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22話
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テラside
私は身を縮こまらせながらケイトにくっ付き、ちょこちょこ歩いて行くと、奥の大きなソファのある席にジニさんとハウさんが優雅に座っていた。
H「テラちゃんおはよう。体調どう?」
ハウさんは大勢いる男性の中でたった1人の女性なのに、この雰囲気に臆することなく大きな口を開けてパンをモグモグと食べながら私にそう問いかけた。
ケイトは私を横に座らせると目の前にあるパンにバターを塗り私の前に置いた。
T「まだ傷は痛みますけど、頭痛とか気持ち悪いのは大丈夫になりました。」
H「なら良かった。まだ、無理しちゃダメだよ?ケイトが仕事で屋敷にいない間は私が主治医としてテラちゃんのそばにいるよ。まだ、体調も不安定だろうし。」
K「そうしてもらえると助かるよ。」
私たちがそう話していると私の前に怖そうなお兄さんが淹れたてのホットコーヒーを出してくれたが…実は私…コーヒーが飲めない。
しかし、それを言えずにいるとケイトが不思議そうに私を見つめた。
K「もしかして…コーヒー飲めない?」
ケイトのその言葉に小さく頷くとケイトは私の前にあるコーヒーを下げた。
K「ホットミルクなら飲める?」
T「う…うん…でも大丈夫だよ。せっかく淹れてくれたんだもんこれ飲む。」
私がそう言ってケイトの下げたコーヒーカップに手を伸ばそうとすると、ケイトにその手を止められた。
K「今すぐ淹れなおせ。ホットミルクだ。」
「すいません!!か…かしこまりました!!」
何も悪くない部下の人が私に頭を下げてそう言うと、慌てて厨房の方へと消えていった。
T「せっかく淹れてくれたのに…なんか私…わがまま言っちゃった…」
K「いいんですよ。テラさんは気にしなくて。これは俺が飲むんで大丈夫です。ほら、早く食べましょう?」
ケイトがそう言ってパンを私の口に食べさせようと近づけると…
またも、この場にいる怖そうなお兄さん達が私たちの様子を伺うようにじーっと見ていて、私は思わずケイトの腕を掴み食べるのを避けた。
T「わ…私…めっちゃ見られてる…恥ずかしくて…食べられない…」
私がそう言うとケイトはピタッと止まり、ニコッと優しく私に微笑んで小声で言った。
K「テラさん…ちょっと両手で自分の耳塞いでてくれますか?」
T「え…あぁうん…」
私はケイトに言われた通り、自分の耳を自分の手で塞ぐとケイトが勢いよく立ち上がった。
K(俺の愛する人を俺の許可なく勝手に盗み見したら…お前ら目潰しするぞ?目ん玉無くなってもいいならずっとそうやって見てろ。)
手のひらごしに微かに聞こえたのはケイトの威圧感ある言葉で、ケイトがそう言った瞬間…みんな一斉に私から視線を逸らした。
そして微かに聞こえた「俺の愛する人」というケイトその言葉が私は嬉しくてつい、口元が緩んでしまう。
下を向いてニヤニヤしてると耳を塞いでいた私の手をケイトがそっと下ろしてくれて、私の口の中にパンをいれた。
K「よく噛んで食べてくださいね?俺はこれ食べたら仕事に出掛けるんで俺が帰ってくるまでハウとププと一緒に良い子にして待っててくださいね?」
T「分かった。」
そして、ケイトは朝ごはんを食べ終えると部下の人たちを連れて屋敷を出て行き、私は玄関からケイトを見送る。
ケイトの車が見えなくなるとハウさんが私の横に来てニコッと微笑んだ。
H「傷口の消毒…しよっか?」
T「はい。」
私とハウさんが大きな廊下を歩いて一緒に部屋に戻っていると、とある部屋の扉が開きっぱなしになっていた。
ハウさんはその扉をアッとした顔をしながら閉めようとするので私はそれを止めた。
なぜなら、その部屋のある棚に気になる写真が見えたから…
私がその写真に導かれるように中へと入っていくとハウさんが言った。
H「ここケイトの部屋だから…勝手に入ったら私が怒れちゃう…」
そんなハウさんの声に私はまともな反応もせず、その写真立てを手に取って見つめるとハウさんは仕方なさそうに一緒に中へと入ってきた。
T「この子供って…ケイトですか…?」
その写真には幸せそうに微笑む女性と嬉しそうにバースデイケーキの前で満面の笑みでVサインをする男の子が写っていた。
H「そうだよ……ケイトとケイトのお母さん。」
T「ケイト可愛い……////ケイトのお母様って…ここでは一緒に暮らしてないんですか?」
H「うん……私も詳しいことは知らないけど…ケイトが幼い頃に亡くなったんだって…組の抗争に巻き込まれて……」
私はその言葉を聞いて思わず写真立てを落としてしまい、ハッとした私は慌ててその写真立てを拾いあげ棚に戻した。
H「はい!!もう、おしまい!!私から聞いたって言わないでよ?内緒だよ?」
T「はい…」
