ぼくはキミの守護霊さま。

樺純

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第三十三話

山城コトハサイド

練習生の頃はあんなに仲良く過ごせていたのに…

いつからだろう?キミくんの存在がこんなにも恐怖になったのは……

今考えるとおかしいなと感じる事は沢山あった。

でも、親友の嫉妬というカテゴリーでなんとか見て見ぬふりしていた。

それは同じ練習生だった親友のジョウもよく冗談で私に言っていたことだから。

でも、ジョウとキミくんの違いは決定的だった。

キミくんのその言葉は冗談ではなく本気だったから…

キミくんと私仲良くなったきっかけはなんだったのだろう?

それすら恐怖で私は忘れてしまったよ。

だけど、ふと思うんだ。

あの日、私がもう少し大人でキミくんの心を思いやりながら告白を断る事が出来たのなら…

今頃、私とキミくんの関係は変わってたかもしれないね。

「何言ってんのよ。私たち親友でしょ?」

好きだと言ってくれたキミくんにそんな軽く答えてしまったことに私は何度も後悔をした。

思春期の男子が好きな子に告白をするという事がどれだけ勇気が必要で覚悟を決めた事だったのか、恋愛経験のない私は全く分かっていなかったから。

あんなに優しくて穏やかだったキミくんは私が告白を断ってから変わってしまった。

キミくんはことあるごとに「親友」という言葉を使い、私を縛りつけるようになり、私に関わる人間を全て排除しようとし、もう1人の親友であるジョウでさえも拒絶した。

「コトハの親友は俺だけなんだから…」って。

そんなキミくんに恐怖を感じ始めた私がキミくんから距離を取りはじめた時からかな?

キミくんが私の後を付けたり、女子寮の私の部屋に忍び込んだり、練習室に置いてあるスマホを勝手にみたりするようになったのは。

練習生だというのに私には何故かファンが付いてくれたけど、そのファンからの過剰な愛や過度の付き纏い行為、それに加えてキミくんの束縛に私の心はもう、限界だった。

毎日、数百件近くになるキミくんからのメールと数十件の着信、それに加えてストーカーからのメールと着信。

練習が終われば毎日「好き。愛してる。親友でも愛情表現はするだろ?俺たちは親友なんだから。」そう言ってキミくんはじわりじわりと私を追い詰めていた。

そんなキミくんから逃げるようにキミくんに居場所を知られている女子寮を出た私はスタッフに相談して一人暮らしをするようになった。

極一部のスタッフとジョウにだけ引っ越し先を伝えていたが、キミくんはなぜかすぐに私の引っ越し先を突き止め、私と同じマンションに引っ越してきた。

それに怯えた私はキミくんと鉢合わせしないように時々女子寮に戻ったり、ホテルに泊まったりするようになった。

しかし、私が女子寮で同じ練習生の女の子と同じ部屋で寝ていた時の事だった。

深夜、横に気配を感じ目を開けるとなんとそこにいたのは同じ練習生の女の子ではなく、私の手を握って眠るキミくんがいた。

私は親友だったはずのキミくんの寝顔を見てゾッとした。

なのにキミくんは何食わぬ顔…いや…幸せそうな顔をして私のそばで眠っていて、その寝顔が私の恐怖でしかなく、もう限界だと私の心が壊れてしまった瞬間だった。

そして、私はその日を境にアイドルになるという夢を捨てた。 

事務所の人にも全てキミくんのことを話し、田舎に帰る前夜、キミくんは事務所の人の目を盗み、荷物をまとめている私の部屋に忍び込んで私のことを犯そうとした。

ヤられる…

そう涙を流しながら必死で拒んでいると、たまたま駅まで見送りに来てくれる予定だったジョウが私が襲われていることに気づき私はなんとか助かった。

キミくんはそのまま警察に連行され、事情聴取をされると私の隠し撮りや私の私物を盗んだりしていた事まで分かり、他の練習生に対して私に近づくと殺すという恐喝や暴力、薬物にまで手を出していた事が分かった。

キミくんが逮捕されたと聞いた私は少しホッとしたものの心のトラウマがあまりにも大きく、私は田舎に帰りこの数年間、祖父の農業をして心を癒していた。

そんな私のとこにもキミくんの噂は届き、その後もキミくんは色んな罪を犯し何度も刑務所を出たり入ったりを繰り返していて今は刑務所の中にいると聞いていた。

そんな私の元に突然、舞い込んできたチャンス。

東京から去る原因となったキミくんがいないのなら…私はまた東京で頑張れるかもしれない。

もう私はアイドルを目指す事は出来ないけれど、東京で夢を追いかける子たちの力になれるかもしれない。

そう、新たな道に進めることに心を躍らせながら東京に来たのに……

キミくんはまだ……私のことに執着していたんだね。

あの日、終わったと思っていたキミくんとの因縁は終わっていなかった。

つづく
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