奴隷落ちを免れた令嬢は生きるために奮闘する。~いつかまた、アネモネの咲く丘で会いましょう〜

珠音

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只今、移動中

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 遠征で東の地に向かう馬車に乗って早々、フィオラは居心地悪く窓の外を眺めた。 隣には当たり前の様にニコライが乗り込んでいる。二人並んで座ったとて、高級そうな馬車の座席にはまだ余裕があった。 では何がフィオラの居心地を悪くさせているかというと… 
 フィオラはちらっと上目遣いに、正面に座る人物を盗み見した。 

「ふふっ。こんなおばあちゃんと一緒で、ごめんなさいね?」 

 目敏くフィオラの視線に気付いたオッド侯爵夫人が、悪怯れる風もなくにっこりと微笑む。 

 何で、この人と一緒なのさ…… 

 そう。今まさに乗車しているこの馬車は侯爵家の物。 魔法騎士団の遠征だというのに、なぜ魔法騎士団所有の馬車ではないのか。なぜ団員でもない人間が同行しているのか。 

 それは、時を遡ること数日前。 別に顔合わせの時間が設けられていたわけてはないのたが、ニコライの最終打ち合わせにフィオラが同行し、魔法騎士団の面々と鉢合わせしてしまったことに端を発している。 
 フィオラを見るなりどよめく団員たち。ちらちらとフィオラを見ては、ひそひそと何事か囁やき合っていた。 まあ、あまり良くは思われていないのだろうな。と、思いつつも、一緒に遠征する謂わば仲間である。挨拶くらいはしておかなければ。と、フィオラが近寄れば、何故か逃げて行く面々。 

「な、なんなんだよ……」 

 挨拶すら嫌なのか。と、肩を落としたフィオラを気遣ってか、ニコライが言った。 

「やはり……移動は別々だな」 

 しかし、無視されているだけならば特に問題はない。 

「いいよ、別に。隅っこで静かにしてれば流石に文句は言われないだろ」 

「君はこいつらと一緒に野宿したいのか?!絶対に別だ!」 

 わざわざ別で移動しなくともいいと言っているのにニコライが強く言い切った。 
 それならば、わざわざ自分を遠征に同行させなくとも良いのでは?と、ニコライを見ると、怒っているのか怖い顔で仲間であるはずの団員たちを睨みつけていた。睨みつけられている団員たちはというと、こちらもこちらて怒っているのか赤い顔でこちらを見ながらひそひそとしているのである。 

「……何で、皆んな怒ってんだ??」 

 いまいち状況が飲み込めていないフィオラの頭上で、ニコライが言い放った。 

「東の地には俺とフィオラだけで行く!皆んなは先に西に向かってくれ!」 

「えっ、別々で移動って、そういうこと??」 

「え?魔物調査と討伐を一人で??」 

 二手に分かれるとかではなくて? ぽかんとするフィオラとその面々。 ニコライの予期しない発言に、始めは冗談だと笑っていた団員たちも、どうやら本気だと知ると眉を顰めた。 

「あなたが強いのは理解してますけどね、流石に一人は無理がありますよ」 

 苦笑しつつ意見したのは副団長だった。 

「俺も二手に分かれるつもりていたが……いや!それが先方の希望でもある。悪いが君が隊を率いて西に向かってくれ」 

「え、ぇえ~……」 

 先方がニコライに一人で来てくれとでも言っているのか。そんな馬鹿な。 
 暫く会議室は騒然としていたが、ニコライは頑として譲らない。フィオラがどうこうと口を挟める訳もなく、最終的にはニコライに対して「勝手にしろ」という空気で落ち着いた。 しかし、これではニコライが我儘を通しているようにみえてしまう。 

 私のせいでライが顰蹙を買ってる気がするのは気のせいか?? 

 自分が嫌われるのは今に始まったことではないが、ニコライまで同じような状況になるのはフィオラの望むところではない。 
 しかし、まあ。そんなわけで、今フィオラとニコライは他の団員たちとは別行動を取っている。フィオラとしては、ニコライ達が仲間割れしないことを祈りつつ、今に至るわけだが。






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みんなの感想(1件)

2024.04.26 ユーザー名の登録がありません

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2024.04.26 珠音

ありがとうございます!基本、好きな事をつらつらと書き綴っておりますので、ご期待に添えるか分かりませんが、今後ともお付き合いして頂けると嬉しいです!

解除

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