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「ダンフォース、ありがとう。」

 プロポーズを受けた後、ジュディスとダンフォースはリビングのソファの上で話を続けていた。ジュディスは、いつものようにダンフォースの隣に座ろうとしたけれど、ダンフォースは許してくれず問答無用でダンフォースの膝の上に乗せられた。「今日は絶対離れたくない」と耳元で甘ったるい言葉を囁かれ、ジュディスは身体に上手く力が入らずふにゃふにゃになってしまった。


 ダンフォースの膝の上で、ジュディスは祖父母の姿絵を見ていた。これもダンフォースが取り返してくれたものだ。ダンフォースは何も言わないが、この姿絵は、質屋ではなく直接叔父から取り返したのだから、とても大変だっただろう、とジュディスは申し訳なさがこみ上げる。あの叔父のことだ、十中八九、ダンフォースに暴言を吐いたはずだ。本当は「ごめんね」と言いたいけれど、それはダンフォースが求めているものではないと思うから、ジュディスはたくさんの気持ちを込めて、何度もありがとうと伝えた。


「・・・こっちのジュディスも可愛いね。」



 姿絵の中には、祖父母と共に子どもの頃のジュディスも描かれていた。幼いジュディスを、目を細め宝物のように大事そうに見つめるダンフォースを見ると、ジュディスは気恥ずかしさでいっぱいになった。

 そして「俺たちの子どももこんなに可愛いのかな。」と小声で囁かれ、頬や額に口づけの嵐を受け、ジュディスは息が出来なくなり、降参した。




「・・・ダンフォース、いじわる。」

 息も絶え絶えに、恨みがましそうな顔でジュディスに睨み付けられると、ダンフォースはそれはそれは愛おしそうに、ふにゃりと笑った。ダンフォースがこんな顔が出来るのか、とジュディスが呆然としたほど、素敵な笑顔だった。
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