。
しかし、カイは難しい顔をしてそのテリのキスに応えようとしません。
K「だーめ。ほら、ベッドに横になって休んで。」
T「なんで…?……私がカイ以外の男に抱かれたから…もう私のこと抱けない…?」
テリの悲痛に歪む顔を見てカイの心も引き裂かれそうになります。
K「違う…テリの身体が心配だからだよ…」
T「もう…元気なのに…」
K「元気だけど…元気なのは分かってるんだけど…テリは沢山傷ついたからテリのこと…大事にしたいんだよ…」
本当はカイもテリに触れたくて仕方ありません。
しかし、自分がテリに触れてしまうことでテリのまだ治りきっていないはずの心の傷が開いてしまうのではないかとずっと不安だったのです。
テリはカイの言葉を聞いてポロポロと涙を流します。
K「え…え!?なんで泣く!?そんな、シたかった!?泣くほど!?え…どうしよ…わ…分かった!!分かったから…するから!!泣かないで…!!」
テリは他の誰かに触れられてしまった自分の身体に後ろめたさを感じ…
自分の身体に触れてこないカイに対して、もしかしたら自分に触れるのが嫌なのではないかと不安に陥っていたので、大事にしたいというそのカイの言葉を聞いて涙が溢れたのです。
テリはあたふたするカイにギュッと抱きつきカイの肩に顔を擦り付けます。
K「…テリ…?」
T「カイに申し訳なくて…私が何がなんでも拒めば良かっただけなのに…」
K「申し訳ないなんて思わないで…俺が悪いんだよ…」
T「カイは悪くないよ…ごめんね…。でもね…もう忘れたいの…あの辛い温もりを…。」
テリがそう言うとカイはギュッと下唇を噛み、そのままテリの唇を優しく丁寧に塞ぎます。
K「…ごめんね…ごめん…本当にごめん…俺が忘れさせてあげるよ。」
思い出してしまう苦い記憶にそっと蓋をするようにカイはテリの手に指を絡め、お互い唇を重ね合わせました。
K「愛してる…愛してるからね…」
カイは何度も唱えテリの傷ついた心におまじないをかけるようにテリにそう伝え…
テリは涙を流しながらカイに抱かれました。
愛に満たされたふたりはシーツを身に纏い身体を寄せ合いながら窓から見える月を眺めます。
T「私ね…カイと出会う前からずっと…月を見てたんだ…」
K「月を?」
T「うん…どんなに寂しくても…孤独を感じても…月を見ると不思議と平気な気持ちになった。私は1人じゃないって…前世の私は…月を見ながら誰のことを想ってたのかな?」
K「テリ……でも、これからは…月じゃなくて俺を見て…?テリの横にいる俺のことをみてその心の隙間を埋めて…?テリの暗闇をそっと照らしてあげられるように俺がテリの月になってあげるよ…」
カイがそう言えばテリの視線は月から横にいるカイへと向けられます。
T「そうだね…そうする…。」
テリが肩をすくめてそう答えるとカイはおデコをコツンとテリのおデコに合わせて優しく微笑みます。
K「……愛してる…」
T「…私も愛してる…」
そして、ふたりは蜜のような甘い口付けを何度も何度も交わし…
漆黒の闇に浮かぶ月が飽きれてしまうほど二人は微笑み合い見つめ合いました。
一年後
アヨの父親はようやくアヨの必死の説得を聞き入れ、カイとの結婚がなくともカイの父親の病院に資金を投資する事を了承しました。
そんなアヨの横には今、優しい笑顔で包み込むホマがいてアヨの左手薬指にはキラキラと光る指輪があります。
ジノとユキは何も変わらず喧嘩をしながらふたり仲良く毎日を過ごしていて、ユキのお腹には小さな命が宿りました。
あれほど2人を苦しめたジヨはといえば、あの日以来ジヨの行方は…誰も分かりません。
そして…カイとテリは…
K「テリちょっと太った?」
T「はぁーーーん!?って…やっぱ……重い?」
K「嘘だよw」
温かい陽だまりの公園で緑に包まれながらテリはカイの背中におんぶされています。
鳥のさえずりに耳を傾け、風に揺れる木々を眺めながら散歩するのが2人の癒しなのです。
カイは無事に医学部を卒業しましたが医学の道には進まず、身寄りのない子供達が暮らす施設でテリと共に働くようになりました。
カイの父親も最初は反対していたものの、次第にテリの明るさと無邪気さ、そして心優しさや愛の深さに気づき、今では何も言わずふたりを遠くから見守っています。
T「カイの背中おっきくて気持ちいいーーー」
K「テリと子供達のおかげで俺の身体は鍛えられる。」
T「だね?」
休みの日になるとふたりはこうやって当てもなくおんぶをしながら散歩するのが日課となり楽しみになり…
こうした穏やかな時間がカイにとってそして、テリにとっても宝物なのです。
T「ねぇ…カイ?」
テリはギュッとカイにしがみ付き、カイの首に頬を寄せながら名を呼びました。
K「ん?」
カイはそんなテリに頭を預けるようにして答えます。
T「好きだよ…。」
いつしかテリの口癖となっていたその言葉にカイは微笑み、満足気に青々とした空を見上げます。
K「そんな事…生まれる前から知ってるよ。」
T「…生まれる前から…カイのこと好き…」
K「また、そんな可愛いこと言って~」
T「来世も…ちゃんと…私のこと見つけてね?」
テリは可愛い笑顔でカイの顔を覗き込むとカイの頬にチュッとキスをしカイは嬉しそうに微笑みます。
K「俺たちはずっと一緒だよ。俺たちはちゃんと運命の人をみつけたからね。」
そうカイが返せばテリはご機嫌で足をバタバタとさせて喜びました。
T「よーーし!!!!あそこのホットドッグのお店までダッシュ!!しゅぱーーーつ!!!!」
K「もう、しょうがないな。」
カイはテリを背負いふたり笑顔で戯れながらホットドッグのお店まで走って行き、ふたり仲良くホットドックを頬張りました。
こうして結ばれた二人は陽だまりのような笑顔に包まれ…時には月明かりに見守られながら幸せに暮らしましたとさ。
前世で悲しい恋をしたふたりは生まれ変わり、色んな困難を乗り越え幸せを掴みました。
来世でも…
このふたりがまた巡り合い、愛し合い、そして想い合うことを心から願っております。
終
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