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しおりを挟むフィリップとレナが出逢ったのは、今から十年前の二人が七歳の頃だった。第二王子のフィリップと、ハッセル公爵家の一人娘であるレナの婚約が結ばれたのは必然だと言って良い。
フィリップの兄バーナードが王太子となり、ゆくゆくは国王となることが決められていた。フィリップは将来バーナードを支える立場となり、またハッセル公爵家を継ぐこととなった。
政略的な婚約ではあるが、幼い頃のフィリップとレナは仲が良かった。好奇心旺盛なフィリップと消極的なレナは正反対の性格ではあるが、レナがフィリップに引っ張られるような形でよく遊んでいた。
「レナ!おれはおとなになったらバーナードあにうえのみぎうでになるんだ!」
「まぁ!フィルさま、すばらしいですわ!」
「ふふん。そうだろう。」
「わたくしもフィルさまのおてつだいができるようがんばります。」
「ああ。レナ、たのんだぞ。」
そう、その頃はレナもフィリップのことをフィル様と呼んで、いつもにこにこしていた。レナが「フィル様、フィル様。」とフィリップを慕う姿を見て、フィリップも可愛く思っていた。しかし成長とともにレナは『氷の令嬢』と呼ばれるほど、笑わない令嬢となってしまった。
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