ぼくはキミの守護霊さま。

樺純

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第十二話

山城コトハサイド

あんなに優しかった真中さんの態度が変わった瞬間…

私の胸がチクッと痛んだ。

真中さんは私の上からおりるとパソコンに向かい、どこかに電話をした。

H「鍵を家の中にインロックしてしまったので今すぐ来てください。」

そう言って電話を切った真中さんはなんとも言えない表情をして私を見つめながら言った。

H「すいません、怖がってるのに…あんな事して…山城さんをこれ以上傷つけるつもりはないので…安心して下さい。10分後に鍵屋がくるので開けてもらってくださいね。」

そう言い残すと俺のいるリビングから出て寝室へと行き、私はポツンとひとりぼっちになる。

それと同時に不安感が襲いそわそわしていると真中さんの家のインターホンが鳴り、見てみるともう鍵屋さんが来ていた。

私はリビングを出て真中さんが入った寝室へと向かうと、寝室の中から真中さんが出てきた。

K「鍵屋さん来たみたいだから帰ります…ありがとうございました…ごめんなさい…ご面倒をお掛けして。」

H「いえ、こちらこそ不愉快な思いさせてすいませんでした。気をつけてくださいね…もう僕は山城さんを助けられないと思うんで。」

K「え…真中さ……」

真中さんは私の呼びかけを遮るように寝室の扉を閉め、私は仕方なくそのまま真中さんの部屋から出た。

自分の家の前で少し待っているとすぐに鍵屋さんがエレベーターで上がってきて、いとも簡単に私の部屋の鍵が開けられた。

数時間ぶりの我が家に入ると、お隣と同じ間取りなのに真中さんの部屋の匂いとは違う自分の部屋の匂いを感じ、少し寂しさが私を襲う。

あの時に感じた怖いって…そういう意味じゃないのに…

あんなに優しくしてくれた真中さんが怖かったんじゃなく…

一瞬思い出してしまった過去のトラウマと、そのトラウマによりずっと避けてきた初体験をすることに怯えて恐怖を感じただけなのに…

最後に見た真中さんの後悔に押しつぶされてしまいそうな顔が忘れられない。

こうなってしまったのも、トラウマがある事やこの歳になっても初体験がまだだということを真中さんに話すほどの関係になる前にあんな事になったからで…

全ては言葉足らずの自分のせいなのに、真中さんに突き放されるような態度を取られた私は虚しさに襲われ、寝室に入るとそのままベッドにダイブした。

疲れていたせいか眠ってしまった私は目を擦りながら起き上がり、ベッドに座り時計を確認する。

K「昼寝しすぎた…」

昼寝というには遅すぎる昼寝。

時計の針は夜の9時をさしていてもう夜中は眠れそうにないな…と私はため息を落とす。

お腹がすいた私は寝室を出ると今度はしっかり鍵とスマホそして財布を持ちパーカーを羽織りコンビニに向かった。

陳列棚には数個のおにぎりと数品のパスタ。

お腹がすいているのに何故か食欲が湧かない私はため息を落としながらおにぎりを購入し、小さなビニール袋をぶら下げてふと、月を見上げながら歩く。

もしあの時…

私が泣かなかったら…

私が何も言わなかったら…

今ごろ私は真中さんに抱かれていたのだろうか?

セフレのいる真中さんにとってみればそんな行為なんて大したことではないのだろうか?

しかし、私にしてみれば……

K「こっちは処女だってば……。」

はぁ~と大きなため息を虚しさと戦いながら私にも心の準備が欲しかったという言い訳が頭の中でクルクルと回る。

その間にマンションに着きエレベーターで家の階に上がると…

エレベーターの窓から廊下に立つ女性の姿が見えた。

エレベーターの扉が開き、私が降りるとその女性が立っているのは間違いなく真中さんの部屋の前だというのが分かり、ゆっくりと扉が開くと中から出てきた真中さんに女性が飛びつくようにして抱きつき、2人はそのまま部屋の中へと入っていった。

あの人が真中さんのセフレなのかな…

今から真中さんの部屋で行われるのであろう行為が頭の中によぎり、数時間前まで自分がその部屋にいたのにと嫉妬のような感情が込み上げる。

呆然と立ちすくんでいた私は手に持っていたはずのビニール袋が床に落ちていてハッとする。

そのビニール袋を拾おうと下を向き腰を落とすと胸がギュッと締め付けられて苦しくなり、そのまましゃがみ込んで膝を抱く。

私があのまま真中さんに抱かれていたら真中さんはセフレの女を呼ばなかったのだろうか?

真中さんは好きでもない私とできたのかな?

でも、私はちゃんと恋をして好きになりお互い求め合って付き合ってから愛し合いたい。

私にしたらそれくらい大切なものだから。

価値観と考え方が違ったのかな…真中さんとは。

私は立ち上がり部屋に戻ると真中さんの部屋の壁から1番遠い場所に座り、おにぎりを頬張った。

つづく
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