腰エンパイア

おじいちゃん

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第一章

救出作戦

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「いいかお前ら、ここを降りたら敵地だ。気を抜くなよルーキー共!」
ガタガタと揺れて空を飛ぶ共和国兵員輸送カーゴ
薄暗い中グレーのアーマーを着た軍曹の怒号が響く。
5、6名の白い丸みを帯びた補助アーマーを着た新兵達が緊張した面持ちで頷いた。
ハッチの扉が重々しく開く

ゴゴゴゴ…
ハッチが開き軍曹に続き兵達がぞくぞくと降りる。
瓦礫だらけの市街地、この付近に敵の新兵器が配備されたとの情報があり先遣隊が極秘に派遣された。データを確保したとの事だが数日間連絡がない。そこで共和国は増援を決定、秘密裏に分隊が派遣されたのである。

「しかし共和国も人手不足だよな!増援にこんな挨拶もまともに出来ないルーキー共をよこすとはな!」
先に到着していた伍長と兵長、上等兵達が不満を漏らす。味方の故障したドローンが転がっている

ベテラン達のアーマーは所々グレーの角張ったアーマーと白いアーマーが混在したり独自にカスタムしている者もいた。

今回はベテランチームと新米チームの混合分隊による救出作戦だ

共和国対帝国の戦いは長期に渡りお互いの物資、人員を消費しもはや泥沼化。
最前線には新兵が送られアーマーも軍用の物では追い付かず民間の腰補助アーマーを改造して使う事もそう珍しくない

しかし軍用のアーマーと違う民間アーマー、ましてやろくに訓練を受けていない新兵が民間アーマーを着けて活躍出来るはずもなく、人員と物資を失う悪循環に陥っていた。

そんな中わざわざ人員を割き救出に向かうこの作戦に軍曹は疑問を感じていた。だが上の決定には逆らえない

ドローンによる偵察も試みたがどうやらジャミングされているようで無線だと遠くまで電波が届かない、しかも暫くすると壊れてしまうらしい。お陰で有線で使うか短距離でしか使えない

ウィーン…
「軍曹!こちらに進みますか?」
アーマーを着た新兵が進路を塞ぐ邪魔な瓦礫を思い切りどかした。
「馬鹿野郎、でかい音を出すな!死にたいのか!
全く何で俺がルーキー共の子守りをしなければならんのか…」そうぼやく軍曹と共に分隊は短距離のドローンで索敵しながら隊列を組み先遣隊の連絡が途絶えた場所に向かった。

暫く進むと軍曹が物陰に隠れしゃがみ止まれのハンドサイン

ガシャ…ガシャ…
白いアーマーを着た傷だらけの共和国兵がこちらに1人で向かってきた。
「大丈夫か!」
遂飛び出して駆け寄る新兵
「チッ!周りの安全を確認してから飛び出せ」
そう言ってレーダーで周りを確認してから上等兵が駆け寄る

傷だらけの共和国兵はフラフラと歩くとこちらの顔を見て安心したのかその場で崩れ落ちた。
崩れ落ちた共和国兵を抱き抱える
そのまま共和国兵は自分が歩いて来た道を指差し
震えながら息も絶え絶え声を振り絞った
「まだ…仲間が…」
「おい、大丈夫か!もういい動くな!衛生兵メディック!」

そう叫ぶと衛生兵メディックが駆け寄り応急処置を施した。横にして担架にのせたがとても喋れる状態ではない。

「仕方がない。」
伍長がそう言うと衛生兵メディックと数名の兵士とドローンを残して進軍を続ける事となった。

また道なき道を進む。
アーマーがギシギシと軋みプロテクトギアの下に着た服に汗が染み込む。腰も痛む。チリと埃が舞う瓦礫の山。緊張と乾燥で喉がひりつく

どのくらいたっただろうか

硝煙の臭いがする。
急に当たりが静かになる。

軍曹の足が止まった。




待ち伏せアンブッシュだ!」
呟いたその瞬間帝国兵達が埋もれた瓦礫の山から飛び出して来た。
帝国兵に次々とやられて行く一等兵、二等兵達。

奴らはわかっているのだ。誰をどう攻撃したら効率よく倒せるかを。
それもそのはず戦場でこんな目立つ白いアーマーを着ていれば目立つ的である。

対して帝国兵はヘルメットにガスマスクそれに全身黒い戦闘服。闇に紛れられたらひとたまりもない

しかし民間アーマーでもそこはアーマー、耐久性に優れ普通の銃では中々装甲を貫けない。そこで奴らは接近して懐に入りナイフで剥き出しの腰の動力源を切ってしまう。

腰を改造された帝国兵は素早く、懐に入られてしまうと軍用アーマーならともかく民間アーマーを着た新兵はたちまちやられてしまう。

おまけに帝国側は選別され訓練を受けた精鋭ばかり、跳躍力も凄まじく腰も強化されている。徴兵された共和国兵では相手にならない

軍用アーマーを装備していても気を抜けばやられてしまう。

「くそっ!新兵は防御体制に移行しろ!」
そう言うと新兵はその場で丸まり防御体制をとった

共和国も帝国側のこの戦い方に対抗策を考えていた。
まず民間アーマーのみ装着している場合は丸まり防御体制をとる。そうすれば余程の事が無ければナイフや銃で装甲を破られる事はない。

