治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう

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3章

After Story

 それからの話をしよう。

 マルコ、ケルヴィン、クレディの三人は、あの次の日に明朝に街を出ていった。遠目から見てはいたが、言葉を交わしはしなかった。
 任務期間は一年だと噂で聞いた。その間、生き延びてもう一度帰ってきたときには、治癒魔法くらいはしてやろうと、そう思った。

 そういえば、魔物の件の調査が終わったらしいけど、背後組織とかは見つからなかった、という何とも信じがたい情報だけが回ってきた。創造神教の手回し......では流石になさそうだ。どちらかと言うと国を狙った攻撃だったし。要警戒だ。

 アミリアさんが密偵を創造神教に送ったが、拉致の決定的証拠は見つかっていない。けれど、いくつかの情報から創造神教が絡んでいることは確定したらしい。

 そして内密に、アミリアさんと俺の結婚発表が、およそ半年後に決められた。
 どうやら、ドレス等を用意していたせいでそれだけ時間を取るらしい。礼服じゃあダメなのか、とアミリアさんに聞けば「これは乙女の夢なんです!」と珍しく感情いっぱいで攻撃してきた。

 治療院には、宮廷治療術師と大聖女様から手紙が届いた。

 宮廷治癒術師からは「今度は王城に遊びに来いよ!」と絶対に国王の許可をもらってないだろうお誘いが。

 大聖女様は――――「練習を怠ってはいないでしょうね」とだけ。ごめんなさい。今日から練習します。

 あとは......焼き鳥のおっちゃんの店がたくさんできて、ついに治療院の近くにも支店ができた。
 屋台だったころを考えれば、土地を持ってたくさん支店を作れている今は何もかもがうまく行っていそうだ。まぁ、これは偏見だけど。





「これは、どうしようか......」

 指輪と同じくらい管理場所に悩むマルコの密告メモ用紙が追加されてしまった。
 内容は未だ、怖くて見られてない。七神教の内容だというのに、七神教聖者がそれを知ってしまったら、簡単に後ろ盾を失いそうで怖い。それに、知ったらアミリアさんを巻き込みそうだし。......本当は捨ててしまいたい。
 だが、あのマルコを見ると、そう簡単に捨てられない。

「ロードさん、今行けますか!」

 唐突に、騒がしいノック音とともに声が聞こえる。

「フィアさん、どうしましたか?」

「ちょっと怪我人が多くなってきたんです!」

 その慌てようから、もうすぐ限界を迎えるだろうことは想像に難くない。
 俺は慣れた手つきで神官服を着る。

「すぐに!」

 俺はその紙を――――やはり、ポケットの中に入れて、そのまま封印する。
 リザレクションのことも、このマルコの託した情報のことも。
 結界魔法に、それに治癒魔法も。
 治療院も、聖者のことも。
 だけど、とりあえず今は治療しに行かなくては。


 俺はドアを開けると、怪我人の集められる部屋へと向かう。
 今日の世界は、誰から見ても平和だった。

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