【完結】猫界一の美女。

たまこ

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聖女系ヒロイン誕生!

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 ジルの顔を両手で掴み、視線を合わせる。


「ジル、あのね、私が元々いた世界で読んでいたって話した、ここの世界の物語のことなんだけど…」


「うん?」


「この前は話せなかったんだけど、あの物語はね、色んなかっこいい男の子が登場して、それを女の子が読んでキャーキャー言うやつなの」


 改めて乙女ゲームを説明するのって恥ずかしいな、と思いながらも心を奮い立たせて説明する。恥ずかしいけど伝えないといけない。



「あの物語で、ジルもテトもメインキャラクターでは無くて。だけど、私は、ジルが大好きになったの。ジルの姿を見たくて、何度も何度も数え切れないくらい物語を読んだの。何年も前からずっとジルだけが好きだった」


 ジルの目が見開くのがよく見えた。手が震えてしまう。だけど、今、伝えるべきだと、そう感じた。


「そして、この世界に来て、勿論友達を見つけられなかったのは辛いけど…だけどジルとテトに会えて、とっても嬉しかった。テトはすごく懐いてくれて、大切な存在になった。ジルは…物語のジルとは少し違った」


「…嫌だった?」

 ジルの目が不安そうに揺れた。

「ううん。物語のジルは、こんなに過保護じゃないし、こんなに意地悪じゃないし、こんなに…甘くないの。だけどね、もっと大好きになっちゃった」


「だからね、ジル、私はジルとテトの所にいたい。ずっと一緒がいい。心配しなくていいんだよ、私がここにいたくているんだから…って、ちょっと!ジル!」


 ジルに顔中を舐められてしまう。恥ずかしすぎて、心が滅茶苦茶になる。


「サチが悪い」

「な、なんで…」

「俺のこと、喜ばすようなことばっかり言うから」

 ジルにぎゅうぎゅうに抱き締められる。


「サチが、ずっと俺のこと好きだったなんてな」

「うぅ、恥ずかしすぎる」

「俺はすごい嬉しかった…もう絶対手放せないからな」


 推しの甘い言葉に、私の心臓はずっと落ち着かなかった。


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