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第一部
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しおりを挟む「ちょ、ちょっと待て!ナスタジア、百歩譲ってエラが領地経営の業務が合わなかったとしよう。だが適材適所、という言葉もあるようにエラに合う業務があったのではないか?何も使用人の仕事でなくとも……」
「まぁまぁ、殿下。御見それいたしましたわ。そんな考え方も出来るなんて流石未来の国王陛下ですわ」
無論ナスタジアはチャーリーを褒めている訳ではない。ナスタジアはぱちぱちとわざとらしく拍手し、貴族達からはクスクスという嘲笑の声が上がりチャーリーを苛立たせた。
「ナスタジア、お前、何が言いたい……!」
「殿下、『就職氷河期』というお言葉をご存じですか?」
「なっ……、それくらい知っている」
「今、まさにその『就職氷河期』であることは?」
「……っ」
貴族達から「ほら見ろ、こんなことすら知らなかった」とケラケラと笑い声が上がる。そう、昨年の大災害によって国内の求人は例年より大幅に減少しこの春に卒業した学生たちの多くは就職先のないままだった。それは、昨年学園を卒業したナスタジアの義妹エラも例外ではない。
「先程申し上げた通り、うちは災害を受け使用人すらいない状態ですからね。エラは就職する必要があった。職に就けなかったことは、まぁ、社会的な問題もありますから責めませんわ」
「それなら……っ!」
チャーリーは救いを得たとばかりに食いついた。だが、ナスタジアはバッサリとそれを跳ね除けた。
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