追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー

ノリオ

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【第二章】ユウカ・バーレン

【第六話】ラウド・ウォーリア④

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「聞き分けのない女だ。いい加減……俺も我慢の限界だぞ」


ラウドは相変わらずの低い声で威圧する。

火は燃え上がる一方で、収まる気配など微塵も見えない。

肝心のユウカはというと、そんな脅しに対しても無反応の完全無視だ。

一触即発の気配はひどく濃厚。

火は徐々にだが勢いを増し、あと一歩で大火にならんとしている。

火を消すためには、今すぐ火元を何とかするか、水で火そのものを消し止めるしかない。

すなわち、このまま収束を図るか、第三勢力の介入に期待するかだ。


「獣語はホントに分かりにくいね。とりあえず敵意向けとけばカッコイイと思ってる低脳に、下げる頭なんて持ち合わせてないよ」

「口ばかり達者な女だ。本当に不快だぞ。お前の声は耳に響いてイライラするんだ」

「私も君の声には迷惑してるよ。無駄に大きな声でバカ丸出しだよね。周りを威圧するしか脳がないんなら、その辺のチンピラ相手に王様気取ってればいいのに」

「この俺を愚弄するか。チンピラに話し掛ける時間など無い。俺はお前と違って忙しいんだ」

「へぇー、そんなに忙しいんだったら私とも話さなきゃいいじゃん。それならお互いお得だし。てか、大体、君は何でそう私に絡んでくるの?嫌いなら視界に入れなきゃいいだけでしょう?」

「…………」


ユウカの言葉に、ラウドは少し黙った。

答えられなかったのではない。

その目には、明らかな呆れと侮蔑が込められていた。

しかし、

ユウカは気付かないフリをして続きを話す。


「私はそもそも、母親と違って普通に暮らしてるだけじゃない。世の中の人間に危害を加えたわけでもないし、犯罪だって犯してない。なのに、何で君はいつもいつもそうちょっかいばかり掛けてくるのさ。正直、ここまで目の敵にされるのは筋違いもいい所だよ」


恭司の意図を知ってか知らずか、ユウカは少し足早に言い切る。

今回、そもそも話し掛けてきたのはラウドの方だ。

ユウカも挑発と罵倒でわざわざ火に油を注ぐようなマネをしているが、ユウカの主張を聞くに、毎回何かやってくるのはラウド側からなのだろう。

それなら、ユウカの主張も分かる。

『嫌いなら話しかけなければいい』は、根本は解決しないまでも、トラブル回避にひどく有効的だ。

だが、

ラウドはそんなユウカの言い分に対し、ニヤリと笑った。


「ふん。どうやら自分の状況を忘れたらしいな。何もしてないなどとおこがましい。お前は『ユウナ・バーレン』の娘。犯罪者!!の、娘だ。人殺し!!を母に持つ、最低最悪のクズ!!の血を受け継いだ人間だ。もはや存在自体が悪なんだよ。いるだけで迷惑なんだよ。何が筋違いだ。お前みたいな人間が、一丁前に被害者面するな」
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