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【第六章】クレイア
【第十四話】ククル・ウィスター<2>⑥
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「ええ、大変面白うございました。これはこれは……またまた非常によく似てらっしゃるなぁと……」
……話し方に少し癖のある人だった。
やたらと遅くて、まるでこっちを舐めるような話し方をしてくる。
……ゆっくり品定めされている気分だ。
どことなく『あいつ』を思い出す。
誰か具体的に思い出せない『あいつ』は、いつもこんな風に人をおちょくる嫌な奴だった。
それでいて智略・謀略に長け、いつもこちらを利用しようと企てる最悪な女だった。
恭司はそいつのことが、とてもとても大嫌いだった。
「……似てるって、誰にだ?」
再び続ける。
相手のペースにハマっていると感じつつも、これだけ急展開だとなかなか体制を整えられない。
これも、向こうの狙い通りなのだろう。
今は凌ぐことで手一杯だった。
「ふふふふ。ユウカさんもそうでしたが、貴方様は本当に正しくといった感じですねぇ……。さすがは親族ということでしょうか。よくも……よくもまぁ似ていらっしゃいます」
「…………」
「あぁ、麗しの君……。『我ら』が主君……。まさかこんな所で貴方様の方から来てくださるとは……。運命とは大変大変異な事でございますねぇ……」
「おい、さっきから何を言っている。一体誰と……」
「お探ししておりました。
『三谷恭司“様”』」
背中が泡立った。
殺意が暴走する手前だった。
ほんの少しでも気を緩めれば漏れ出るくらい、膨大な殺気が体内に渦巻く。
やはり、こいつは生かしてはおけない。
すぐにでもやらなければならない。
そう、すぐにでも、
コロサナクテハナラナイ。
恭司は自然と臨戦体制を取る。
だが、
そこでストップがかかった。
「ギルス。そこまでだよ」
ユウカだった。
ユウカは腕を組んで、恭司の後ろに威風堂々と立っている。
いつかの時と逆の展開だ。
寝ていたはずだが、いつの間にか起きてきていたようだ。
「転校初日の人間にいきなり喧嘩売ってくるなんてずいぶんご挨拶だね。どういうつもり?」
ユウカは恭司を後ろに下がらせ、ククルの前へと出る。
ククルはニタァと笑うだけで、何も言わなかった。
長い前髪から覗くように現れる目が、酷くいやらしい眼光を帯びているのが分かる。
こいつは楽しんでいるのだ。
恭司の反応は勿論、この状況すらも、こいつの思惑通りなのだろう。
ユウカは周囲のクラスメイトたちの姿を確認しながら、ククルに向けて小さくも威圧的な声で言い放つ。
「何のつもりかと、聞いているんだよ」
ユウカはククルに向けて圧を強めた。
強烈なプレッシャーが重圧を増し、息苦しさが教室全体を包み込む。
周りのクラスメイトたちはその光景を遠目で見ることしか出来なかった。
プレッシャーがいつ殺意に変貌してもおかしくないほど緊迫感に包まれたこの空間は、並の一般人には耐えがたい修羅場だ。
かといって逃げようと動き出すことも躊躇われるこの状況は、クラスメイトたちにとってはまるで喧嘩中のライオンの巣に迷い込んだような心境だろう。
今はただ、ライオン同士が自分たちに興味を失って退いてくれるのを待つしかない。
事故のような突発的事由で発生したこの事態は、彼らにとって途轍もなく一方的にリスクの高い状況だった。
メリットも何も無い。
ただただ運悪く、リスクだけを背負わされている。
しかし、
そう思った所で、救いの手が差し伸べられた。
「ふふふ。お二人とも、よろしければお話する前に少し場所を変えませんか?どうやらクラスの皆様がお困りのようですし」
ククルだった。
どういう狙いかは分からないが、ククルにとってもここで話すのは都合が悪いらしい。
ユウカは恭司を見ると、恭司は静かに頷く。
2人にとっても渡りに船な話だ。
「場所は私が決めさせてもらうよ。君は信用できないし、ギルスはまだ転校初日だからね」
「構いませんよ。どこへでも連れて行ってくださいな」
