奴隷落ちを免れた令嬢は生きるために奮闘する。~いつかまた、アネモネの咲く丘で会いましょう〜

珠音

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新婚旅行?

「まあ、元々は『あの場所で愛の告白をすると上手く行く』みたいなものだったのでしょうけれどね。今では贈り物云々とか後付けがついて若者達の一大イベントなんですよ」 

 興奮したミーシャを宥めるようにその背中を撫でながらリーナが補足した。 思い出したように「ふふっ」と、リーナが笑う。 

「きっと、坊ちゃまもそれに倣ったのでしょう。ネックレスを贈って将来の誓いを立てたかったのでしょうねぇ……」 

「へぁっ?!誓うって、私??て、ぇ、でも……私は何もあげてないし……」 

 あげていないどころか、フィオラは疲れたと言って話も聞かず帰って来てしまっている。 確かにニコライは何か言いたそうにしていた。知らなかったとはいえ、これではフィオラは思わせぶりな酷い女ということになってしまう。 

「後付けのルールですから、厳密でなくて良いのです。要は、気持ちの問題なので。だから、満天の星空の下でなく。太陽の下で誓う人達もいるんですよ。なんならお祭りの日以外の夜とかね」 

「結局、何でもいいんじゃん」 

「はい。お祭りですから」 

「良くないです!!」 

 ミーシャは厳密に行いたい派なのか、リーナの補足には不満そうだ。 

「でも、将来ってさ……結婚てことだよね」 

 フィオラは複雑な思いでニコライから貰ったネックレスを見つめた。 
 そういえば、ニコライの口からは全然魔女の話が出て来ない。あえてフィオラの前で口にしていないのかもしれないが、この状況ではまるでフィオラが本当の婚約者のようではないか。 

「坊ちゃまは、このリーナから見てもいい男ですよ。少ぉーしばかり、女嫌いなところがあるようですけれど……坊ちゃまを見ていたら分かります!坊ちゃまのお嬢様を見る目……あれは間違いなく、お嬢様の事を想ってます!このリーナが言うのですから間違いありませんとも!!」 

「そうですよね!遠征にお嬢様を連れて行きたいだなんて最初はどうかと思いましたけれど、それだけ離れたくないってことですよねっ?!」 

 思いの外、深刻そうにネックレスを見つめてしまっていたらしい。そうをどう取ったのか、ニコライをフォローするようにリーナが言った。隣でミーシャも援護射撃とばかりに頷いている。 

「いや、それはないだろ」 

「え~!ありますよぉ!はぁ~……よく考えたら新婚旅行みたいですね」 

 ミーシャがうっとりと頬を染めた。 
 ニコライが本当にそのつもりでフィオラを遠征に帯同させるのであれば最低である。が、ミーシャにとっては、それもロマンチックに映るらしい。 

「ミーシャちゃんは根っからの恋愛脳なのね」 

 これにはリーナも苦笑いだった。 











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