魔力極振りの迷宮探索

大山 たろう

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四章 文化祭

今までが幸運だった

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「メインウェポンが魔弾に魔法刀身とか暗殺でも始めるつもりか?」

「ほんとぉ、見えなかったねぇ」

「あんた、どんな戦い方してんのよ......」

 三者三様に驚かれた。

 しっかし、個人的には徹の戦闘のほうが脳筋だと思うのだが......
 あいつ、中心に突撃していたせいで見えなかったが、一撃も食らってないということはないだろう。

「徹、何か回復手段でも積んでるのか?」

「この司製の腕輪だな。ある魔法で俺はHP自動回復状態なんだ」

 その言葉に俺は納得する。しかし、いくら回復するとはいえ、痛いもんは痛いんじゃ......
 そう思っていたら、しっかり徹が教えてくれた。

「これも痛覚耐性とれなかったらどうなってたか!いやースキル様様だな!」

 こいつは俺とは違ってほしいスキルが選択肢にある人らしい。
 徹、君は僕の敵のようだ。

「拓海はなんでそんなに恨みがましい目で見てくるんだ?」

「いや、お前はいいなと思ってだな!」

「確かに拓海と違って徹はスキル結構揃い良いみたいだからねぇ......仕方ないよ」

「はいはい三人!さっさと門まで行って帰るわよ!」

 三人に引っ張られるようにして、俺達は帰還した。

「それじゃ、帰ろっか!」

 そう飯塚さんが言ったところで、最悪の出会いをした。

「あれ、紗耶香、どうしてここにいるんだい?」

 門を出たところで、俺たちは出会った。出会ってしまった。

 飯塚さんの笑顔は凍り付き、俺三人もいつこの場を離れるかに思考がシフトしていた。

 飯塚さんは、震える声を吐き出した。

「なんで、天ノ川君たちが......?」


 よく考えたら当たり前である。
 むしろ今まで会わなかったことのほうがおかしいレベルであるとまで思えるが、そんなことはどうでもよかった。
 今は、どうやってこの状況を切り抜けるか、そこである。

 幸い徹は何かの仮面をつけていて、司はなんかすっごいパワードスーツのヘルメットをかぶっていたため、まだばれていない。

 鑑定されては困るので、偽装を俺の名前から適当に変えて......っと。これで俺の偽装更新は完了した。

 さぁて、どうやって帰ろうか......そうだ。ちょっと策を弄すかな...

 俺が準備をしている間に、飯塚さんが話しかけていく。時間稼ぎにはそれしかないと向こうもわかっているのだろう、自分から行ってくれて助かった。

「あ、天ノ川君、久しぶり」

「や、やぁ、紗耶香さん。探索者やめたんじゃなかったの?」

「いや、ちょっと知り合いに一緒にどうかって呼ばれてね......」

「そうなんだ。そちらの方々かい?」

 うっわ、完璧な試合運びで俺たちに話しかけてきた。しかし俺は声を出すとばれる危険性が上がってしまう。

 とかなんとか思っていたら、隣に勇者パーティーの女子が出てきた。

「ねぇ、どの面下げて勇気と話してるのよ」

「いや、別に......」

「言いたいことあるならはっきり言えばいいじゃないの! この役立たず!」

「ッッッツ!!!」

 うっわ、この女子こえええ!
 にしても役立たずとか言われてたのか......しかも、魔眼でうそ発見器でもしたのかな、だとすれば最悪だ。そんなの会いたくないに決まっている。

「まぁまぁ、落ち着いて。紗耶香が悪いわけじゃ......ないんだし」

「ッッッッツ!」

 なんだ?勇者がフォローしたように見えたが、なぜあいつはあんなに悔しがっている?女子に嫉妬しているのか?

「やっぱり、私は満場一致で邪魔者だったらしいわね」

「僕は、君が邪魔だなんて......」

「私がスキルポイントをためて何取ったか教えてなかったわね。私は魔眼をとったのよ! 能力は正誤判定! 嘘ついたらわかるの! 魔眼は天ノ川が嘘つきとしか言わないの! ねぇ! 何とか言ってみなさいよこの嘘つき!」

 ついに泣きじゃくって大声ですべて言ってしまった。
 天ノ川は汗を垂らしながら

「魔眼って、すごいじゃないか、君ならもう一度僕たちと「嘘」......もう一度、パーティーで潜ってみないか?きっとまた、やり直せ「嘘」......」

 ついに黙ってしまった天ノ川。しっかし、そこまでこいつらと息が合わないことがあったのか?
 そんなことを本人に聞けるはずもなく、さっさと隠密を起動した俺たち。

「行こ、もうこれ以上は時間の無駄。私たちはあんたとは絶対迷宮にもぐらない。それは決定事項だから」

「あんたらとなんてもうこりごりよ! こんなちっぽけなパーティーよりこっち三人が一人で行ったほうが圧倒的に強いに決まってるもん!」

「なんですって? 勇者パーティーよりも強いソロがいるはずないでしょう、訂正なさい!」

 そう言って勇者の隣にいた女子は殴りかかる。

 俺が行くべきかと足を踏み出したところで、徹が俺の前へ出る。どうやら徹が行ってくれるようだ。助かった。
 俺だと最悪ステータス的に死んでしまうからな......

 徹が片手でその拳を止める。

「お前ら、暴行未遂でパーティー全体刑を受けたいか?」

 そう、威圧のある声で言った。

 変声などしてはいないが、周囲に威圧感が漂う。周囲の気温が下がった錯覚さえ覚えさせられる。
 それは、強者の威圧。彼らはその場に一人を置いて走り去っていった。

 残ったのは、天ノ川。

「さ、紗耶香。ま、また話に行くよっ......っ!」

 と、彼女の手に触れようとした途端。

 彼女が、揺らいだ。

 その後ろにいた三人も、どんどん焦点が合わなくなるように薄れていき、次第に消えていった。
 これは。

「幻術......極光の勇者に、幻術だと......」

 勇者というのは、スキルに各状態異常体制を少なからずつけられている。しかも光属性の勇者として精神攻撃と幻に関してはほかの勇者よりも強めのスキルを手にしている。はずだったのだが、いとも簡単に幻術にかけられた勇者。

 彼は、理解を拒むように、頭を抱え込み、叫ぶのだった。




「どうだ、幻術成功。」

「乙。ってかあの殴ろうとしたところ結構ひやひやしたぜ」

 あの時というのは、トリマキ女子が殴りかかってきたときだろう。

 ネタ晴らしをしてしまうと、あの時すでに司が飯塚さんを連れて先に逃げていたのだ。しかし殴られるとさすがに幻術が解けてしまうので、その場に残ってしまった二人が慌てて止めようとするところだった。

 その後、威圧をかけて勇者の仲間が去ったタイミングで、俺たちも幻を残して走り去ったわけだ。

 俺たちは勝ち誇った顔をして、一人ずつ家へと帰るのだった。
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