「…………」
そうして、ユウカ案内のもと、ククルを入れた3人は、教室を出て行った。
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……話し方に少し癖のある人だった。
やたらと遅くて、まるでこっちを舐めるような話し方をしてくる。
……ゆっくり品定めされている気分だ。
どことなく『あいつ』を思い出す。
誰か具体的に思い出せない『あいつ』は、いつもこんな風に人をおちょくる嫌な奴だった。
それでいて智略・謀略に長け、いつもこちらを利用しようと企てる最悪な女だった。
恭司はそいつのことが、とてもとても大嫌いだった。
「……似てるって、誰にだ?」
再び続ける。
相手のペースにハマっていると感じつつも、これだけ急展開だとなかなか体制を整えられない。
これも、向こうの狙い通りなのだろう。
今は凌ぐことで手一杯だった。
「ふふふふ。ユウカさんもそうでしたが、貴方様は本当に正しくといった感じですねぇ……。さすがは親族ということでしょうか。よくも……よくもまぁ似ていらっしゃいます」
「…………」
「あぁ、麗しの君……。『我ら』が主君……。まさかこんな所で貴方様の方から来てくださるとは……。運命とは大変大変異な事でございますねぇ……」
「おい、さっきから何を言っている。一体誰と……」
「お探ししておりました。
『三谷恭司“様”』」
背中が泡立った。
殺意が暴走する手前だった。
ほんの少しでも気を緩めれば漏れ出るくらい、膨大な殺気が体内に渦巻く。
やはり、こいつは生かしてはおけない。
すぐにでもやらなければならない。
そう、すぐにでも、
コロサナクテハナラナイ。
恭司は自然と臨戦体制を取る。
だが、
そこでストップがかかった。
「ギルス。そこまでだよ」
ユウカだった。
ユウカは腕を組んで、恭司の後ろに威風堂々と立っている。
いつかの時と逆の展開だ。
寝ていたはずだが、いつの間にか起きてきていたようだ。
「転校初日の人間にいきなり喧嘩売ってくるなんてずいぶんご挨拶だね。どういうつもり?」
ユウカは恭司を後ろに下がらせ、ククルの前へと出る。
ククルはニタァと笑うだけで、何も言わなかった。
長い前髪から覗くように現れる目が、酷くいやらしい眼光を帯びているのが分かる。
こいつは楽しんでいるのだ。
恭司の反応は勿論、この状況すらも、こいつの思惑通りなのだろう。
ユウカは周囲のクラスメイトたちの姿を確認しながら、ククルに向けて小さくも威圧的な声で言い放つ。
「何のつもりかと、聞いているんだよ」
ユウカはククルに向けて圧を強めた。
強烈なプレッシャーが重圧を増し、息苦しさが教室全体を包み込む。
周りのクラスメイトたちはその光景を遠目で見ることしか出来なかった。
プレッシャーがいつ殺意に変貌してもおかしくないほど緊迫感に包まれたこの空間は、並の一般人には耐えがたい修羅場だ。
かといって逃げようと動き出すことも躊躇われるこの状況は、クラスメイトたちにとってはまるで喧嘩中のライオンの巣に迷い込んだような心境だろう。
今はただ、ライオン同士が自分たちに興味を失って退いてくれるのを待つしかない。
事故のような突発的事由で発生したこの事態は、彼らにとって途轍もなく一方的にリスクの高い状況だった。
メリットも何も無い。
ただただ運悪く、リスクだけを背負わされている。
しかし、
そう思った所で、救いの手が差し伸べられた。
「ふふふ。お二人とも、よろしければお話する前に少し場所を変えませんか?どうやらクラスの皆様がお困りのようですし」
ククルだった。
どういう狙いかは分からないが、ククルにとってもここで話すのは都合が悪いらしい。
ユウカは恭司を見ると、恭司は静かに頷く。
2人にとっても渡りに船な話だ。
「場所は私が決めさせてもらうよ。君は信用できないし、ギルスはまだ転校初日だからね」
「構いませんよ。どこへでも連れて行ってくださいな」
「…………」
そうして、ユウカ案内のもと、ククルを入れた3人は、教室を出て行った。
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