そして軍用アーマーを着けている者は反撃に出る。軽量化されたアーマーは帝国兵の動きにもある程度ついて行く事が出来るので近接戦の場合は腕でナイフを防ぎつつアーマーを敵に当てる。

そうすればいくら鍛え上げられた強靱な帝国兵といえどもタダでは済まない。

上等兵が左腕の白アーマーでナイフを防ぎつつ右腕で
応戦する。

すると背後から他の帝国兵が襲いかかって来た

「危ない!」
そう叫ぶと兵長の足アーマーが炸裂する。うずくまる帝国兵

「ありがとうございます!」
「気をつけろよ!」
そのまま2人は戦闘の構えに戻った。

その横で流石伍長は真正面から敵と互角に渡り合い
腰の入ったパンチで軍曹は敵を吹き飛ばしていた。

ピーッ!
急に高い笛のような音があたりに鳴り響いた。
共和国兵が驚いていると帝国兵がスモークグレネードを投げ争いを止め撤退し始めた。新兵達が追いかけようとするがベテラン達がそれを制止

いくらアーマーで追いかけてもその差は縮まらず、たとえ追いかけられたとしてもこちらのアーマーのバッテリーが切れて逃げ切れられてしまうのが目に見えていたからである。

帝国兵が逃げに徹すると厄介だ
背中に向けて銃を撃ったが人並外れた跳躍力と俊敏さで弾は掠りもしない。しかしこんなにも素早かっただろうか。

「撃ち方やめ!大丈夫だ。敵の1人にビーコンを着けておいた。…このまま進むぞ。」
軍曹は上から救出作戦以外にも命令を受けていた。先遣隊のある上等兵がもっているメモリーを回収しろというのだ。この部隊でだ。最初は耳を疑った。しかしお上の命令は絶対だ。

疲弊しながら行進は続いた。
新兵達に疲れが見え初めドローンが何機か壊れかけてきたその時、急に前が開けた。

大型のミサイルが落ちて出来た大きな爆心地の真ん中に共和国兵が1人へたり込んでいた

「おい!どうした!」
またもや駆け寄る新兵
「だから周りを確認して…よせ、罠だ!」

…ズドン!
新兵のアーマーが撃ち抜かれた。普通の弾では貫通しない。どうやら戦車の装甲も貫く徹甲弾を使われたようだ。瞬時に味方が向かいのビルの前にスモークグレネードを焚き射線を遮る。

…ズドン!
また新兵が撃たれた。相手は赤外線スコープを装備している。しかも徹甲弾を撃てるような兵器を強靭な腰で支え1人で運用している。これでは手のつけようがない。

…ズドン!
諦めかけたその時一閃の光がビルの一点を目掛けて音もなく真っ直ぐと飛んでいった。

こちらの狙撃兵スナイパーが相手を倒したのだ。

狙撃手スナイパーの敵は狙撃手スナイパー…」しっかりと腰アーマーで支えられたスナイパーライフルを持ち上げて兵士は囁いた。

尚も行進は続く。流石にベテラン兵士達にも疲れが見え始めたとき
「ここだ」

先遣隊と連絡が途絶えた場所に到着した。
そこには帝国兵と共和国兵が激しく戦ったあとがあり
みな事切れていた。味方のドッグタグを回収する。
しかし肝心の上等兵がいない。メモリーもない

…タタタタッ
銃声の音が響いた。どうやら銃撃戦が行われているようだ。
「レーダーに反応あり!」
先程帝国兵に仕掛けたビーコンが反応した。
近くの集合住宅跡からマズルフラッシュがみえる
間違いないここだ。ここに上等兵がいる。

兵士達は建物をスキャンすると出入り口を取り囲み
銃声と人影が見えた上の階に突入した。

踊り場でビーコンをつけた帝国兵が倒れているのを発見した

更に上の階に登って行くと
いた。上等兵が何人かの帝国兵を相手取っていた

弾の軌道がずれ、敵兵を吸い寄せて倒している

「これは、磁力コンバットシステム!」
磁力コンバットシステムとはアーマーから磁場を発生させ弾の軌道を少し変える事ができる。更に帝国兵の腰は大抵金属で出来ている為磁力によって吸い寄せてアーマーを当てる。出している拳に当てるだけでダメージを負わせられる。こうすれば腰の負担も少なく狭い所では特に帝国兵の動きを制限出来倒す事が出来る代物だ。

最近導入されたと噂には聞いていたが見るのは初めてであった。

「!!」
増援に気づいた帝国兵はまた煙幕を焚き窓から逃げ出した。

追おうとするが臭いがおかしい。煙幕ではない催涙ガスだ。

「上等兵!助けに来た。逃げるぞ!」
軍曹の指示のもとフラフラの上等兵をランディングポイントまで連れて行き合流。撤退。
今回の救出作戦は成功に終わった。

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