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3話
しおりを挟むJ「あ、俺の名前はジユ。で?お姉さんの名前は?」
そう言ってクルリとした目で私を見つめるその顔に一瞬…あの人の面影がよぎった。
まだ、幼さの残る彼から見つめられどうすればいいのか分からず私はいい歳して目が泳ぐ。
*「え?あ…ルリだけど…」
J「ルリね!了解!」
彼はそんな私の様子も気にすることなく話を続けていく。
*「あ、あの…ごめんね?私さ?用事思い出したから…」
危険を察知した私は咄嗟に嘘を言ってその場から離れようとするも彼は私の言葉を遮る。
J「あぁ~そうですか~!って言うとでも思う?」
そう言った彼は生意気な笑みを浮かべて私に微笑みかけた。
*「いい加減にしないと警察呼ぶよ!?」
J「では、事情聴取をはじめまーす。」
*「はぁ?」
J「20代…いや、30代女性。丘から今にも飛び降りそうな所を保護。大きなトランク1つと小さな手持ち鞄を所持。住所不定…あ、ルリの仕事は?」
*「む…無職だけど…」
は?いや、そこは20代でよくない?なんで30代って言い直してんだこの小僧は…と私は心の中で文句を呟く。
J「住所不定無職の女性!」
*「ねぇ、なにこれ。」
J「え?警察呼ぶって言うから警察ごっこに付き合ってあげてるんだけど?」
そう言って彼は楽しそうに笑った。
*「もう、そんな冗談いいから早く離しなさい。」
J「ルリは無職で住む所もないんでしょ?」
*「そ、そうだけど何か文句でもある?あなたに迷惑かけてないでしょ?」
J「その性格だと親友とかいないでしょ?彼氏とかいた?ろくな男と出会わなかったんじゃない?」
そう言って彼は私にまた生意気な微笑みを向ける。
*「うるさい。」
J「図星かよ。まぁさ?住む所ないならウチに来れば?」
*「小僧の住むぼろアパートなんてごめんだわ。」
J「ネットカフェよりはマシだと思うけどな~まぁ、とりあえず見て決めれば?ここだけど。」
そう言って彼の指差す方向に目をやると、そこには真っ白で大きな二階建ての庭付き一軒があった。
こんな豪邸にこんな小僧が住んでいるだなんてありえない。
さすがに私でもそれぐらいのことはわかるのでそんなくだらない嘘に付き合うつもりもない。
*「はいはい。嘘はいいからね?もういい加減、手離して?そんな勝手な事言ってたらここの住人に怒られるよ?」
J「嘘かどうかは入ったらわかるよ?」
私の言葉に動じる様子など一切なく彼は大きな門をガラっと開けて中へ入って行く。
それと同時に広がる敷地内の光景になんとも言えない懐かしさが胸の奥からこみ上げてきた。
*「………ちょ……ちょっと待ちなさい!なに考えてんの人様の家に勝手に入るなんて!バカなの!?ねぇ、バカなの!?」
彼は私の声に耳を傾ける様子は一切なくズンズンとただ進んで行く。
*「もう、ほんといい加減にしてよ~!離してってもう~!ほんと警察呼ばれたらヤバいって!」
私の声も虚しく彼は玄関のドアノブに手をかける。
あぁ…終わった…私はそう思った。
つづく
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