魔力極振りの迷宮探索

大山 たろう

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七章 試練

到達者の集い

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 本日二話投稿となっております、お気を付けください。





















「あー! やっと来たー!」

 その明るい声が聞こえたのは、奥に置かれた九つの席に座っている一行からだった。

「皆さん、お待たせしたかしら?」

「いーや! 待ってる間も結構楽しかったよ!」


 そう元気に話す茶髪を後ろでくくった女子。

 他も、何かのゲームのオフ会のような雰囲気だった。

 会長と俺は、空いていた二つの席に座る。

「それじゃ、はじめましょっか。まずは......なにからする?」

 会長が段取りを聞いている。もう未来が見えているだろうに、それを言わないのは何かの楽しみなのだろうか?

「情報共有からでいいんじゃないか?」

 そういったのは何かの格闘技をしていそうな体つきの男性。

「そうね。そうしましょう」

 会長はその意見に特に反対せずに、話を進める。

「到達者のジョブについた人は、百階層にある試練の間にて、試練を受けることができる。クリアしたら、人間をやめて、理の外側の存在となれる。ここまではいい?」

「よくないです」

 間髪入れずに俺はそう答えた。

「ということは、心に偽装系スキルを使っているわね」

 すぐに答えた会長。その通り、俺は心を読まれないように改竄で閲覧された時の情報を書き換えている。しかし、なぜ?

「まぁ、わかったのは私のスキル『世界演算ラプラス』なんだけどね。あぁ、拓海君には『予知』だって言ったそれだよ」

 元から、あのデータは隠されているだけでなく、書かれている情報ですら嘘だったのか。

 会長は俺の心の内を読めないまま話を続ける。

「それで、世界中の人の行動、思考、そういった次の動きを決定するものをすべて計算して、そのうえで未来を推測する、ってスキルさ」

「それ、どんだけ知力いるんですか、やってることがおかしいだろ......」

「そうだね、知力が百万を超えたあたりで百階層をクリアしたから、最低ラインはわからないんだけどね。っと、話を戻そうか。」

 そう前置きをして、会長は話をつづけた。
「私のの推測だと、あの部屋は神ですら意図して作ったわけではなさそうなんだ。その証拠に、あの部屋では一切のスキルやステータスが効果をなさない。」

「質問なんですけど」

「どうした、拓海君」

「何処の百階層へと行ったらいいんですか」

 日本どころか、世界も併せて万は下らないとされる迷宮の、どこの百階層が正しいのか。その疑問は当たり前だろう。

「大迷宮じゃなかったら、どこでもいいよ、というか、大迷宮は一階層しかないから、階層のある迷宮ならどこでも、ということかな。」

「何処でも?」

「そう、どこでも。地上に開いた門は、アリの巣の先端についたようなものと考えて。その門の先は最初こそ違えど、最後は同じ出口へと収束している。そういう構造なんだ。転移台座とかそのあたりの説明は長くなるから聞きたかったら後で聞いて。まぁ、どこでもいい」

 そう、結論をもう一度行って締めくくった会長。俺はとりあえず何処でもいいと聞けただけ御の字ということで、椅子にもたれかかった。

「最初からその質問とは、結構飛ばすねー!」

 そういったのは、先ほどの茶髪の女の子。

「そうか?」

「そうだよ! 大抵は「なんで呼ばれたんだ?」とか、「会議って、何について話すんだ?」とか聞いてくるのに!」

「まぁ、大体知ってるんで」

 少し得意げに言ってみる。

「えぇ! じゃあ言ってみてよ!」

「えーっと。夏の初め、来るべき日が訪れる。この運命は不変である。遥か彼方より送られた戦士は、この地球を侵略する。防ぐためには、十三人の星、九の到達者の二十二人で迎え撃て。みたいな?」

「完璧だよ拓海君。しかし、それはどこで聞いたんだ? これは一部にしか公開されていない国家機密なのだが」

 一気に重圧が俺にのしかかる。

「このことにかかわっているのは、九人の到達者だけじゃないだろ? たぶんだけど乙女座ヴァルゴ当たりに直接会わずに伝えてるんじゃないのか?」

 星王会議の時にその話をしていた時、天秤座リブラはそれを誰かから聞いたという口ぶり。そして乙女座ヴァルゴ以外も同じような、それは聞いた、という表情。

 唯一これまで話をしていなくて、その話を聞いているときだけ緊張していた乙女座ヴァルゴではという推測だ。

「そうです。私は 乙女座ヴァルゴを名乗るものに確かに間接的に伝えてます。となると、あなたは?」

 推測は当たっていたらしい。
 返答をしたのは、今まで布で顔を隠し、一言も話をしてこなかった人だ。声が高く、女性であることは容易に想像できる。

「あぁ、そっちで聞いた」

「皆さん、この方は敵ではないです。安心してください!」

 その声を聴いて、かけられていた重圧が霧散する。

「説明を端折りすぎですよ。一からしっかり説明してください。私も間接的な接触以降、行方をくらまされて困っていたんです」

「はぁ、わかりました。私は昨日、ある会議に行ってました。星王会議と言って、十三人の星を集めようとする会議です。私は双子座ジェミニ、まぁ、二人になる能力を使えるので、会議に出席してたんです」

「まさか、拓海君が星のほうも所属しているとは......」

「それで到達者も? すごいね!」

「でも、魔力特化はいいけど、属性魔法使えないし、知力上がらないし.......」

 そういった瞬間、会長以外のひとたちがぎょっとする。

「それって......どうやって戦ってるの?」

「そりゃあ、魔弾したり、魔法刀身したり、鎖で縛ったり」

「魔弾って、あの威力出ない魔法だよね! よく最終職までいけたねー!」

 茶髪っこになぜか感心されている。

「あれ、でも人数の計算が合わなくない?」

 そういったのは茶髪っ子。

「そうか? あっていると思うのだけど」

 会長は何を疑問に、と聞き返す。

「だって、十三人なのは、きっと拓海くんが二人になるから、でしょ?でも、二人になる拓海君がいるこっちは十人じゃないよね?」

「確かに。それはどう説明できるのかしら.......」

「単純に、ステータスとして九つってだけじゃダメなんですか?ほら、こいつ、ステータス上では双子座ジェミニになってましたし、俺と魔力共有なんで、到達しているわけではなさそうですし」

「まぁ、それでいいと思うわ。そこまで運命に大きくかかわるわけでもなさそうだし」

「運命?」

「それは私のスキル『運命の声』です。避けられない定めを、そしてそのあとの分岐、そして分かれ道と、その先を教えてくれます。第二章はそれだったんですけど、聞いていないですか?」

「あいにくと、天秤座リブラがめんどくさがったせいで」

 はぁ、と俺はため息をつくしかなかった。

 が、今日の収穫としては上々だろう。

 なにせ、話せると思っていなかった人たちに、星王のことを話せたのだから。てっきりきょどると思っていたからな。俺自身。
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