私はハウさんに背中を押されるようにしてケイトの部屋を出た。
つづく
私は身を縮こまらせながらケイトにくっ付き、ちょこちょこ歩いて行くと、奥の大きなソファのある席にジニさんとハウさんが優雅に座っていた。
H「テラちゃんおはよう。体調どう?」
ハウさんは大勢いる男性の中でたった1人の女性なのに、この雰囲気に臆することなく大きな口を開けてパンをモグモグと食べながら私にそう問いかけた。
ケイトは私を横に座らせると目の前にあるパンにバターを塗り私の前に置いた。
T「まだ傷は痛みますけど、頭痛とか気持ち悪いのは大丈夫になりました。」
H「なら良かった。まだ、無理しちゃダメだよ?ケイトが仕事で屋敷にいない間は私が主治医としてテラちゃんのそばにいるよ。まだ、体調も不安定だろうし。」
K「そうしてもらえると助かるよ。」
私たちがそう話していると私の前に怖そうなお兄さんが淹れたてのホットコーヒーを出してくれたが…実は私…コーヒーが飲めない。
しかし、それを言えずにいるとケイトが不思議そうに私を見つめた。
K「もしかして…コーヒー飲めない?」
ケイトのその言葉に小さく頷くとケイトは私の前にあるコーヒーを下げた。
K「ホットミルクなら飲める?」
T「う…うん…でも大丈夫だよ。せっかく淹れてくれたんだもんこれ飲む。」
私がそう言ってケイトの下げたコーヒーカップに手を伸ばそうとすると、ケイトにその手を止められた。
K「今すぐ淹れなおせ。ホットミルクだ。」
「すいません!!か…かしこまりました!!」
何も悪くない部下の人が私に頭を下げてそう言うと、慌てて厨房の方へと消えていった。
T「せっかく淹れてくれたのに…なんか私…わがまま言っちゃった…」
K「いいんですよ。テラさんは気にしなくて。これは俺が飲むんで大丈夫です。ほら、早く食べましょう?」
ケイトがそう言ってパンを私の口に食べさせようと近づけると…
またも、この場にいる怖そうなお兄さん達が私たちの様子を伺うようにじーっと見ていて、私は思わずケイトの腕を掴み食べるのを避けた。
T「わ…私…めっちゃ見られてる…恥ずかしくて…食べられない…」
私がそう言うとケイトはピタッと止まり、ニコッと優しく私に微笑んで小声で言った。
K「テラさん…ちょっと両手で自分の耳塞いでてくれますか?」
T「え…あぁうん…」
私はケイトに言われた通り、自分の耳を自分の手で塞ぐとケイトが勢いよく立ち上がった。
K(俺の愛する人を俺の許可なく勝手に盗み見したら…お前ら目潰しするぞ?目ん玉無くなってもいいならずっとそうやって見てろ。)
手のひらごしに微かに聞こえたのはケイトの威圧感ある言葉で、ケイトがそう言った瞬間…みんな一斉に私から視線を逸らした。
そして微かに聞こえた「俺の愛する人」というケイトその言葉が私は嬉しくてつい、口元が緩んでしまう。
下を向いてニヤニヤしてると耳を塞いでいた私の手をケイトがそっと下ろしてくれて、私の口の中にパンをいれた。
K「よく噛んで食べてくださいね?俺はこれ食べたら仕事に出掛けるんで俺が帰ってくるまでハウとププと一緒に良い子にして待っててくださいね?」
T「分かった。」
そして、ケイトは朝ごはんを食べ終えると部下の人たちを連れて屋敷を出て行き、私は玄関からケイトを見送る。
ケイトの車が見えなくなるとハウさんが私の横に来てニコッと微笑んだ。
H「傷口の消毒…しよっか?」
T「はい。」
私とハウさんが大きな廊下を歩いて一緒に部屋に戻っていると、とある部屋の扉が開きっぱなしになっていた。
ハウさんはその扉をアッとした顔をしながら閉めようとするので私はそれを止めた。
なぜなら、その部屋のある棚に気になる写真が見えたから…
私がその写真に導かれるように中へと入っていくとハウさんが言った。
H「ここケイトの部屋だから…勝手に入ったら私が怒れちゃう…」
そんなハウさんの声に私はまともな反応もせず、その写真立てを手に取って見つめるとハウさんは仕方なさそうに一緒に中へと入ってきた。
T「この子供って…ケイトですか…?」
その写真には幸せそうに微笑む女性と嬉しそうにバースデイケーキの前で満面の笑みでVサインをする男の子が写っていた。
H「そうだよ……ケイトとケイトのお母さん。」
T「ケイト可愛い……////ケイトのお母様って…ここでは一緒に暮らしてないんですか?」
H「うん……私も詳しいことは知らないけど…ケイトが幼い頃に亡くなったんだって…組の抗争に巻き込まれて……」
私はその言葉を聞いて思わず写真立てを落としてしまい、ハッとした私は慌ててその写真立てを拾いあげ棚に戻した。
H「はい!!もう、おしまい!!私から聞いたって言わないでよ?内緒だよ?」
T「はい…」
私はハウさんに背中を押されるようにしてケイトの部屋を出た。
つづく
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