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幕間~その頃の件の母娘
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「今日もライブお疲れ様」
「ええ、お母さんのおかげでね。 でも、別の件では上手くいってないわ」
「あの無能の件ね…。 まだ生きていたとはね…。 あれで死んでくれたらと思っていたけど…」
ある場所に構えているアイドル事務所『オフィス・ザマ』。
そこの社長室で対話をしているのは、座間 葛葉と座間 香織。
真人と香織は姉弟だが、血が繋がっていない。 香織は葛葉が必死で探して引き取った養子なのだ。
何せ、座間家と御厨家は、葛葉のあまりにも酷い性質を無理やり正すために、拒否権無しのお見合い結婚をさせたのだ。 葛葉にとってはあまりにも屈辱だったようだ。
葛葉は、真人の生みの親だが真人を敵視しており、元夫の大谷 勇人(旧姓御厨)に丸投げしていた。
その理由は、葛葉が生んだ赤子は女の子ではなかったからだ。 彼女は中絶をしようとしていたが、双方の親族に止められ、仕方なく産んだようだ。
だが、養子として香織を受け入れてからは、夫が単身赴任している間に、香織と結託して真人を山奥に捨てたのだ。
餓死と言う形で何事もなく済ますつもりだったが、ある老人に保護され、警察にも通報された時は必死で証拠隠滅をして、のらりくらりと躱したのでこの時点では乗り切った。
だが、真人が生きているという事が、彼女らにとっては忌むべき存在であり、何としても真人を死なせないといけなかった。
「あの親子はどうしてる?」
「ひとまず、借金の返済を盾に次の工作をするように伝えてるけど…最悪お母さんが直接仕込んだ方がいいかも…」
「流石にそれは不味いからね。 今の無能は、忌むべき楠家がバックにあるから…」
「そうか…。 まず、そこから切り崩さないと始まらないか…」
葛葉がまだ表に出ないのは、真人の背後に楠家が絡んでいるからだ。 政治にも絡んでいるあの巨大な一族の一人が親友である事もあってか、下手をしたらこちらの所業がばれてしまうからだ。
自分の思い通りに進みたい葛葉と香織にとっては、楠家は忌むべき存在なのだ。
「それに関してはなんとか考えておくわ。 それで次のスケジュールだけど、北海道でドラマ撮影よ」
「北海道か…。 今は夏だからいいけど、冬は寒いから嫌なのよね」
「何事もなく進むためには、状況も選んでいられないわ。 待ち合わせは羽田空港よ」
「分かった。 私はそのドラマ撮影に集中するから、そっちは任せたわ」
「ええ、やってみるわ」
葛葉がそう言うと、香織が社長室から出ていく。 準備と一休みのためだろう。
一人残った葛葉は、頭を抱えながらこう独り言ちる。
「早い所、あの無能を死なせないと私達の全てが終わる…。 そうなる前に…」
だが、葛葉の知らないところで彼女と香織の崩壊への道を進められている事をこの時は知る由はなかった。
そして、この会話を彼女が知らない所で、聞き耳を立てていた存在が隠れていたのだ。
「ええ、お母さんのおかげでね。 でも、別の件では上手くいってないわ」
「あの無能の件ね…。 まだ生きていたとはね…。 あれで死んでくれたらと思っていたけど…」
ある場所に構えているアイドル事務所『オフィス・ザマ』。
そこの社長室で対話をしているのは、座間 葛葉と座間 香織。
真人と香織は姉弟だが、血が繋がっていない。 香織は葛葉が必死で探して引き取った養子なのだ。
何せ、座間家と御厨家は、葛葉のあまりにも酷い性質を無理やり正すために、拒否権無しのお見合い結婚をさせたのだ。 葛葉にとってはあまりにも屈辱だったようだ。
葛葉は、真人の生みの親だが真人を敵視しており、元夫の大谷 勇人(旧姓御厨)に丸投げしていた。
その理由は、葛葉が生んだ赤子は女の子ではなかったからだ。 彼女は中絶をしようとしていたが、双方の親族に止められ、仕方なく産んだようだ。
だが、養子として香織を受け入れてからは、夫が単身赴任している間に、香織と結託して真人を山奥に捨てたのだ。
餓死と言う形で何事もなく済ますつもりだったが、ある老人に保護され、警察にも通報された時は必死で証拠隠滅をして、のらりくらりと躱したのでこの時点では乗り切った。
だが、真人が生きているという事が、彼女らにとっては忌むべき存在であり、何としても真人を死なせないといけなかった。
「あの親子はどうしてる?」
「ひとまず、借金の返済を盾に次の工作をするように伝えてるけど…最悪お母さんが直接仕込んだ方がいいかも…」
「流石にそれは不味いからね。 今の無能は、忌むべき楠家がバックにあるから…」
「そうか…。 まず、そこから切り崩さないと始まらないか…」
葛葉がまだ表に出ないのは、真人の背後に楠家が絡んでいるからだ。 政治にも絡んでいるあの巨大な一族の一人が親友である事もあってか、下手をしたらこちらの所業がばれてしまうからだ。
自分の思い通りに進みたい葛葉と香織にとっては、楠家は忌むべき存在なのだ。
「それに関してはなんとか考えておくわ。 それで次のスケジュールだけど、北海道でドラマ撮影よ」
「北海道か…。 今は夏だからいいけど、冬は寒いから嫌なのよね」
「何事もなく進むためには、状況も選んでいられないわ。 待ち合わせは羽田空港よ」
「分かった。 私はそのドラマ撮影に集中するから、そっちは任せたわ」
「ええ、やってみるわ」
葛葉がそう言うと、香織が社長室から出ていく。 準備と一休みのためだろう。
一人残った葛葉は、頭を抱えながらこう独り言ちる。
「早い所、あの無能を死なせないと私達の全てが終わる…。 そうなる前に…」
だが、葛葉の知らないところで彼女と香織の崩壊への道を進められている事をこの時は知る由はなかった。
そして、この会話を彼女が知らない所で、聞き耳を立てていた存在が隠れていたのだ。
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