【完結】就職氷河期シンデレラ!

たまこ

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第一部

12(エラside)


(どうして、どうして、どうして)


 ナスタジアとイザードを見送った国王は、衛兵たちにエラとチャーリーを別々の貴族牢へ入れるよう淡々と指示した。王命で結ばれた婚約を一方的に破棄したこと、王家主催の舞踏会で騒ぎを起こしたこと、隣国の王太子に失礼を働いたこと、どれもこの国では重い罪となる。チャーリーは激しく抵抗していたが、エラはぼんやりとされるがまま貴族牢に連れてこられた。



(どうして、どうして、どうして)


 普通であれば、自分の今後のことに対して不安になり恐怖する時だろう。だがエラの頭の中は魔法使いのことでいっぱいだった。

 魔法使いは自分を見ようとはしなかったのに、義姉には甘く微笑んでいた。


「どうして、お義姉さまだけ……」



◇◇◇◇


 エラには前世の記憶があった。前世では病弱で、人生の殆どを病院で過ごし若いうちに亡くなってしまった。彼女の心の支えは本の世界で、特に『シンデレラ』という童話を愛していた。シンデレラは、意地悪な継母と義理の姉たちに虐められるが、ある日現れた魔法使いによって魔法を掛けられ、王子様に見初められるというストーリーだった。彼女は、王子様よりもこの魔法使いに淡い恋心を抱いていた。



 エラがこの世界に生まれた時、すぐに『シンデレラ』の世界だと気付いた。何度も読んだお話の世界と全く同じ世界だったから。実母が亡くなり、その後実父も亡くなるがエラは悲しくなかった。


(私には、魔法使いさまが来てくれるのだから)

 エラは魔法使いのことだけを考えて生きてきた。



 物語と違ったのは、新しく来た継母も義姉たちも優しかったということだ。どうせ実父が亡くなれば、化けの皮が剝がれるだろうと予想していたが、実父が亡くなり何年たっても彼女たちは親切だった。


「エラ、エラ。可愛いエラ」

 そう呼んではぎゅっと抱き締められた。継母も義姉たちもいつもエラに優しく微笑んでいた。だがエラは、どうせ『灰かぶりのエラシンデレラ』と裏で呼んでいる癖に、と心を許すことは無かった。


感想 8

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