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【第八章】協定
【第十八話】協定⑥
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(自分よりさらに上位の人間が絡んでいる場合ーーか)
恭司はアベルトの部下だが、アベルトに上司がいないとは限らない。
アベルトは政府を運営する20人の幹部の1人だ。
公式の場でそれより上となると、もう王くらいしかいない。
だが、
"公式じゃない"所で、上司がいる可能性もある。
なんせ、
盗聴機の件が本当で、クレイアがそれだけ前から恭司のことを知っていたとなれば、もっと前から大々的に喧伝することもできたはずなのだ。
それなのに、
クレイアの幹部であるククルはそれを知らなかった。
つまりは、
クレイア内部で幹部とその上の人間との間に恭司に関する情報の格差があったということだ。
クレイア内部で幹部より上の存在など恭司は知らないが、たった1つだけ例外的に知っている存在がいる。
その人間はクレイアのトップになっていたはずだ。
推測に推測を重ねた結論だが、その関係性は無視できないだろう。
"元夫婦"なら、離婚して袂を別った中で繋がっていたとしてもおかしくない。
恭司は、心が冷えていくのを感じた。
(しかし……その考えが正しかったとすれば、これまで不自然に感じていた所も分かってくる)
恭司は頭の中で推論を組み立てる。
これまで恭司がアベルトに感じていた不自然さは、主に指示に対して提示される手段のチグハグさだ。
一番に考え付くのは、
実行者は恭司にもかかわらず、指示は優香を通すの一点張りにしてくる所だろうーー。
というのも、
恭司はそのあまりに非効率なやり方に対し、これまで2度に渡って提案を繰り返してきたが、結局アベルトは一度もユウカを通して指示を出してはこなかったのだ。
それに、
そういった状況の割に恭司と直接話す機会は何度もあって、実際の指示はいつも直接もらっていた。
アベルトが元々言っていた、『恭司を信用できないから』という理由はそこで崩れている。
さらには、
今回の"行き違い"のような指示の非効率ぶりについてや、これまでアベルトが肝心な所をいつもはぐらかしてきたことについても、それで説明はつくだろう。
おそらくはーー
(クレイア側とアベルトさんの間で、情報伝達が上手くいってない……ということか)
そう考えれば、今回のアベルトの目的も色々と見えてくる。
この場にククルがいることや、ククル自身がやたらと落ち着いていることも含めて、この後の話の展開は予想しやすい。
だから『同盟』なのだろうーー。
恭司は納得した。
「どうかしたかな?三谷君?」
しばらく黙っていた恭司に、アベルトがニコリと笑顔を貼り付けながら問い掛けてくる。
恭司は気を取り直すと、首をゆっくりと横に振った。
「いえ、特に何でもありません」
さっきまでの考察は、しょせん恭司の頭の中での話だ。
当然、証拠もなければ、今すぐアベルトを問い質す材料があるわけでもない。
やはり、今はまだ我慢するしか無かった。
恭司はアベルトの部下だが、アベルトに上司がいないとは限らない。
アベルトは政府を運営する20人の幹部の1人だ。
公式の場でそれより上となると、もう王くらいしかいない。
だが、
"公式じゃない"所で、上司がいる可能性もある。
なんせ、
盗聴機の件が本当で、クレイアがそれだけ前から恭司のことを知っていたとなれば、もっと前から大々的に喧伝することもできたはずなのだ。
それなのに、
クレイアの幹部であるククルはそれを知らなかった。
つまりは、
クレイア内部で幹部とその上の人間との間に恭司に関する情報の格差があったということだ。
クレイア内部で幹部より上の存在など恭司は知らないが、たった1つだけ例外的に知っている存在がいる。
その人間はクレイアのトップになっていたはずだ。
推測に推測を重ねた結論だが、その関係性は無視できないだろう。
"元夫婦"なら、離婚して袂を別った中で繋がっていたとしてもおかしくない。
恭司は、心が冷えていくのを感じた。
(しかし……その考えが正しかったとすれば、これまで不自然に感じていた所も分かってくる)
恭司は頭の中で推論を組み立てる。
これまで恭司がアベルトに感じていた不自然さは、主に指示に対して提示される手段のチグハグさだ。
一番に考え付くのは、
実行者は恭司にもかかわらず、指示は優香を通すの一点張りにしてくる所だろうーー。
というのも、
恭司はそのあまりに非効率なやり方に対し、これまで2度に渡って提案を繰り返してきたが、結局アベルトは一度もユウカを通して指示を出してはこなかったのだ。
それに、
そういった状況の割に恭司と直接話す機会は何度もあって、実際の指示はいつも直接もらっていた。
アベルトが元々言っていた、『恭司を信用できないから』という理由はそこで崩れている。
さらには、
今回の"行き違い"のような指示の非効率ぶりについてや、これまでアベルトが肝心な所をいつもはぐらかしてきたことについても、それで説明はつくだろう。
おそらくはーー
(クレイア側とアベルトさんの間で、情報伝達が上手くいってない……ということか)
そう考えれば、今回のアベルトの目的も色々と見えてくる。
この場にククルがいることや、ククル自身がやたらと落ち着いていることも含めて、この後の話の展開は予想しやすい。
だから『同盟』なのだろうーー。
恭司は納得した。
「どうかしたかな?三谷君?」
しばらく黙っていた恭司に、アベルトがニコリと笑顔を貼り付けながら問い掛けてくる。
恭司は気を取り直すと、首をゆっくりと横に振った。
「いえ、特に何でもありません」
さっきまでの考察は、しょせん恭司の頭の中での話だ。
当然、証拠もなければ、今すぐアベルトを問い質す材料があるわけでもない。
やはり、今はまだ我慢するしか無かった。
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