106 / 134
【第七章】本性
【第十五話】殺戮①
しおりを挟む
ククルとのやり取りの後、2人はそのまま教室へと戻り、普通に授業を受けた。
クラスメイトたちにも謝罪の体でそれとなくフォローを入れ、完全ではないが、一応そっちは難を逃れた形になるだろう。
しかし、
肝心のククルはあれから教室に戻っては来なかった。
授業はそのままつつが無く進行され、ククルがいないまま、日常はとりあえず回り続ける。
恭司とユウカのまた、その波に呑まれた。
「てか、ここでいきなりあの展開はないだろうよ……」
恭司は他のクラスメイトたちに聞こえないようボソリと隣のユウカに話し掛けた。
本当にクレイアらしい、見事な不意打ちだ。
こっちが警戒して当たろうと方針を決めたそばからの奇襲。
うっかり眠ってしまった2人の失態も勿論あるが、2人の練度を考えても、アレが成功できたのはククルのレベルが故だろう。
同じ若さでありながら、本当に恐ろしい敵だった。
「ところで、さっきの件なんだけd」
「アレはすごく大変だったなあああああああああ!!」
小声で叫ぶという器用な技を披露しながら、恭司はユウカの不意打ちをギリギリで躱した。
これから色々とやることが山積みなのだ。
時間のかかる問題はひとまず後回しにするに限る。
ユウカはやはり不貞腐れた様子だったが、もういっそのこと気付かない振りをすることにした。
物事には優先順位というものがあるのだ。
今は別のことに構っている暇はない。
「私としてはとても大切なことだと感じる次第なんですけれども……。合意のない一方的なキスは犯罪ですよ?」
「………………」
「今ならまだ交渉の余地も残していますよ?」
「………………」
「ホントにいいんですか?このままだとアナタ、大変なことになりますよ?」
まるで悪徳宗教の勧誘のような口調で迫りながら、ユウカは強かに恭司を追い詰めていく。
しかし、
今日の恭司はいつもとは違う。
ユウカの強迫にも頑として迎え撃つ構えを見せていた。
今はこんな風に遊んでる暇はないのだ。
恭司の正体というデッドゾーンに差し掛かった今、恭司には急いでやらなければならないことが山ほどある。
例えユウカがどれだけ巧妙な手段を取ったとしても、今それに応じるわけにはいかない。
重ねて言うが、恭司にも優先順位というものがあるのだ。
「まぁ、そんなこと言いながら私も具体的にどうしようとかは決めてないんだけどね。なんせついさっきのことだし」
「………………」
「ククルさんの件とか、話し合わなきゃいけないことも沢山あるっていうのも分かってるし。こんな大変な時に無茶なことは言わないよ」
「………………」
「それに、さすがにあいつらに関しては私も他人事じゃいられないしね。自分の肉親が関わってる以上、私もいつまでも知らぬ存ぜぬじゃ通らないし……」
「………………」
「だから、とりあえずはまぁ、お父さんに事の次第をキッチリ報告するくらいにしとくよ」
「勘弁してください」
恭司の最優先課題に『言い訳を考える』が追加された。
クラスメイトたちにも謝罪の体でそれとなくフォローを入れ、完全ではないが、一応そっちは難を逃れた形になるだろう。
しかし、
肝心のククルはあれから教室に戻っては来なかった。
授業はそのままつつが無く進行され、ククルがいないまま、日常はとりあえず回り続ける。
恭司とユウカのまた、その波に呑まれた。
「てか、ここでいきなりあの展開はないだろうよ……」
恭司は他のクラスメイトたちに聞こえないようボソリと隣のユウカに話し掛けた。
本当にクレイアらしい、見事な不意打ちだ。
こっちが警戒して当たろうと方針を決めたそばからの奇襲。
うっかり眠ってしまった2人の失態も勿論あるが、2人の練度を考えても、アレが成功できたのはククルのレベルが故だろう。
同じ若さでありながら、本当に恐ろしい敵だった。
「ところで、さっきの件なんだけd」
「アレはすごく大変だったなあああああああああ!!」
小声で叫ぶという器用な技を披露しながら、恭司はユウカの不意打ちをギリギリで躱した。
これから色々とやることが山積みなのだ。
時間のかかる問題はひとまず後回しにするに限る。
ユウカはやはり不貞腐れた様子だったが、もういっそのこと気付かない振りをすることにした。
物事には優先順位というものがあるのだ。
今は別のことに構っている暇はない。
「私としてはとても大切なことだと感じる次第なんですけれども……。合意のない一方的なキスは犯罪ですよ?」
「………………」
「今ならまだ交渉の余地も残していますよ?」
「………………」
「ホントにいいんですか?このままだとアナタ、大変なことになりますよ?」
まるで悪徳宗教の勧誘のような口調で迫りながら、ユウカは強かに恭司を追い詰めていく。
しかし、
今日の恭司はいつもとは違う。
ユウカの強迫にも頑として迎え撃つ構えを見せていた。
今はこんな風に遊んでる暇はないのだ。
恭司の正体というデッドゾーンに差し掛かった今、恭司には急いでやらなければならないことが山ほどある。
例えユウカがどれだけ巧妙な手段を取ったとしても、今それに応じるわけにはいかない。
重ねて言うが、恭司にも優先順位というものがあるのだ。
「まぁ、そんなこと言いながら私も具体的にどうしようとかは決めてないんだけどね。なんせついさっきのことだし」
「………………」
「ククルさんの件とか、話し合わなきゃいけないことも沢山あるっていうのも分かってるし。こんな大変な時に無茶なことは言わないよ」
「………………」
「それに、さすがにあいつらに関しては私も他人事じゃいられないしね。自分の肉親が関わってる以上、私もいつまでも知らぬ存ぜぬじゃ通らないし……」
「………………」
「だから、とりあえずはまぁ、お父さんに事の次第をキッチリ報告するくらいにしとくよ」
「勘弁してください」
恭司の最優先課題に『言い訳を考える』が追加された。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる