ぼくはキミの守護霊さま。

樺純

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第十五話

真中ハヤテサイド

女と嫌な別れ方をして後味の悪い俺は、山城さんの部屋の鍵を開ける為に電話した鍵屋に連絡をし明日、我が家の鍵をつけかけてもらうことにした。

女から合鍵を返してもらったものの他にも作られていたらシャレにならないと思ったから。

そんな生き方しかできない自分に嫌気がさし、微かに残るような気がする山城さんの香りを忘れるため俺がベランダに出ると、山城さんの声と男性の声が隣から聞こえてきて俺の心臓がズキっと痛む。

その会話の内容はどう聞いてもカップルがイチャつき体を突き合っているような会話の内容で、俺は聞きたくないと思うのに何故かその声に耳を傾けてしまう。

楽しそうな山城さんと男性の声に微かに芽生えたのは嫉妬という気持ち。

数時間前まで俺の部屋にいたはずの山城さんは今、他の男といる。

もし、俺が鍵屋に電話しなかったら山城さんは今でも俺の部屋にいたかもしれないのに……

そう考えると勢いに任せて山城さんにあんな淫らな事をしてしまった自分に腹が立ち、とぼとぼと一人寂しく部屋の中に戻った。

次の日

コンビニに行こうと玄関を出ると山城さんの家の玄関の前には昨日の男性と一緒に食べたのだろうか?中華料理店の割引チケットが一枚落ちていた。

今頃、山城さんはその男とベッドの中にいるのだろうか?

自分で自分の首を絞めるような事を考えながら、山城さんの部屋の前を通り過ぎようとすると、突然山城さんの玄関が開き中から山城さんが勢いよく飛び出してきて俺たちはバチっと目があってしまった。

気まずさから視線を逸らし頭を下げて俺は足早にエレベーターの前に行くと山城さんもあっ…とした顔をして俺に軽く頭を下げて俺の少し後ろを歩く。

しばらく待っているとエレベーターが到着し、俺が乗り込むと山城さんは乗り込んでこようとしなかった。

山城さんのそんな行動が俺とは密室にいたくないと言われているみたいで俺は少し傷ついた。

H「乗らないんですか?」

K「え…あ…乗ります…」

そうして山城さんは慌てるようにしてエレベーターに乗り込むと、俺たちは黙ったままエレベーターが一階に降りるのを待った。

すると突然…

5階あたりに差し掛かるとエレベーターが激しく揺れ電気がバチバチと点滅し始め、思わず俺はエレベーターの壁にもたれ掛かった。

慌てながら山城さんを見ると怯えた山城さんはしゃがみ込み耳を塞いでいる。

K「なに!?こわい!!」

H「落ち着いてください…大丈夫なんで!」

そう言ってエレベーターの緊急ボタンを押すが、なかなか繋がらずエレベーターはまた激しく揺れとうとう電気は消えてしまった。

K「ひっ…こわい…」

薄明かりで見える山城さんは今にも泣き出しそうで、寄り添ってあげたい気持ちは山々だが、昨日のこともある俺からしてみればどうしてあげる事もできず、ただエレベーターという密室で少し距離をとり見つめることしか出来ない。

何度、緊急ボタンを押しても繋がらずスマホを取り出してみるが、そこは何故か圏外になっていて、俺はどうすればいいのか分からずその場にしゃがみ込んだ。

すると、少し離れた所でしゃがんでいた山城さんが俺に声を掛けてきた。

K「…ッ…真中さん…」

H「なんですか?」

K「そばに行ってもいいですか?」

山城さんから出たまさかの言葉に驚いた俺は返事をする事ができない。

K「ご…ごめんなさい…いやですよね。私、暗いところが苦手で…ごめんなさい変なこと言って…」

山城さんはそう言って下を向くので、俺は何も言わずスッと山城さんの横に移動し、自分の肩を微かに山城さんの肩に当てた。

どんなに待っても助けが来る気配がなく、ついに俺たちは床に座り込みただぼんやりと薄明かりの中で過ごす。

ストーカー被害に遭っていた山城さんは暗闇がよほど怖いのか、微かに当たる肩が震えていて俺はそんな山城さんが少しでも楽な気持ちになればいいと思いながら話をし始めた。

つづく
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