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【第五章】恭司の過去
【第十一話】王族狩り:序章 ③
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「……シェル様がここまでお気を悪くされているのは、非常に珍しいことですな」
ずっとイライラしたままのシェルを見てか、老人は呟きのような声で恐る恐る提言した。
シェルはそんな老人に鋭い目を向けると、老人はやっぱり黙ってしまう。
シェルとしては別に睨んだつもりもなかったのだが、もうデフォルトでこうなってしまっているのだから仕方がない。
シェルはもう一度ため息を吐いた。
普段の優しく丁寧な態度からギャップを作り過ぎたかと、自らの失策を感じる。
しかし、
やってしまったものは仕方がない。
既に匙は投げられた後で、老人にも兵士にも今さら取り繕うことなどできないのだ。
それに、
これはある意味でいい機会だった。
シェルが今まで行ってきた態度は所詮仮初めの英雄としての姿で、本来のシェルの姿はこっちだ。
今までは国が順調であったがために、兵士にも民にも余裕のある姿を見せることに必要性を感じていたが、今はそうじゃない。
この国が『ある事件』を境に危機に瀕したせいで、シェルももう後に引けなくなっているのだ。
余裕なんて見せてる場合じゃない。
だからこそ、
シェルは『今日』動き出したのだ。
「……隊長たちは既に集まっているか?」
シェルは努めて落ち着いた声を意識しながら、側仕えの老人に尋ねかけた。
目付きもなるべく穏やかにしたつもりだが、老人はシェルの気に障らないよう静かに「はい」と返事を返す。
明らかに恐れ慄いている様子が伺えたが、シェルは咎めなかった。
代わりに指示を出す。
「ならいい。開始までもう少しある。その間に用意を整えるから、しばらく外に出ておいてくれ」
「かしこまりました」
老人はそう言って腰から頭を下げると、そそくさと部屋を出ていった。
シェルはそんな老人の後ろ姿を見届けると、途端に椅子の上でグッタリ体の力を抜く。
だらし無く見える体制だが、こうでもしないとやってられなかった。
シェルも普段見せない醜態を披露して疲れたのだ。
メンタル的にもショックは隠しようがない。
シェルは目を瞑ると、とりあえず頭の中を整理することにした。
内容は勿論、シェルがさっきから怒り続けている『事件』についてだ。
シェルはタバコを一本口にくわえると、火をつけて煙を吐き出す。
普段は滅多に吸わないが、今日だけは特別だ。
「あれから1年……。そうか、1年経ったのか……」
自分で言ったその言葉を、敢えて復唱する。
点けたばかりのタバコを吸いながら、シェルは物思いにふけった。
ずっとイライラしたままのシェルを見てか、老人は呟きのような声で恐る恐る提言した。
シェルはそんな老人に鋭い目を向けると、老人はやっぱり黙ってしまう。
シェルとしては別に睨んだつもりもなかったのだが、もうデフォルトでこうなってしまっているのだから仕方がない。
シェルはもう一度ため息を吐いた。
普段の優しく丁寧な態度からギャップを作り過ぎたかと、自らの失策を感じる。
しかし、
やってしまったものは仕方がない。
既に匙は投げられた後で、老人にも兵士にも今さら取り繕うことなどできないのだ。
それに、
これはある意味でいい機会だった。
シェルが今まで行ってきた態度は所詮仮初めの英雄としての姿で、本来のシェルの姿はこっちだ。
今までは国が順調であったがために、兵士にも民にも余裕のある姿を見せることに必要性を感じていたが、今はそうじゃない。
この国が『ある事件』を境に危機に瀕したせいで、シェルももう後に引けなくなっているのだ。
余裕なんて見せてる場合じゃない。
だからこそ、
シェルは『今日』動き出したのだ。
「……隊長たちは既に集まっているか?」
シェルは努めて落ち着いた声を意識しながら、側仕えの老人に尋ねかけた。
目付きもなるべく穏やかにしたつもりだが、老人はシェルの気に障らないよう静かに「はい」と返事を返す。
明らかに恐れ慄いている様子が伺えたが、シェルは咎めなかった。
代わりに指示を出す。
「ならいい。開始までもう少しある。その間に用意を整えるから、しばらく外に出ておいてくれ」
「かしこまりました」
老人はそう言って腰から頭を下げると、そそくさと部屋を出ていった。
シェルはそんな老人の後ろ姿を見届けると、途端に椅子の上でグッタリ体の力を抜く。
だらし無く見える体制だが、こうでもしないとやってられなかった。
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メンタル的にもショックは隠しようがない。
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内容は勿論、シェルがさっきから怒り続けている『事件』についてだ。
シェルはタバコを一本口にくわえると、火をつけて煙を吐き出す。
普段は滅多に吸わないが、今日だけは特別だ。
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自分で言ったその言葉を、敢えて復唱する。
点けたばかりのタバコを吸いながら、シェルは物思いにふけった。
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