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それからのこと。
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私たちの様子を、マーネ殿下は怪訝そうに見ていたが、ロバート様が話を変えてくれた。
「じゃあ、早速その番の子のところへ案内してくれる?」
早く治療してあげた方が良いだろう?とロバート様が目を細めると、マーネ殿下もいそいそと立ち上がった。
「あ、ああ。どうか頼む。」
私に深々と頭を下げるマーネ殿下は、その彼女を心底心配しているように見える。大丈夫だと、気持ちを込めて、私は大きく頷いた。
長い廊下を進み、王城内の奥へと進む。その間に、マーネ殿下から彼女のことを教えられた。
急に王城の中庭に現れた彼女は、酷い怪我をしていたらしい。最初に発見したマーネ殿下がすぐ番であることに気付き、女性の治療士にて治療を施されていたが、その怪我はかなり酷いものだったらしくそのまま臥せっている。そして、治療の検査をしている内に、聖女の力を持っていることが分かった。
彼女はたまに意識が戻る日もあり、そんな日はマーネ殿下はずっと看病しながら会話を重ねたそうだ。そこで、彼女が、別世界から来たことを聞いたらしい。
(殿下、こんなことまで話して大丈夫なのかしら?)
つい、そんなことを思ってしまう。私の思いに気付いたであろうロバート様が苦笑いして、私に頷いて見せた。
「す、すまない。彼女が治るかもしれないと思うと、気持ちが落ち着かなくて。」
ロバート様と私のアイコンタクトに気付いたマーネ殿下が、そう付け加えた。
「マーネ、心配しないで。この子は僕の二番弟子だからね。どこかに漏らしたりはしないからさ。」
「あ、ああ。恩に着る。」
そんな会話をしていると、漸く、マーネ殿下の番である白猫が臥せっている部屋に辿り着いた。
(いよいよだ。)
緊張しながら、私は一歩踏み出した。
「じゃあ、早速その番の子のところへ案内してくれる?」
早く治療してあげた方が良いだろう?とロバート様が目を細めると、マーネ殿下もいそいそと立ち上がった。
「あ、ああ。どうか頼む。」
私に深々と頭を下げるマーネ殿下は、その彼女を心底心配しているように見える。大丈夫だと、気持ちを込めて、私は大きく頷いた。
長い廊下を進み、王城内の奥へと進む。その間に、マーネ殿下から彼女のことを教えられた。
急に王城の中庭に現れた彼女は、酷い怪我をしていたらしい。最初に発見したマーネ殿下がすぐ番であることに気付き、女性の治療士にて治療を施されていたが、その怪我はかなり酷いものだったらしくそのまま臥せっている。そして、治療の検査をしている内に、聖女の力を持っていることが分かった。
彼女はたまに意識が戻る日もあり、そんな日はマーネ殿下はずっと看病しながら会話を重ねたそうだ。そこで、彼女が、別世界から来たことを聞いたらしい。
(殿下、こんなことまで話して大丈夫なのかしら?)
つい、そんなことを思ってしまう。私の思いに気付いたであろうロバート様が苦笑いして、私に頷いて見せた。
「す、すまない。彼女が治るかもしれないと思うと、気持ちが落ち着かなくて。」
ロバート様と私のアイコンタクトに気付いたマーネ殿下が、そう付け加えた。
「マーネ、心配しないで。この子は僕の二番弟子だからね。どこかに漏らしたりはしないからさ。」
「あ、ああ。恩に着る。」
そんな会話をしていると、漸く、マーネ殿下の番である白猫が臥せっている部屋に辿り着いた。
(いよいよだ。)
緊張しながら、私は一歩踏み出した。
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